今季の抱負を語ったベガルタ・白幡社長。J1昇格に向け開幕からのロケットスタートを掲げた
狙うは開幕ダッシュ! 昨年10月に就任したJ2ベガルタ仙台の白幡洋一社長(65)が、J1昇格へ向けたロケットスタートを宣言した。昨季はJ1・J2入れ替え戦の末、目前で6季ぶりのJ1復帰を逃した。
今季は手倉森誠監督(41)の掲げた完全昇格を目指し、積極的に外国人選手を補強。納得のチーム編成で、昨年の42試合から9試合増の51試合を戦い抜く。
--目標は当然、J1昇格になると思いますが
「それしかない。3月7日のスタートから4月ぐらいまでと考えると、10試合くらいですか。そこで、監督にもお願いしている、どうロケットスタートできるかです」
--開幕から10試合で何勝何敗ぐらいですか?
「何勝なんて出てこない。そういう風に見てもらえるような勝ち方をしろというわけです。勝ったり負けたりじゃなく、さすがにすごいなと。ロケットスタートすれば、向こうも対策を練ってくる。でも、最初から貯金をつくらないと」
--ブラジル人FWのソアレスを獲得するなど、昨年と違って積極的に新外国人選手を補強しています
「ほかの血が入ることで、今いる選手が触発されて新たな可能性が出てくることもある。将来は日本人で、地元に関係の深い選手たちで地元に応援されるチームにしたいです。そこにたどり着くには、外国人だって必要なら使っていく。起爆剤といっていいですね」
--一方で梁、関口などの主力が残留しました
「商品力はやっぱり選手。監督も確かにパーソナリティーの面である程度あると思うけど、やっぱり選手だよね。地元で人気の千葉も残ってくれたし、ゴールキーパーの林も残ってくれた」
--J1昇格へ足りないものとは?
「入れ替え戦の戦いはJ1の最下位レベルじゃないでしょう。あれよりも今年は強化されています。J1に上がっても、結構いいところまで争えると思っています。将来的に安定して、J1の中位から上位を狙えるようになるには、社長を支えるGM的な人をどう確保していくかです。今すぐ入れる気はないけど」
--昨年は無償減資もして赤字を解消しました。今年の課題は?
「今はまず、年間チケットをどう売るかです。(約10試合開催する)宮スタへのアクセスも。おかげさまでベガルタも15周年。ある程度、昇格が見えた場合は15周年のために何をやるかっていうことも考えないと」
白幡 洋一(しらはた・よういち)
1943(昭和18)年12月20日、東京都出身の65歳。都立蔵前工高から62年にリコー入社。81年に東北リコーへ転入し、02年に東北リコー社長、06年4月から1年間会長に就任。昨年4月からみやぎ産業振興機構参与兼プロジェクトマネジャー、みやぎ工業会特任顧問を務めている。
★J1昇格モ~逃がさん!「ロケットスタートだ」
インタビューの中で、白幡社長の口から最も多く出た言葉が『ロケットスタート』だった。巨人の終身名誉監督、長嶋茂雄さんをほうふつさせるセリフに今季にかける意気込みが伝わってきた。
昨年は開幕戦で湘南に0-1で敗れるなど、10試合終了時で4勝4分2敗。負けないサッカーから勝つサッカーへ変わるために“最初が肝心”と当然だが、開幕直後を重要視している。
社長就任3カ月。チームは補強面で積極策に方向転換した。J2横浜FCのブラジル人DFエリゼウ、2月から12月末までの期限付き移籍でポンチ・プレータ(ブラジル)からブラジル人FWのマルセロ・ゴメス・ソアレスを獲得。元韓国代表で韓国・Kリーグの水原三星からDF朴柱成を補強した。
昨年は開幕前に外国人選手の補強はゼロ。消極的だった。J1昇格に向けて、ファン、サポーターが納得できるチーム編成ではなかった。今季は1年前を十分に反省したことがうかがえる。財政面を考えれば、まずまずの補強といわなければならないだろう。
不況下での新たなスポンサー獲得、広告収入、観客増など課題は山積している。「社長の賞味期限は半年。僕は(1月)15日で3カ月。あと3カ月でベガルタが変わったと思わせないと」。白幡社長の打ち出す変化が、J2今季6年目のベガルタに新風を吹き込むか。春季キャンプの内容と開幕からのスタートダッシュに注目したい。(サンスポ)