私の気ままな部屋 - ♪asitahatennki♪

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『 ひとがた流し 』 北村薫

2007-08-26 | 小説

久しぶりに読む 北村薫さんの作品。
とても優しい気持ちで本を読むことができました。

一言でまとめてしまうと
女3人の友情を描いた本です。

女の友情・・・
こう書くと、女の過剰な友情、
さっぱりしないものを連想しがちですが
この本は、とても優しく 思いやりのある
それでいて上辺だけの友情ではなく・・・。

私にも こんな自慢出来る友情があるのだろうか 
心の底から、友達!ってすごくいいな って思える本でした。

内容を簡潔にまとめると
アナウンサーの千波、作家の牧子、元編集者で写真家の妻となった美々。
この3人の友情の物語である。

千波と牧子は小学生から
そして、美々とは高校からの幼なじみ。
牧子と美々は離婚を経験、それぞれ一人娘を持つ身である。
一方、千波は朝のニュース番組のメインキャスターに抜擢された矢先、
不治の病を宣告されることになる。
そして、いちょうやさんの出現・・・。
それを契機に、三人それぞれの思いや願い、
そして、ささやかな記憶の断片が想い起こされてゆきます。

私がこの本の中で 一番心に残ったフレーズを
書き留めておくことにします。

それは・・・、
人が生きていく時、力になるものは何かっていうと、
『自分が生きていることを、切実に願う誰かが居るかどうか』
って事だと思う。
人間は風船みたいで、誰かのそう言う願いが、
やっと自分を地上につなぎ止めてくれる。

心に響いた一文でした。

この小説も、心から友の事を思いやる気持ちが溢れていて
「いちょうやさん」が出てきてから後半は
特に、涙無しでは読めませんでした。

人が人を、心から本当に思いやる気持ちって
すごいものなんですよね。

心の傷を心で読み取ることが出来る!!
とても 素敵な小説でした。

最近は刑事物とか
何か心寂しくなるような事件の本とかしか読んでいなく

心に響く小説に久しぶりに出会えた気がしました。

女の友情にもこんなにすばらしいものがあったんだ!
って気付かさせてくれた と言うことで
私的には 5つでした。







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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
心に沁みる (仙丈)
2007-08-28 10:59:32
私も久しぶりに、感動する本に出會ひました。
北村薫さんの作品は、淡々としてゐるくせに、心に沁みてくるものが多いですね。
讀者の涙を誘はうとする「あざとさ」が感じられません。
この本は私も5つ星です。


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こんばんは♪ (miyukichi)
2007-08-28 20:45:02
 TB&コメント、どうもありがとうございました。

 女の友情も、いちょうやさんとの恋愛も、
 とてもよかったですよね。
 ボロボロ泣けました。

>『自分が生きていることを、
 切実に願う誰かが居るかどうか』

 これ、重い一文です。。
 うーん、私には親以外に思い浮かびません、
 悲しいことに・・・(>_<)

 読み終わって、
 あたたかな気持ちになれる本でしたよね。
 とてもよかったです。
返信する
こんばんは。 (asitahatennki)
2007-08-28 23:10:20
仙丈さんへ

コメント、TBありがとうございます。

ホントにそうですね。
北村氏の作品は、心に響く作品が多いいですよね。
スキップ、リセットを以前読みましたが
どちらの作品も 何とも言えぬ
優しさのある本だったと記憶しています。



miyukichiさんへ

コメント、TBありがとうございました。

そうなんです。
いちょうやさんが出現してからですよね。
ボロ泣きになっちゃうのは・・・

だけど、千波にいちょうやさんが居てくれて
本当に良かったですよね。

牧子が最後にいちょうやさんに聞いた言葉。
『千波は、我が儘をいいましたか?』
本当に千波を分かっていなければ
あの言葉は出てきませんよね。

『千波が我が儘を言ったかもしれませんが
すみませんでした。』・・・ とか、
言わなかったところが 凄い!と感動しました。

そして、彼女は千波が我が儘を言った事に安心した。
これこそが 本当に理解し合っている友達
ならではの言葉ですよね。

こんな友達。
そして、いちょうやさんが居てくれた。
千波の一生は、たとえ短くても
思いっきり幸せですよね。
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