あすかパパの色んな話

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【プロ野球】中村紀洋、戦力外から掴んだ8年ぶりの球宴に懸ける思い

2012年07月19日 20時26分40秒 | コラム

ファン投票によって、8年ぶりのオールスター出場を果たした中村紀洋

2004年以来、8年ぶり8度目のオールスター出場を果たした中村紀洋(横浜DeNA)。ファン投票での選出は、実に10年ぶりのことだった。

「オールスターはもう難しいだろうと思っていましたけど、元気な姿を見せられる機会をいただきました。ファン投票で入れていただいたみなさんに、豪快なスイングを見てもらいたいです」

 オールスター明けの7月24日に39歳となる男の言葉に実感がこもる。振り返れば、オールスター出場の足跡が、中村の激動の野球人生を伝えている。

 4年連続オールスター出場(99~02年)の時期は、近鉄『いてまえ打線』の顔として球界を代表する打者にまで上り詰めた絶頂期。00年には本塁打、打点の二冠に輝き、01年も打点王を獲得し、リーグ制覇に貢献。年俸も5億円を超えた。しかし02年オフ、メジャー挑戦を表明し、ニューヨーク・メッツと契約寸前までいくも破談。ここからすべての歯車が狂っていった。

 一転、近鉄に残留したものの、ファンも周囲も反応は冷ややかだった。そこに故障も重なり、不本意な成績のまま、05年にポスティングシステムでロサンゼルス・ドジャースへ移籍するも、チャンスをものにすることができず、わずか1年で帰国。さらに翌年、古巣・近鉄と合併したオリックスに入団したが、故障をめぐる見解の相違から1年で自由契約となった。

 07年には育成選手からの再出発となった中日で復活を果たし、日本シリーズでもMVPを獲得したが、08年オフに国内FA権を行使して楽天に移籍。しかし、在籍した2年間で結果を残せず、10年オフに再び戦力外通告を受けた。

そして昨年、「育成でもいいから野球を続けたい」とひとりで練習を続けたが、4月、5月と時は過ぎ、さすがにここまでか……と思われた。しかし6月、横浜から獲得のオファーが届き、首の皮一枚で野球人生がつながった。それでも期待された一発は、交流戦でソフトバンクの杉内俊哉(現・巨人)から放った代打アーチの1本のみで、さすがに力の衰えを感じさせた。しかし、本人の思いだけは違っていた。

「『使ってさえもらえれば、もっとやれる』と、いつも言っていました」

 そう語ったのは、息子のたび重なる挑戦を見守り続けてきた父の洋二氏だ。その言葉通り、今シーズンは中畑新体制の下でスタメン出場の機会を掴むと、7月19日現在、打率.295(リーグ3位)、8本塁打(リーグ9位)、42打点(リーグ4位)と結果を残し、得点圏打率.352はリーグトップ。4月15日の巨人戦では西村健太朗から通算10本目となるサヨナラホームランを放ち、これは清原和博の12本、野村克也の11本に続く歴代3位。持ち前の勝負強さも健在だ。

 何度も崖っぷちに立たされながら、「絶対、誰かが見てくれているはず」とバットを置くことはしなかった。そんな息子について、洋二氏は次のように語る。

「とにかくアイツは野球が大好きなんです。自分には野球しかないとわかっているから、簡単に辞めるわけにはいかない。本当にその思いひとつでここまでやってきたんだと思います」

 子どもの頃、テレビを見る時も手はバットを握っているか、グラブがはめられていた。寝る時も、枕元にバットを置いているから、朝起きると「こんなところに置いとったら危ないやろ!」と母親によく怒られた。しかし、翌日も翌々日も同じことが続き、やがて誰も何も言わなくなった。

91年にドラフト4位で近鉄に入団してからは、強烈なプロ根性で戦い抜いてきた。入団1年目に打撃フォームの改造を首脳陣から迫られたが、頑(かたく)なに拒否。「打てるか打てないか、一度でいいから一軍に上げてください」と直訴し、巡ってきたチャンスで見事な一発を放った。それから若手の指導に定評があった水谷実雄氏の猛練習に耐え抜き、一気に頭角を現したのが90年代半ば。

 筋肉の裂ける音が聞こえるほどの肉離れを起こしても、患部をテーピングでグルグル巻きにしてバットを振り続けた。足の指を骨折した時も、スパイクの先を切り取って痛みを和らげ試合に出続けた。

 そんな中村が挑む8年ぶりのオールスター。近鉄時代から時間の許す限り球場へ足を運んできた両親は、「もちろん観戦します」と声を弾ませた。第1戦が行なわれる京セラドームは、かつて中村が頂点を極めた思い出の球場。当時を知るファンの前で、どんなプレイを見せてくれるのか。

「ヒットじゃつまらないでしょうから、全打席ホームランを狙って、思い切り振っていきたい。以前、オールスターで3試合連続ホームランを打ったこともあるので、今回も3試合連続で打てるように頑張ります」

 万感の思いを秘め、8年ぶりの夢舞台に立つ中村の豪快なフルスイングを堪能したい。(スポルディーバ Web)



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