<2回戦 市立船橋(千葉) 1-2 香川西(香川)>
■躍動した香川西の1年生コンビ
香川西の1年生FWの大西晃広(左)が大浦監督の期待に応えて2ゴールの活躍を見せた
赤いユニホームの坊主頭が躍動した。香川西(香川)の大浦恭敬監督が「夏を過ぎて走れるようになったから」と起用理由を話した2人の1年生はこの日、立ち上がりから高校総体(インターハイ)チャンピオンの市立船橋(千葉)を苦しめた。FWの大西晃広は相手の最終ラインの裏を狙って出入りの激しいムービングを見せ、MF佐々木卓弥は積極果敢に攻め上がるサイドバックとのバランスを取りながら、タイミングよく前線に顔を出して、攻撃に厚みを持たせた。
前半18分、香川西はJ1川崎フロンターレ入団が内定しているMF登里享平が自慢の瞬発力を生かし、1人をかわして左サイドからクロスボールを送り込む。大西がボレーを落ち着いて決め、先制点をマーク。前半24分には、ピッチ中央から放り込まれた縦パスにまたも大西が素早く反応し、角度のないところから豪快にシュートを突き刺して追加点を奪った。「ゴールが見えたので迷わず打った」という怖いもの知らずの16歳の一撃が、市立船橋にとっては致命傷となった。
■指揮官が貫いた目指すサッカー
市立船橋はインターハイ王者であり、何より最激戦区としてその名をとどろかせる千葉県の代表である。結果のみで判断すれば、今大会の優勝候補筆頭のチームが早期敗退したことを残念に思うファンも多いだろう。しかしこの日、試合の内容では香川西の素晴らしさがより目立っていた。試合を見たならば、むしろ多くの人が好チームの勝ち上がりを素直に喜ぶに違いない。
香川西は4バックを基盤とするが、攻撃時にはDFが1枚必ず攻め上がり、分厚くなった中盤でパスをつなぐ特徴を持つ。そこからサイドへ展開すると、左の登里、右の石田一貴が鋭い突破力で相手に脅威を与える。そうかと思えば、中央へ横パスをつないで、相手のディフェンスラインの裏へ走る2トップへスルーパスを狙う。
この日、後半26分に市立船橋が1点を返してパワープレーに出てからの10分余り、香川西が崩れなかったのは、何よりも攻守の切り替えの早さに要因がある。大浦監督が「陸上競技ではフライングは禁止だけど、サッカーではフライングはルール違反ではない」と、常に要求している素早い判断と対応がそこにあった。
■インターハイ王者にリベンジ
昨夏のインターハイでは敗れた王者・市立船橋相手に、選手権の舞台でリベンジを果たした
香川西は昨夏のインターハイ3回戦で対戦した際には市立船橋に0-1で敗れたが、チームのポテンシャルを高く評価していた大浦監督はぶれなかった。攻め上がりの多い4バックは、当然のことながら、ボールを失えばカウンターの餌食となる。夏ごろまでは攻撃力を発揮する一方でリスクも目立ち、完成度はいまひとつだった。
しかし、「今年は、僕がよく我慢したなと自分で思うぐらい」と指揮官が語るほど、目指すサッカーを変えることなく築き上げてきた。だからこそ、相手への対策を聞かれたときには、「今年のチームはいけると思っていたので、対策はしていない。むしろ、いつもやっていることをできるかどうかがテーマだった」と、秘めていた自信を垣間見せた。
1年生コンビがレギュラーポジションを獲得したのは、共に夏を過ぎてから。大浦監督は、2得点でラッキーボーイとなった大西もさることながら、中盤で力を発揮した佐々木についても「運動量があって、ポジショニングがいい。総体では登録メンバーにも入れていなかったが、伸びてきた」と高い評価を与えた。我慢して鍛え抜き、ルーキーの抜てきもあって一皮むけた香川西が、見事にリベンジを果たした一戦だった。(スポーツナビ)
■躍動した香川西の1年生コンビ
香川西の1年生FWの大西晃広(左)が大浦監督の期待に応えて2ゴールの活躍を見せた
赤いユニホームの坊主頭が躍動した。香川西(香川)の大浦恭敬監督が「夏を過ぎて走れるようになったから」と起用理由を話した2人の1年生はこの日、立ち上がりから高校総体(インターハイ)チャンピオンの市立船橋(千葉)を苦しめた。FWの大西晃広は相手の最終ラインの裏を狙って出入りの激しいムービングを見せ、MF佐々木卓弥は積極果敢に攻め上がるサイドバックとのバランスを取りながら、タイミングよく前線に顔を出して、攻撃に厚みを持たせた。
前半18分、香川西はJ1川崎フロンターレ入団が内定しているMF登里享平が自慢の瞬発力を生かし、1人をかわして左サイドからクロスボールを送り込む。大西がボレーを落ち着いて決め、先制点をマーク。前半24分には、ピッチ中央から放り込まれた縦パスにまたも大西が素早く反応し、角度のないところから豪快にシュートを突き刺して追加点を奪った。「ゴールが見えたので迷わず打った」という怖いもの知らずの16歳の一撃が、市立船橋にとっては致命傷となった。
■指揮官が貫いた目指すサッカー
市立船橋はインターハイ王者であり、何より最激戦区としてその名をとどろかせる千葉県の代表である。結果のみで判断すれば、今大会の優勝候補筆頭のチームが早期敗退したことを残念に思うファンも多いだろう。しかしこの日、試合の内容では香川西の素晴らしさがより目立っていた。試合を見たならば、むしろ多くの人が好チームの勝ち上がりを素直に喜ぶに違いない。
香川西は4バックを基盤とするが、攻撃時にはDFが1枚必ず攻め上がり、分厚くなった中盤でパスをつなぐ特徴を持つ。そこからサイドへ展開すると、左の登里、右の石田一貴が鋭い突破力で相手に脅威を与える。そうかと思えば、中央へ横パスをつないで、相手のディフェンスラインの裏へ走る2トップへスルーパスを狙う。
この日、後半26分に市立船橋が1点を返してパワープレーに出てからの10分余り、香川西が崩れなかったのは、何よりも攻守の切り替えの早さに要因がある。大浦監督が「陸上競技ではフライングは禁止だけど、サッカーではフライングはルール違反ではない」と、常に要求している素早い判断と対応がそこにあった。
■インターハイ王者にリベンジ
昨夏のインターハイでは敗れた王者・市立船橋相手に、選手権の舞台でリベンジを果たした
香川西は昨夏のインターハイ3回戦で対戦した際には市立船橋に0-1で敗れたが、チームのポテンシャルを高く評価していた大浦監督はぶれなかった。攻め上がりの多い4バックは、当然のことながら、ボールを失えばカウンターの餌食となる。夏ごろまでは攻撃力を発揮する一方でリスクも目立ち、完成度はいまひとつだった。
しかし、「今年は、僕がよく我慢したなと自分で思うぐらい」と指揮官が語るほど、目指すサッカーを変えることなく築き上げてきた。だからこそ、相手への対策を聞かれたときには、「今年のチームはいけると思っていたので、対策はしていない。むしろ、いつもやっていることをできるかどうかがテーマだった」と、秘めていた自信を垣間見せた。
1年生コンビがレギュラーポジションを獲得したのは、共に夏を過ぎてから。大浦監督は、2得点でラッキーボーイとなった大西もさることながら、中盤で力を発揮した佐々木についても「運動量があって、ポジショニングがいい。総体では登録メンバーにも入れていなかったが、伸びてきた」と高い評価を与えた。我慢して鍛え抜き、ルーキーの抜てきもあって一皮むけた香川西が、見事にリベンジを果たした一戦だった。(スポーツナビ)