ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第12節 横浜FCvs京都サンガFC

2019-05-08 12:27:09 | サッカー視聴記(2020年以前)

球技専用スタジアムとしてはかなりの古参であるニッパツ三ツ沢球技場。
連休中という事もあって、視聴者側からしばしば見えたバックスタンドはかなりの水色への染まり様でした。

そんな好環境のホームチームとしてサッカーをする横浜FCは、周知の通りかつて横浜フリューゲルス(以下横浜F)の消滅が切欠で産声を上げたクラブです。
駆け出し期(JFLに居た頃)には「Jリーグの蜘蛛の糸」と揶揄されるなど、「J所属クラブから漏れた選手の避難所」のような選手構成になっていたものです。
J1経験したのも遠い過去(2007年)になりつつある近年、昇格争いへの参戦もまずまず現実的で、プレーオフ参戦は2度。
昨年はあと一歩で入れ替え戦に勝ち進みという後半アディショナルタイム、まさかのGKのヘディングシュート(東京ヴェルディ・上福元)を切欠に勝ち越しゴールを奪われ敗退。
想定外の事象にも対処できなければJ1昇格ないしは定着するのは難しい、そんな天の声が垣間見えたかのようなシーンを演出してしまい迎えた今季。

この日は集客こそ6千人台後半と、普段の横浜FCからすると中々のレベルでありました(普段は3千人台もしばしば)。
しかしそれにしては相手の京都の応援の方が目立っていたように思えました。
まあDAZN視聴では、得てしてアウェイチームの応援の音声が目立つ事が多々あるのですが(特にJ2)。

それでも、今季のJ2では特異なサッカーが持ち味の京都をいなしつつ、試合序盤はペースを掴みます。
前半6分ペナルティエリア手前に入れたボールを戸島がポストプレイで繋ぎ、FWイバがシュート。
7分には左サイドから、松浦がエリア内に切れ込んでシュートとチャンスを作る横浜FC。

しかし先制点は京都に入ります。
12分、京都の10番・庄司が中盤でパスを展開すると、安藤が中に切れ込む素振りを見せて右サイドの石櫃へパス。
石櫃はやや溜めた後、ドリブルで上がらずそのままクロスを上げるとこれがニアサイドの絶妙な位置に、そしてそこに今季初スタメンの大野が頭で飛び込みます。
ヘディングは見事にボールを捉え、ネットに突き刺しました。

初めて起用した選手がものの見事に期待に応え、沸き立つ京都サイド。
その後は横浜FCも反撃しますが中々点は奪えず。
惜しかったシーンは18分、左サイドで戸島と松浦がボール奪取しレアンドロ・ドミンゲス(以下Rドミンゲス)へパス。Rドミンゲスはトラップしながら右に切れ込み、エリア手前右の位置から強烈なシュート。
京都GK・清水が何とかセーブします。

横浜FCの攻勢を凌いだ京都、前半30分辺りからは今季の持ち味であるショートパスでひたすら繋ぐサッカーを存分に発揮します。
しかもただ繋ぐだけでは無い、そんな場面が31分。
スローインから横浜FC陣内左奥でボールキープも、一旦クリアされます。
しかしこのボールをDF・本多が拾ってパス。これも相手のカットに遭うと、横浜・中山のキープに対し小屋松が詰めていきます。
中山をライン際に追い込んでからクリアさせると、このボールも本多が拾います。
そして今度は自らドリブルで攻め上がり、Rドミンゲスに奪われますが、三度京都がカット(福岡)。
このボールは一旦戻し、今度は右サイドで展開。仙頭・福岡・庄司・石櫃がパス交換。
最後は奪われて攻撃は終わりましたが、執念じみたまでのセカンドボールの拾いが象徴的だったワンシーンとなりました。

新星・大野が結果を出した京都。
一方の横浜FCも、斉藤光という新星を擁するチーム。(この日はベンチスタート)
今季の新人であり両サイドバックでスタメンの中山・袴田の存在があっても、大卒の両者に対して斉藤光は2年目ながらユース出身の17歳。
今をときめかせる(?)FC東京・久保とは同年代かつ友人同士で、最近の活躍で全国区でも注目を集めつつあります。

前半終了間際、相手のクリアボールを横浜FC・渡邊が拾いイバにパス。
イバは溜めたのちにエリア内に入ったRドミンゲスにラストパス、これを京都DF・石櫃が何とかさわるも、こぼれた先に居た戸島がシュート。
見事にゴールに突き刺さり、最高の時間に同点に追いついた横浜FC。
そして後半開始と同時に、満を持して斉藤光が投入されました(中山と交代)。

しかし交代の影響が現れるかどうかの後半2分でした。
京都の右サイドからのフリーキック、クロスボールを守備に入っていたイバがクリアしたものの、これが小さく仙頭がエリア内でキープする事態に。
仙頭は悠々左足を振り抜き、強烈なシュートが横浜FCGK・竹重の手を弾きゴールに突き刺さりました。

ここからの横浜FCは非常にリズムが悪く、追加点を奪われるまでのシュートは1本のみ。
2トップの一角だった戸島が下がり目でポジションを取りはじめ、4-2-3-1のようなシステムになっているのが目につきました。
中山を代えた事で右サイドバックに渡邊が入り、そのカバーをするためか。
しかし前線のターゲットがイバのみになり、前半ゴール前のプレイで目立っていた戸島はクロスの精度の悪さで悪目立ちするばかり(後半12分)。
左サイドハーフに入った斉藤光も中々存在感を示せず。

そんなリズムの悪さが失点に直結してしまったのが後半15分でした。
DFカルフィン・ヨン・アピンが京都MF・重廣からボールを奪われ、それをカバーしたDF田代も尚プレスを掛けてきた重廣に対しクリアミス。
GKと一対一の状況を作られ、悠々と決められてしまいました。

一方2点差をつけるとともに、今季初の3得点で勝利に近づいた京都。
その後は横浜FCの攻勢にゴールを固める場面が目立ちますが、後半38分には自陣でボールを持った斉藤光を5人で取り囲み、プレッシングでボールを奪取する一面も見られました。

パスの繋ぎ・セカンドボールの奪取・そして状況に応じたプレスとリトリート守備の使い分け。
これが本当に前年残留争いに巻き込まれたチームか、と目を疑いたくなる程チーム状態の良さが光る今季の京都。
今季から監督に就任している中田一三氏はJリーグの監督としては初のシーズン。
同じく新任のコーチである實好礼忠氏・佐藤一樹氏・富永康博氏と分業しながら、ここまで良くチームを立て直していると思います。

そんなコーチ陣のまとめ役な存在が62歳を数えるゲルト・エンゲルス氏です。
横浜F最後の監督としてあまりにも有名な彼。この日その魂を形式的ながら継いでいるチームと相対した心境は傍らからでは決して解りませんが、サポート相手である監督の中田氏もまた横浜F在籍の経験がある人物(中田氏が横浜F在籍の際はコーチだった)。
前年も神戸で元横浜F選手だった吉田孝行監督のサポートを解任まで務めるなど、かつての教え子を陰で支えるという図式が成り立ちつつある近年の彼の仕事。(吉田氏は今季途中神戸監督に再任、しかしもうエンゲルス氏は居ない……)

横浜F消滅の後は、天皇杯優勝の実績を買われてジェフ市原(現ジェフ千葉)の監督に就任するも結果を出せず途中解任。
翌年はかつての横浜F監督・加茂周氏が監督を務める京都のコーチに。ここに横浜F時代の関係が一時復活するも、加茂氏はシーズン途中で解任されて後任監督に。ここから2003年途中まで監督を務め、2002年にはシーズン通算5位(1st6位・2nd7位)という京都最高の成績を残した上に自身2度目の天皇杯優勝と実績を挙げます。
それでも最後は解任され、翌年は浦和のコーチに。ここでの実績(2006年リーグ優勝・2005年2006年天皇杯優勝・2007年ACL優勝)が彼の白眉であると一般的には思われがちですが、個人的には京都での監督時代が最も輝いていたと思います。
黒部・松井といった全国区の選手が前線で躍動する一方、守備的な選手の個人能力に欠けていた節が見られた当時の京都。
それを「無理にボール奪取せず、とにかく守備隊系に穴を作らない」という組織的守備の塊で凌いできた。(ここら辺自分は当時のサッカーを見ていないので完全伝聞です、悪しからず)
この日の後半の京都の守備は、まさにそんな姿の再現だったのでしょう。

試合に話を戻すと、その当時の京都の主力であった松井が、後半23分から横浜FCの選手としてピッチに現れました(松浦と交代)。
ここから斉藤光はポジションをトップ下に移し、Rドミンゲスが右、戸島が左と再びポジションを弄り京都ゴールをこじ開けんとします。

松井はボランチの位置でパスを供給、時には自身もサイドまで張り出してクロスを入れるなど奮闘しますがそこまででした。
前半良かった部分を後半変えてしまい敗れたという印象が残った横浜FC。
松井の目には今の京都の組織力はどう映っていたでしょうか。

コメント
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