<3回戦 香川西(香川) 0-1 前橋育英(群馬)>
香川西に勝った前橋育英は7大会ぶりのベスト8進出を決めた
前日に同じ会場で好ゲームを見せた香川西(香川)と前橋育英(群馬)の一戦は、戦力層の違いが如実に現れる格好となり、前橋育英が1-0で7大会ぶりのベスト8進出を決めた。
■慌てた香川西のミスが痛恨の決勝点に
前半、前橋育英は左MFの中美慶哉が徹底的に1対1を仕掛け、中へ切れ込んではミドルシュートでゴールを脅かし、試合の主導権を握った。香川西の右サイドバックを務めるのは、本来はFWのポジションの2年生、田中集。初戦の市立船橋戦ではそつなく仕事をこなしたが、この日はしっかりと情報を収集していた相手に狙われた。そして前半12分、早々にペースを失って混乱の生じた香川西が痛恨のミスで失点を招いた。前橋育英のボランチ六平光成がディフェンスラインのパス回しが乱れたところをカットし、一気にドリブルで切れ込むと、相手のファウルを誘ってPKを獲得。これを落ち着いて決めて先制点を挙げ、結果的にはこれが決勝点となった。
両チームが対照的だったのは、その後だった。前橋育英は後半に運動量が落ちたものの、途中出場のFW小牟田洋佑が1年生とは思えない働きを見せた。山田耕介監督も「良いでしょう? ボールが落ち着いていたよね。これからも途中出場にするかどうかは分からないよ」と、先発抜てきの可能性を示唆するほどだった。前日には、同じく1年生FWの小島秀仁も鋭い突破力で存在をアピールしていた。先発に2年生が6人と若いチームでありながら、なおも下級生からの突き上げがある。全国大会の常連らしい層の厚さが感じられた。
■エース登里の負傷が大きく響いた香川西
初戦で優勝候補の市立船橋を下した香川西だったが、この日は苦しい展開を強いられた
一方の香川西は、苦しい展開を強いられた。大浦恭敬監督は「田中は悪くない。昨日はよく頑張ってくれていた。うちはそこまで層が厚くない」とかばったが、再三にわたって破られた右サイドは、前半のうちに選手交代を余儀なくされた。後半に入ると、前日に左ひざのじん帯を痛めて精彩を欠いた左MF登里享平が、無念の交代。「ハーフタイムにも『動けるか?』と確認されたけど、交代したくなかった」と意地を見せていたが、この日は見せ場を作ることができなかった。むしろ、チームがチャンスを迎えたのは登里が退いた後。「いなくなってからの方が良かった。勝負事ではこういうことも大事なんだと思った」と、無理なプライドを見せた反省をのぞかせた。しかし、登里を簡単にはベンチに下げられないこともまた、戦力層が薄いことの裏返しと言える。
それでも、後半は出足の止まった前橋育英に対し、香川西が積極的なアタックを仕掛けて形勢を逆転した。風下であるにもかかわらず、サイド突破をしつこく仕掛け、試合終了間際にはGKと1対1になる場面も作ったが、ミスでチャンスをふいにしてしまった。大浦監督は「ひとつひとつのプレーに対するこだわりが違った。学校のテストで70点を取るのは、少し頑張ればできる。でも90点以上になると、あと1点を取るのがすごく難しくなってくる。そういう部分で私は、70点のところまでしか作れなかった」と、最後まで選手をかばい、チーム作りでの出直しを誓っていた。成長の手応えがある前橋育英と、敗戦にも成長のための糧を得た香川西。際どい1点差のゲームが両校に与えたものは少なくない。(スポーツナビ)
香川西に勝った前橋育英は7大会ぶりのベスト8進出を決めた
前日に同じ会場で好ゲームを見せた香川西(香川)と前橋育英(群馬)の一戦は、戦力層の違いが如実に現れる格好となり、前橋育英が1-0で7大会ぶりのベスト8進出を決めた。
■慌てた香川西のミスが痛恨の決勝点に
前半、前橋育英は左MFの中美慶哉が徹底的に1対1を仕掛け、中へ切れ込んではミドルシュートでゴールを脅かし、試合の主導権を握った。香川西の右サイドバックを務めるのは、本来はFWのポジションの2年生、田中集。初戦の市立船橋戦ではそつなく仕事をこなしたが、この日はしっかりと情報を収集していた相手に狙われた。そして前半12分、早々にペースを失って混乱の生じた香川西が痛恨のミスで失点を招いた。前橋育英のボランチ六平光成がディフェンスラインのパス回しが乱れたところをカットし、一気にドリブルで切れ込むと、相手のファウルを誘ってPKを獲得。これを落ち着いて決めて先制点を挙げ、結果的にはこれが決勝点となった。
両チームが対照的だったのは、その後だった。前橋育英は後半に運動量が落ちたものの、途中出場のFW小牟田洋佑が1年生とは思えない働きを見せた。山田耕介監督も「良いでしょう? ボールが落ち着いていたよね。これからも途中出場にするかどうかは分からないよ」と、先発抜てきの可能性を示唆するほどだった。前日には、同じく1年生FWの小島秀仁も鋭い突破力で存在をアピールしていた。先発に2年生が6人と若いチームでありながら、なおも下級生からの突き上げがある。全国大会の常連らしい層の厚さが感じられた。
■エース登里の負傷が大きく響いた香川西
初戦で優勝候補の市立船橋を下した香川西だったが、この日は苦しい展開を強いられた
一方の香川西は、苦しい展開を強いられた。大浦恭敬監督は「田中は悪くない。昨日はよく頑張ってくれていた。うちはそこまで層が厚くない」とかばったが、再三にわたって破られた右サイドは、前半のうちに選手交代を余儀なくされた。後半に入ると、前日に左ひざのじん帯を痛めて精彩を欠いた左MF登里享平が、無念の交代。「ハーフタイムにも『動けるか?』と確認されたけど、交代したくなかった」と意地を見せていたが、この日は見せ場を作ることができなかった。むしろ、チームがチャンスを迎えたのは登里が退いた後。「いなくなってからの方が良かった。勝負事ではこういうことも大事なんだと思った」と、無理なプライドを見せた反省をのぞかせた。しかし、登里を簡単にはベンチに下げられないこともまた、戦力層が薄いことの裏返しと言える。
それでも、後半は出足の止まった前橋育英に対し、香川西が積極的なアタックを仕掛けて形勢を逆転した。風下であるにもかかわらず、サイド突破をしつこく仕掛け、試合終了間際にはGKと1対1になる場面も作ったが、ミスでチャンスをふいにしてしまった。大浦監督は「ひとつひとつのプレーに対するこだわりが違った。学校のテストで70点を取るのは、少し頑張ればできる。でも90点以上になると、あと1点を取るのがすごく難しくなってくる。そういう部分で私は、70点のところまでしか作れなかった」と、最後まで選手をかばい、チーム作りでの出直しを誓っていた。成長の手応えがある前橋育英と、敗戦にも成長のための糧を得た香川西。際どい1点差のゲームが両校に与えたものは少なくない。(スポーツナビ)