10年ぶりの代表監督復帰となる中川氏=21日、都内ホテル
日本バスケットボール協会は21日、都内で男女日本代表の強化方針発表会見を行い、女子の代表監督にWリーグ富士通監督の中川文一氏が就任することを発表した。具体的な契約期間などは今後、詳細を詰めるが、リーグ終了後にチームを離れ、専任で代表活動に当たる予定。男子の監督には、NBAのシャーロット・ボブキャッツのスカウトを務めるデイビッド・A・ホッブス氏が内定した。
中川氏は、1990~99年に女子日本代表のヘッドコーチを務め、20年ぶりの出場となった96年アトランタ五輪で7位、98年バンコクアジア大会では24年ぶりの優勝を果たした。また、76年~2003年まで監督を務めたシャンソンでは、リーグ優勝15回、全日本選手権優勝11回。04年からは富士通の指揮を執り、昨季はリーグ初制覇、全日本選手権3連覇に導いた。
10年ぶりの代表監督復帰に中川氏は、「ナショナルチームを率いたとき、試行錯誤したことが生かせればと思う。まずはアジアで勝たないと」と話し、日本人と体格は近いものの、“世界でも強豪”と評する韓国を超えることを「ひとまずの目標」とした。
以下は、中川氏の会見コメント要旨。
■自分の集大成として結果を出したい
現在、富士通の監督をしているため)専任でという依頼に悩みました。(引き受けた今は)自分の集大成ということで是非結果を出したいと考えております。北京五輪予選で日本は、惜しいところで切符を逃しましたが、日本はその(惜しい)位置にいるということです。若い選手、素材のいい選手を伸ばしながら、(2012年の)ロンドン五輪では切符を取りたいと思います。
■前回よりも短期に強化ができる
前回の監督時代に試行錯誤しながらやっていた課題の、半分以上はクリアされているんじゃないかと思います。ですから、今回はもっと短期に強化することができると考えています。
また、今監督をしている富士通でも、その前のシャンソン時代も、“世界で戦えるバスケット”をずっとやってきました。(日本では高身長の)180センチ台であればすぐにセンターにします。でも、180センチの選手は世界では中型の選手なので、これでは世界で選手たちが生きないだろうと思っていました。プレーヤーはシュートもパスもできる、オールラウンドでなければいけない。私はシャンソン初期の時代からそう考えていたので、違和感はまったくありません。
■韓国を超えることが目標
それから以前の反省として、“世界”を考え過ぎたことがあります。世界というのは、ヨーロッパを意識していたのですが、結局アジアで弱かったというのが私の反省点です。 中国は背が高くても、プレーが大ざっぱな部分があったので勝てましたが、韓国には勝率が悪かった。韓国は今、世界の強豪です。北京五輪では成績が振るわなかったようですが、強豪をかなり苦しめたと聞いています。韓国をもし超えることができれば、日本は世界ランク8位以内に入れるのではないかと考えています。日本にとっては韓国が一番やりにくいですが、その韓国をどう上回るかがこれからの大きな課題ではないかと思います。
■身長を何でカバーするのか
韓国・日本というのは技術は世界のトップのものを持っています。ただ身長がないというだけなんです。それを何で乗り切るのかというのが課題だと思っています。私は日本人が持っている、勤勉さ、頭の良さ、器用さがスキルにつながると思います。そういった日本人の良さを伸ばしながら、スピーディーなバスケットをやっていきたいです。
それからシューティングバスケット、シュートを落としたら負けるんだというバスケットを、もちろんディフェンスもアグレッシブに。コートをいっぱい使ってバスケットをしたいなと思います。身長のないチームが勝つにはそれしか方法がないんではないかと考えています。
男子代表の事でファンダメンタル(基本技能、土台)の話が出ました。わたしもいっときはファンダメンタルに凝りました。それも大事ですが、今はトータル的にチームを強くするほうがもっと大事だという考え方でチームをつくっています。皆様方の期待に添えるように、しっかりと頑張りたいと思います。サポート、応援のほど、よろしくお願いいたします。(スポーツナビ)