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DAZN観戦 2019年J2リーグ第14節 ツエーゲン金沢vsV・ファーレン長崎

2019-05-22 21:09:18 | サッカー視聴記(2020年以前)

2002年以降毎年、昇格という形で初めてJ1経験するクラブを輩出してきたJ2リーグ。
順に仙台・大分・新潟・大宮・甲府・横浜FCと、1年に1クラブずつ出現しているのが綺麗です。

それが途絶えたのが2008年ですが、同時にもう一つ暗い影が。
この年に岐阜・熊本が加入したのを皮切りに、一気に新規参入の流れが加速します。
2012年までの5年間で、それまで13クラブだったのが22クラブに増大。
それに伴いJFLとの入れ替え制度が始まった訳ですが、この間に参入したクラブで無事にJ2定着出来ているのは松本・岡山・岐阜ぐらい。
J1経験に至っては松本のみで、残りはいずれも降格を経験します。
そしてその6クラブのうち、再びJ2に這い上がれたのは栃木・町田だけ。
後の富山・鳥取・北九州・熊本は現在もJ3に籍を置いているのが現状(熊本は前年まではずっとJ2でしたが)で、拡張路線の弊害を如実に表しているのが趣深くあります。

そしてJFLとの入れ替え制度が出来てから、それ以降に参入・昇格したクラブは讃岐以外とりあえずはJ2に定着出来ている。(今季J3から昇格した鹿児島・琉球を含めても6クラブしか無いけど)
プロサッカーリーグを語る際に出て来る「昇格・降格があるからこそレベルが上がる」という文句は、たとえJ2とJ3(JFL)でもそう変わるものでは無いのでしょう。

前置きは長くなりましたが、この時期にJ2参入・昇格を果たしたクラブ同士の対決であるこの試合。
長崎は前年J1昇格も果たし、スポンサーであるジャパネットの存在もあって一躍表舞台に躍り出た感が強かったですがそれでも1年で降格。
J2参入時から一貫して指揮を執っていた高木琢也監督がチームを去り(現大宮監督)、選手も入れ替わり今季から新たなチーム作りが求められる立ち位置。
レンタルバックしてきた選手を含めて14人がチームに加わり、その陣容を纏める新監督は手倉森誠氏。

一方の金沢は2015年に遅まきながらJ2入りを果たすも、翌2016年には入れ替え戦まで経験するほど降格の危機に苛まれながらも何とか残留。
その後は柳下正明氏を監督に招き入れ、かつて札幌の監督を務めていた時と同様に3年かけて上位を伺わんとしています。

試合序盤は長崎が優勢。
J1を経験してチームは内面的に逞しくなったと言えば聞こえは良いですが、選手達の構成は激しく入れ替わっており、前年の主力であるメンバーはこの日のスタメンの中では徳重・高杉ぐらい。
翁長・島田・徳永がサブ組に回っている辺り、「監督が代わればチームも変わる」という事を痛感させられます。
名古屋から移籍してきた大ベテラン・玉田の名はこの日は無かったものの、角田(前清水)・亀川(前柏)・大竹(前岡山)・呉屋(前G大阪)と今年新加入の選手ばかりがスタメンに名を連ねます。
それでもJ1クラブからの選手がそこそこおり、J2降格したチームながら選手のレベルは維持出来ているのでしょう。

前半7分、ビルドアップで金沢の猛プレスをいなすとボランチ・角田がドリブルで中央突破。
敵陣で右サイド奥に出すと右サイドバックの亀川が走り込み、上がったクロスをエリア内に入っていた角田がヘディングシュート。
これはゴール左に外れましたが、J1レベルの攻撃の組み立てを早速見せつけます。

そんな相手の攻勢に金沢側は萎縮したのか、前半10分にミスから決定機を作られます。
大竹のロングフィードに対し、左サイドバックの沼田が追いつくがクリアを長崎・呉屋に当ててしまい、そのまま呉屋がGK白井と一対一に。
最初のシュートは必死にブロックしますが、こぼれ球を再度呉屋がシュート、ボールは無人のゴールに突き刺さりました。

この序盤の失点で目が覚めたか、以降は金沢が自身の特徴である攻撃力を見せます(目下J2の総得点1位)。
13分、長崎・亀川がオーバーラップして出来た左サイドのスペースを突き、大石がドリブルでエリア内左側まで持ち込んでからフォワード・小松にパス。
小松はダイレクトでシュートを放ちますが、ゴール左上に外してしまいました。
ここで決められなかったのは最後まで響いたと思います。

というのも、この場面が堪えたのか以降長崎はスペースは殆ど作らず。
守備重視の試合運びで、金沢はクロス・シュートこそ放ちますが何だかんだで決定機らしい決定機はなかなか作れずに時間が進む事となります。
さらに前半26分に長崎GK徳重が負傷、33分に富澤と交代になったのも影響したでしょう。
富澤はこの日がリーグ戦初出場で、このアクシデントがチーム全体として守りを固める意識を強める結果にもなりました。

攻撃では、サイドアタックで奥に進入してもクロスを上げる場面はめっきり減りました(特に後半)。
ボールキープを重視しつつ、カットインやショートパスで一旦エリア内に進入してもシュートを撃てそうになければバックパスで仕切り直し。
例を挙げると前半36分の場面。スローインが左サイド敵陣奥の呉屋に渡ると、呉屋はボールキープしつつタッチライン際に出てから角田にバックパス。
角田もクロスを上げるという事はせず、再び同サイドの呉屋にショートパス、呉屋から香川へと渡り最後は金沢選手に当ててタッチに出し再びスローインに。
これがJ1を経験してきたチームと、J2でも中々上位に食い込めないチームの差と言わんばかりにペースを保つ長崎。

それでも「隙を見せれば点を取るよ」というメッセージのように、縦パスやカットインで好機を作ったり。
後半11分、大本が左サイドをドリブルしてエリア内の畑へパスすると、畑は左サイドに出てしばらくボールキープしてからカットインで再びエリア内へ。
そしてクロス・シュートの二択かと思いきやバックパスし、新里がミドルシュート。(枠外)
19分には香川・畑が連続して速い縦パス、これに大本が抜け出しエリア内に進入しますが一旦戻し、呉屋がシュート。
DFにブロックされたボールを大本がキープし呉屋にパス、呉屋は新里とワンツーで抜け出して再びシュート。(GK白井がセーブ)
リードしているチームにありがちな「しっかり守ってカウンター」という攻撃ではなく、遅攻でじっくりボールキープする事で、金沢側も守備に時間と人数を掛けざるを得なくなる。
シュート数を見ると金沢が攻勢に出ているという展開ながら、長崎側はしっかりと攻撃・守備双方で組み立てを見せているため勢力図的には変わらない印象を受けました。

さて、後半そのシュートを重ねていった金沢。
最も可能性があったのは後半2分、藤村がエリア内に送った浮き球を長崎GK富澤がパンチング、そのこぼれ球に長谷川が反応して強烈なシュートを放ちますがわずかに枠外。
その後後半15分、センターバックの山本がグラウンダーで中央に縦パス、これを受けた清原がドリブルで持ち込んでミドルシュート。これもGK富澤がパンチングで防ぎます。
28分には右サイドで受けた長谷川が中央の藤村に戻すと、藤村は浮き球でエリア内にボールを入れ、これを小松がヘディングシュートを放ちますがGK富澤が右に飛んでキャッチ。
不安視された長崎・富澤の好守に度々阻まれます。

後半40分、左サイドの崩しから大石がクロス、小松のポストプレイによってこぼれたボールを梅鉢がエリア内でシュートを放つも長崎DFのブロックでゴールはなりません。
ここから金沢のセットプレー祭りが始まります。
試合終了までコーナーキックが3本、敵陣でのフリーキックが2本と、まさに最後のチャンスを作った格好となりましたがいずれも得点を奪う事は出来ず。
特に最後のコーナーキック(後半45+2分)の廣井のヘディングが惜しかったですかね。
その後は長崎にきっちり時間を使われ、最後は金沢陣内右サイドでボールキープされて試合終了。

長崎はリーグ序盤戦こそ出遅れましたが、この日の勝利で勝ち点20台に乗せて上位を伺う位置にまで上がって来ました。
何より地力と経験で、勢いのあった金沢を封じ込めたのは内容的に非常に大きかった。
そんな印象が残った試合でした。

コメント
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