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DAZN観戦 2019年J2リーグ第14節 アルビレックス新潟vs愛媛FC

2019-05-21 16:39:25 | サッカー視聴記(2020年以前)

右攻め有利、そんな一言の雑感が思い浮かんだ試合後でありました。

ホームゲームでの弱さが、16年ぶりのJ2での戦いとなった前年から続いている新潟。
前年は15勝のうち5勝。しかも第32節に勝利するまでは僅か1勝という体たらくで、危うくJ3降格もチラついたシーズンになってしまった。

その反省を踏まえたかどうかは解りませんが、今季からの外国人枠拡大を生かし一気に6人も加入させてシーズンに挑んでいます。
伝統的に優良助っ人が現れてはJ1残留の助けになっているのが新潟というチームで、その流れが途切れた一昨年・2017年についにJ2降格。
前年も切り札となる人材は現れず、ボランチのカウエのみが今季も引き続きチームに在籍。

迎えた今季も目に見えてチーム状態は上向かず、13試合で4勝4敗5分。
肝心のホームでは2勝と、前年程悪くはないが克服も出来ていません。
2年目のカウエこそ全試合にフル出場しチームの柱になっていますが、他は前年鳥取でプレイしていたレオナルドが4得点という活躍ぐらい。
シルビーニョはスタメンには定着できず(この日はベンチ)、パウロンはようやく前節初出場。
サントス・チョヨンチョルの2人は合わせて3試合のみ(スタメンはゼロ)と推して知るべしな状態で、伝統復活には未だ遠そうです。
序盤で片渕浩一郎氏→吉永一明氏への監督交代も敢行するなど、カンフル剤の投入に躍起になっている前半戦。
そんな状況の中、この日はクラブカラーが酷似している愛媛を迎えてのホームゲーム。

センターバックにパウロン、ボランチにカウエ、フォワードにレオナルドと助っ人選手を並べて試合に臨みました。
前半はポゼッション・パスサッカーが今季の信条である愛媛を圧倒。
相手のパス回しをほとんど機能させない前からのプレスに愛媛選手達はタジタジで、パスミスを誘発させては好機を作ります。
前半4分、敵陣でのパスカットから小川が左サイドに展開。渡邊凌磨が奥深くでキープした後新井がクロス。
19分は愛媛・下川のパスミスを渡邊新太がバイタルエリアで奪い、渡邊凌にパスを送るもカットされて決定機にはならず。
23分はアタッキングサードに4人でプレスを掛けたのが功を奏してカット、レオナルドから渡邊新に渡ってエリア手前右からシュートも愛媛GK・岡本がキャッチ。

激しく動き回る事で前半ペースを握った新潟。
しかしこうした戦術をとれば、当然懸念されるのが後半の失速です。
それを振り払わんとするかのように前半33分・44分とゴールを奪い、2点差という貯金をもって前半を終える事に成功します。
前々節・山口戦とほぼ同じ展開で、この時は後半山口にペースを握られながら守り抜いて2-0のままホームで勝利を挙げています。
その結果が新潟のこの日のゲームプランを決定づけていたのでしょう。
そしてこの時山口が後半頭から2枚替えをしてきたように、愛媛も後半頭から山瀬・吉田の2人を投入(小暮・野澤がOUT)と、全く同じ絵を描いているかに思えた試合。

このまま終わる事を予感させるに十分な経過でしたが、そうはさせなかったのが愛媛。
後半3分に山瀬のパスを吉田がダイレクトでパス、これを走りながら受けた神谷が新潟DF全員を置き去りにしてシュート。早い段階で1点を返すとその6分後(後半9分)。
敵陣左サイドの奥で左ウイングバック・下川がボールキープ、新潟DFをかわしてエリア手前でバックパス。
これを受けた山瀬、得意のミドルシュートが炸裂。
炸裂というほどの強さはありませんでしたが、グラウンダーのボールがゴール右隅に見事にコントロールされてネットに突き刺さりました。

あっという間の同点劇。
メインスタンド側から見て右側のゴールにしか得点が入っていないという、ものの見事に前半と後半で逆の絵を描く事となったこの試合。
その雰囲気にも押されてか、この後もしばらくは愛媛ペースに。

昨季途中から就任した川井健太監督の下、ポゼッションサッカーの特徴を色濃く出している愛媛。
しかし今の所成績は芳しくなく、この試合前の時点では21位。
同じスタイルを前面に押し出している福岡・岐阜も下位低迷に喘いでいる現状を見るや、この路線は勝つうえで有効なのかどうかという疑問が浮かび上がる事でしょう。(まあ京都は上位に居ますが)

数字上ポゼッションつまり支配率が上がっても、最終的にはスコアの優劣で試合が決まるのは当たり前。
逆にボールは支配出来ていても、ボールを失う事を恐れるあまり効果的なチャンスを作れない。
そして何より、リードを奪うと守りを固めてくるチームが多いのがサッカーの常であり、リードされると必然的にボールを持たされるので支配率が上がる事となり「見た目上の数字は良いサッカー」となりがちです。(そしてシュート数は相手に負ける事が多々……)
そんな閉塞感から抜け出すには、やはりそこから先のプラスアルファが求められる。

果たしてこの日同点に追いついた後、愛媛はペースこそ握りますがシュートを撃てずに終わるという事を繰り返します。
すると後半16分、新潟・カウエが中央からドリブルで持ち込んでミドルシュート。
これは愛媛GK岡本が抑えますが、これが合図になったのか一転してお互いシュートを撃ち合う展開になります。

直後の後半17分には愛媛が中盤のパス回しから下川が左サイドでキープし、クロスを上げて藤本がヘディングでシュート。(ゴール右に外れる)
その1分後には新潟がチャンス、左サイドで渡邊凌・新井がパス交換しつつ抜け出し、グラウンダーのクロスを上げるもレオナルドの足にはわずかに合わず。
また1分後には再び愛媛、神谷がエリア手前で吉田とのパス交換から右に切れ込みミドルシュート。(GKキャッチ)
またまた1分後逆に新潟、レオナルドがポストプレイで渡邊凌に落とすと、彼のリターンパスを貰ってエリア内に進入しシュート。(DF竹嶋がブロック)
目まぐるしいシュートの応酬。
26分には愛媛が決定的なチャンスを迎え、山瀬の右サイドからのロングパスで神谷が裏を取ると、新潟DFは並走していた藤本についていたのかノーマークでGKと一対一の状況に。
しかしワントラップからボレーでシュートした神谷、わずかに枠の右に外してしまいました。

シュートで終える場面が増えていく展開に、大切なのはポゼッションよりも局面局面における勇気という事を愛媛選手達は感じたのかもしれません。
そんな場面が後半29分、見せたのはGKの岡本でした。
新潟・渡邊凌のドリブルから縦にパスが出ると、待ち構えていたレオナルドが足先で触れてボールはエリア内へ。
ここに田中達也(渡邊新と交代で出場)が走り込む絶好機を迎えますが、いち早く岡本が前に出て間一髪足でクリア。
田中達と交錯ししばらく倒れ込む事態になりながらも、怪我を恐れない勇気によって危機を防ぐ事に成功しました。

次第に泥仕合の様相になってきた後半32分。
愛媛は右からのコーナーキック、キッカー前野のニアへのボールを林堂がフリックし、そこに飛び込んだのは藤本。
ダイビングヘッドも新潟・渡邊凌にブロックされ、ボールはタッチを割ります。
ここまで来るとポゼッションだろうが何だろうが関係無い、そんなゴールシーンが生まれたのがこの直後。
竹嶋が放ったロングスローは綺麗な軌道を描いてエリア内中央へ、これを頭で合わせたのは田中裕人でした。
新潟GK大谷の手を弾きゴールイン、ついに愛媛は逆転に成功しました。

この後はリードされた新潟がDFパウロンを前線に上げるパワープレイで猛攻をかけるも、単調な攻撃の域を出ず同点ゴールはなりませんでした。
見事な逆転勝利の愛媛、前半の不出来が響いて支配率・パス数では新潟を下回りましたが、理想通りにいかない展開で勝利したのは大きいでしょう。

コメント
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