■命からがらの勝利を得たフェデラー
ベルディハに薄氷の勝利を飾り8強入りしたフェデラー。準々決勝ではデルポトロと対戦する
薄氷の勝利だった。ロジャー・フェデラー(スイス)は、4回戦でトマーシュ・ベルディハ(チェコ)に2セットダウンからの逆転勝ち(4-6、6-7、6-4、6-4、6-2)を収めた。
「彼はほとんどチャンスを与えてくれなかった。でも僕はそのチャンスにしがみついたんだ」とフェデラーは試合を振り返った。頼りない命綱にしがみついて、命からがら抜け出した、これはそういう勝利だった。
鮮やかな逆転勝ちとは言いにくい。ベルディハは才能に恵まれた選手だが、ここ一番での精神的な弱さが指摘されている。第3セット以降のスコアは、身長196センチもある大男ベルディハの“のみの心臓”につけ込んだ勝利とも言える。
1年前を思い出す。フェデラーは3回戦でヤンコ・ティプサレビッチ(セルビア)と5セット、4時間27分、6-7(5),7-6(1),5-7,6-1,10-8という大接戦を演じている。伝染性単核球症による体調不良の影響もあったとはいえ、これは「フェデラーはもはや無敵ではない」とすべての男子選手に印象づけた試合だった。
伏兵ティプサレビッチをなんとか退けたフェデラーだったが、準決勝では同じセルビアのノバク・ジョコビッチに敗れ、05年のウインブルドンから続けてきたグランドスラム決勝への連続出場記録が「10」で途切れてしまう。フェデラー王朝の土台が揺らいだ瞬間だった。
■準々決勝はフェデラーvs.デルポトロ
27日の準々決勝でフェデラーに挑むのは、フアンマルティン・デルポトロ(アルゼンチン)。20歳の第8シード、ツアーでも注目の若手だ。昨年夏には、出場したツアー4大会に連続優勝。全米オープンでもグランドスラム自己最高のベスト8に進出した。錦織圭(ソニー)のベスト8進出を阻止した選手として、その名前を覚えた日本のファンも多いはずだ。
デルポトロの20歳と131日は、全豪でベスト8に進出した選手としては、92年のリカルド・クライチェック(オランダ)以来の若さだという。この記録は少し意外な気がしないでもない。若くして頭角を現す選手はたくさんいるが、デルポトロのような堅実さと力強さを兼ね備えた選手は少ない。そこがベスト8進出の要因であり、また、対戦相手のフェデラーには脅威となるだろう。
フェデラーはベルディハ戦のあとの会見で「デルポトロとは一度だけ対戦している」と話したが、これは記憶違いで、実は07年から08年にかけて3度対戦し、すべて勝っている。対戦を記憶していないのは、ただの勘違いか、それとも、以前はこの若者が眼中になかったのか。ともあれ、過去18大会連続でグランドスラム準決勝に進出しているフェデラーにとって、この準々決勝が難関であることは間違いない。
デルポトロの同世代(1988年生まれ)には、マリン・チリッチ(クロアチア)、エルネスツ・ガルビス(ラトビア)と、才能ある選手が目白押しだ。この“88年組”の台頭により、男子ツアーはかつてない層の厚さを見せている。フェデラーに対し、88年組の筆頭格デルポトロがどんな戦いを見せるか。今後の男子テニス界を占う意味でも大事な一戦となる。(スポーツナビ)
ベルディハに薄氷の勝利を飾り8強入りしたフェデラー。準々決勝ではデルポトロと対戦する
薄氷の勝利だった。ロジャー・フェデラー(スイス)は、4回戦でトマーシュ・ベルディハ(チェコ)に2セットダウンからの逆転勝ち(4-6、6-7、6-4、6-4、6-2)を収めた。
「彼はほとんどチャンスを与えてくれなかった。でも僕はそのチャンスにしがみついたんだ」とフェデラーは試合を振り返った。頼りない命綱にしがみついて、命からがら抜け出した、これはそういう勝利だった。
鮮やかな逆転勝ちとは言いにくい。ベルディハは才能に恵まれた選手だが、ここ一番での精神的な弱さが指摘されている。第3セット以降のスコアは、身長196センチもある大男ベルディハの“のみの心臓”につけ込んだ勝利とも言える。
1年前を思い出す。フェデラーは3回戦でヤンコ・ティプサレビッチ(セルビア)と5セット、4時間27分、6-7(5),7-6(1),5-7,6-1,10-8という大接戦を演じている。伝染性単核球症による体調不良の影響もあったとはいえ、これは「フェデラーはもはや無敵ではない」とすべての男子選手に印象づけた試合だった。
伏兵ティプサレビッチをなんとか退けたフェデラーだったが、準決勝では同じセルビアのノバク・ジョコビッチに敗れ、05年のウインブルドンから続けてきたグランドスラム決勝への連続出場記録が「10」で途切れてしまう。フェデラー王朝の土台が揺らいだ瞬間だった。
■準々決勝はフェデラーvs.デルポトロ
27日の準々決勝でフェデラーに挑むのは、フアンマルティン・デルポトロ(アルゼンチン)。20歳の第8シード、ツアーでも注目の若手だ。昨年夏には、出場したツアー4大会に連続優勝。全米オープンでもグランドスラム自己最高のベスト8に進出した。錦織圭(ソニー)のベスト8進出を阻止した選手として、その名前を覚えた日本のファンも多いはずだ。
デルポトロの20歳と131日は、全豪でベスト8に進出した選手としては、92年のリカルド・クライチェック(オランダ)以来の若さだという。この記録は少し意外な気がしないでもない。若くして頭角を現す選手はたくさんいるが、デルポトロのような堅実さと力強さを兼ね備えた選手は少ない。そこがベスト8進出の要因であり、また、対戦相手のフェデラーには脅威となるだろう。
フェデラーはベルディハ戦のあとの会見で「デルポトロとは一度だけ対戦している」と話したが、これは記憶違いで、実は07年から08年にかけて3度対戦し、すべて勝っている。対戦を記憶していないのは、ただの勘違いか、それとも、以前はこの若者が眼中になかったのか。ともあれ、過去18大会連続でグランドスラム準決勝に進出しているフェデラーにとって、この準々決勝が難関であることは間違いない。
デルポトロの同世代(1988年生まれ)には、マリン・チリッチ(クロアチア)、エルネスツ・ガルビス(ラトビア)と、才能ある選手が目白押しだ。この“88年組”の台頭により、男子ツアーはかつてない層の厚さを見せている。フェデラーに対し、88年組の筆頭格デルポトロがどんな戦いを見せるか。今後の男子テニス界を占う意味でも大事な一戦となる。(スポーツナビ)