私の気ままな部屋 - ♪asitahatennki♪

読んだ本、映画、美味しいお店、新たな発見、興味あること等を少しでも書き残せたらと思っています。

『 神様のカルテ 』 夏川 草介

2011-09-09 | 小説

内容 

栗原一止(いちと)は信州にある「24時間、365日対応」の病院で働く内科医。
ここでは常に医師が不足している。
専門ではない分野の診療をするのも、睡眠を取れないことも日常茶飯事。
そんな一止に、母校の医局から誘いの声がかかる。
悩む一止の背中を押してくれたのは、高齢の癌患者・安曇さんからの思いがけない贈り物だった・・・。

第10回 小学館 文庫小説賞受賞、
2010年本屋大賞 第2位。


物語は 病院の中
死を目前にした 入院患者との毎日。

暗いはずの内容になるはずなのに
この心温まる気持ちは凄いと思いました。

忘れてはならない 相手を思う気持ち。

そして死を前にした人が求めるもの
それは最高の医療なんかではないこと。

病んでいる人の心は孤独なんです。 と最後の安積さんからの手紙の言葉。

その大切な 心のケアーを忘れてはならない ということ。

大学病院という 大きな組織の元で働くか
信州の医師不足であるこの病院で働くかの 
一止の迷いを消して
進む道を 後押ししてくれた
安積さんからの手紙 でした。


一止の妻 ハルの存在も とても大きなものと感じました。

自分の仕事をしっかり持ちながらも
一止を優しく控えめに でも力強く支えるその姿が羨ましくも感じさせられました。

忙しく回っていく毎日が 当たり前になってる今日この頃
こんな風に ゆっくり時を 過ごせる気持ちになることは 大切ですよね。

一止の働く病院は24時間診ます という看板があがっているため
患者さんは 毎日溢れ
目の回る忙しさで働いている一止

でも 一止の過ごしている空間が ゆっくり穏やかに進んでいると
感じさせられたのは 私だけなんでしょうか。


とても 心温まる物語でした。

『 ストーリー・セラー 』 有川 浩

2011-08-25 | 小説

物語 

このままずっと小説を書き続けるか、あるいは……。
小説家と、彼女を支える夫を突然襲った、あまりにも過酷な運命。
極限の選択を求められた彼女は、今まで最高の読者でいてくれた夫のために、物語を紡ぎ続けた――。
「Story Seller」に発表された一篇『SAID・A』に、
単行本のために書き下ろされた新たな一篇『SAID・B』を加えて贈る完全版!



真っ白な本に ブルーのリボンがかけられている表紙

これは 書ける人彼女が 読む人側彼に贈ったプレゼント?

『SAID・A』は、彼女が難病
思考するごとに 寿命が縮んでしまうという設定。

夫婦である彼と彼女の出会ったころからのエピソードに戻り
今ある 夫婦生活が綴られる。
病と闘いながらも お互いを尊重しあい労わりあい。

単なる夫婦愛の物語とは言いたくない。

こんな素敵な関係があったんだと
ただただ 涙なくしては読めませんでした。

そして、亡くなった後 みつけられた
最後に彼へと 宛てた手紙・・・。

「私の大好きな大好きな大好きなあなたへ」ではじまり

一番初めの読者はあなたです。

今まで読んできた小説の中で一番好きだ と言ってくれるあなたがいたから
こんなことになっても最後まで書けます。 と・・・。

最後まで支えてくれてありがとう。
私を幸せにしてくれてありがとう。
それでは。

で 手紙が終わっている。

さようなら。 とは書けなかった彼女・・・

切なすぎました。


『SAID・B』は、同じ設定で 結末だけが変わるかと思いきや
書ける彼女と 読む側彼というのが同じなだけで
まったく逆の設定・・・。

同じパターンなのに感覚がまったく違う。
でも ぐいぐい引き込まれるのは AもBも同じ。

これは 有川先生自身のお話らしいとか・・・。

だとしたら こんな素敵なご夫婦があったんだ と
ただただ 感銘。

読み終わったあと いつまでも 私の頭の中がグルグル廻ってしまう。

そして、心の中が素敵に重く。

久しぶりに最高の本に出会えました。

もちろん 

 

『 悪の教典 』 貴志 祐介

2011-08-20 | 小説


『このミステリーがすごい』2011年 第一位に選ばれた作品。 

物語 

  生徒に絶大な人気を誇り、
  PTAや職員の間でも抜群に評判のいい教師が
  反社会性人格障害(サイコパス)だったとき、
  惨劇へのカウントダウンが始まった。

  英語科教諭・蓮実聖司、32歳。

  暴力生徒や問題父兄、淫行教師など、現代の学校が抱える病理に
  骨まで蝕まれた私立高校で、彼は何を行ったのか。

  高いIQをもつ殺人鬼は、“モリタート”の旋律とともに
  犯行を重ねていく。



自分の思い通りにならないもの 
自分という存在を完璧にするために妨害になるものは
すべて 抹殺してしまう。

上下 厚みのある2巻。

読み応えは充分。

先が気になり 読む手もとまらず読んでしまった。

しいて言えば 下巻に入り 生徒を殺害していく場面が
長すぎのような・・・

読みながら『 バトルロワイアル 』を思い出してしまった。

人を殺すことに 罪の意識も感じられず
残酷な殺し方で どんどん展開するところが
思い出さずには居られなかった・・・

最後、蓮見は捕らえられても
これだけの 殺人を犯したことに 悪びれる精神もなく
罪を軽く逃れる方にとIQが働く。

彼はきっと 世の中に 戻ってくる。

そして、自分の殺人計画の完成度を壊した 
夏越雄一郎と片桐怜花に、復讐するんだろうと 思わせる最後。

最後の最後まで この旋律は 消えませんでした。


 というところで 

『  造花の蜜  』 連城 三紀彦

2009-08-14 | 小説

 造花の蜜はどんな妖しい香りを放つのだろうか…

二月末日に発生した誘拐事件で、
香奈子が一番大きな恐怖に駆られたのは・・・

それより数十分前、八王子に向かう車の中で事件を察知した瞬間でもなければ、
二時間後 犯人からの最初の連絡を家の電話で受けとった時でもなく、
幼稚園の玄関前で担任の高橋が
こう言いだした瞬間だった。

「だって、私、お母さんに…あなたにちゃんと圭太クン渡したじゃないですか」。
それは、この誘拐事件のほんの序幕にすぎなかった―。


展開が凄すぎて びっくりでした。

息子の圭太が蜂にさされたから・・・ と誘拐が始まる。

そして身代金を欲しいのか欲しくないか? 
の、誘拐犯からの電話。

そして渋谷のスクランブル交差点の真ん中での身代金の受け渡し
誰が味方なのか 敵なのか・・・?

挙げ句の果ては 誰が誘拐されているのか?
誰が本当の犯人なのか・・・?
で、クライマックスに繋がっていく。

あり得ないような誘拐・・・

最後はそうだったんだぁ・・・で終わりたかった。

あの、最後のおまけのようにあった一文
あれは 無かった方が良かったのでは・・・
と、思えたのは わたしだけ・・・

思いもつかなかったストーリーの展開だったので

 っていうところで 








『 1Q 84  』 村上 春樹

2009-08-01 | 小説

売り切れで、なかなか手に入らなかった『1Q84』

やっと完読。

帯を読んでも なんにも書いてなく
目次を読んでも 意味不明・・・

一体 どんな内容の本なのか
なんの予備知識もなく 真っ新な状態で・・・

やっぱり 村上ワールド。
不思議な本でした。

内容は現実では あり得ないような事態
でも、それぞれの登場人物が
一生懸命に生きてる姿が 凄く 素直に書かれていたように感じました。

一言で言えば・・・
私には 究極の愛の物語? として捉えて読みましたが

読んだ方全員が 愛の物語として捉えないのかもしれません。

何を中心に置いて読むかで
この本に対する感想が 違ってくるのでしょう・・・。

と 私は思います。

ここからは 内容がばれちゃうかも・・・
読まれてない方は 読まないで下さい!

ラストは とても衝撃でした。

まさか 青豆が拳銃を口の中に入れてしまう結末は
想像もしていませんでした

公園で天吾を、あんなに近くに感じることが出来たのに
天吾の青豆を想う気持ちに 気付くこともなく
あまりにも 悲しい結末でした。

でも、天は見捨てなかった?
いいえ 天ではなくリトルピープルが引き合わせてくれた?

天吾にあの時のままの 青豆を・・・。

でも 結局 リトルピープルとは
なんだったんでしょう・・・

私は臭い芝居になっても ハッピーエンドを望みます。

だから この小説は悲しい結末でした。

でも、凄く心惹かれます。

私的には  5つです。




『  楽園  』 宮部 みゆき

2009-02-11 | 小説

 詳細 
「模倣犯」事件から9年が経った。
事件のショックから立ち直れずにいるフリーライター・
前畑滋子が再び登場。
その彼女のもとに、萩谷敏子という女性が現れる。
事故で死んだ12歳の息子が、実は予知能力を持つサイコメトラー
つまりは、超能力者だったかも知れない!と・・・。
その真偽を調べて欲しいという依頼だった。
彼は16年前に殺された少女の遺体が発見される前に、
自分が描いた「絵」で予言していた。
敏子の亡き息子への強い思いを感じた滋子は調査に乗り出す。

うーーーん
超能力者 本当に存在するのでしょうか?
自分の目では見ていませんが
心の目で感じるその現実・・・。

物語の中ででも信じていない人がほとんどでした。
偶然の一致・・・。?

でも、世の中に偶然!ってないんですよね。
すべては必然

出逢う人も すべては偶然ではなく
出逢うべくして出逢った!と信じている私です。

真実が予知どおりと分かっていくすべが面白く。
また、息子に予知があったのか・・・。
純朴にその真実を知りたい母親の
素朴な心に出会えた事に感動でした。

「このミステリーが凄い!」の 
2008年版 第8位に選ばれただけのことはある
 物語でした。

は 4つ ということで。

 


『 あじさい日記 』 渡辺 淳一

2008-06-13 | 小説

 題名がなんだか素敵ですよね。

でも、内容は 夫の不倫、それに気を揉む妻
そして、妻もいつしか好きな人が・・・

なんだか 昼ドラになりそうな設定。
ここまで読んでも 興味がわく小説ではありませんよね。

でも、これを書いたのは 渡辺淳一。
面白くなくまとめるわけがありませんでした。

妻の日記を偶然にも夫が読んでしまう という設定。

夫は開業医でお金も地位もあり、
自分の病院の看護婦さんと不倫。

そして、妻は夫の浮気に気づいている。
「あなたがどんなに隠しても、わたしにはわかる。」
自分の浮気が、ここまで見抜かれていたとは…。
と 妻の日記を盗み読みして気付かされる。

人の日記を盗み読みするなんて! 
と、怒りの気持ちが沸いてくるのだけれども
日記という 秘密の物を見てしまいたくなる
人間の心理。

夫は いけないことと知りながらも
ついつい 妻の寝室のベッドに隠されている日記が
気になってしょうがない。

私も つい 日記の先が気になり
サクサクと一気に読んでしまった。

妻の 他の男の人への恋心が分かってしまうと
自分の浮気そっちのけで
気になってしょうがない・・・

男と女の気持ちの微妙なところが本音で書かれていると思った。

そして 妻が 日記に書いた暗号。

『FTTB SNSIN DKRT WTSNZNSNG MEAGR』

何故 自分の日記なのに暗号が出てくるのか・・・

それは この小説の最後 1行で解決・・・。

夫の、『男の不倫は許せるけれど女の不倫は絶対許せない!』 
と 言い切った彼

彼の横暴な考え方、行動には腹も立ったけれど
最後の1行で 一発逆転!

女性は やっぱり凄い! の一言でした。

2007年産経新聞に載った小説とのこと
毎日 少しずつしか読めなかったら
この小説の夫と同じように 気を揉むことになったかもしれません

サスペンスでもないのに 最後でビックリ!
っていうのも 変な物ですね。

そうそう、ちょっと難しめの暗号文があるんですよね。

『SNSIN DKRT BDNTORKM AIBOUKT WTSW SBTO YRSTSMU』

これ 読めるかなぁ。
純ちゃんなら分かる? 

ではでは・・・
人間の心理作戦小説とみたら 
 は3つ半というところで。



 


『 ダイイング・アイ 』 東野 圭吾

2008-05-01 | 小説

 書籍紹介
記憶を一部喪失した雨村槇介は、自分が死亡事故を起こした過去を知らされる。
なぜ、そんな重要なことを忘れてしまったのだろう。
事故の状況を調べる慎介だが、以前の自分が何を考えて行動していたのか、
思い出せない。
しかも、関係者が徐々に怪しい動きを見せ始める…。


主人公が一部記憶が無いところから物語は、はじまる。
何故 自分はその一番大切な記憶をなくしてしまったのか
解明しながら、自分の周りに起きる不可解な謎を解いていく。

記憶を無くした上に
周りで起こる怪しい出来事。
なんで?
どうして?
あれは誰?
あの人はどこに行ってしまったの?
何故こうなるの?

?????に 引きずられ
先を知りたくて、 一気に読めてしまいます。
(お陰で寝不足・・・

そして、最後の意外な結末。
そして分かったことは 彼女がこの世に残した未練?

この物語のポイントは 怨念?
オカルト小説ではありません
でも、良く考えると この物語のポイント
『 目 』から始まる 生きたい! が
このようなことになったのでしょうか・・・?
ある意味 とても怖いです。

最初のプロローグ。
最後に もう一度読み直してみると
亡くなった 彼女の生きたい!から
すべてが始まったような気がします。

交通事故の被害者と加害者がテーマになっているということもあり、
真相が明らかになっても、やるせなさが残ります。
そして、彼女のこの世に残したものが あまりにも残酷ですよね。

読み終わって見たら 表紙の意味が分かりました。

なるほど・・・

 は、3つということで








『 名もなき毒 』  宮部 みゆき

2008-03-10 | 小説

どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きること。

この世のあらゆる場所に潜む“毒”の物語。

主人公は『誰か』で初めて“にわか”探偵をつとめた杉村三郎。
たまたま恋に落ち結婚した女性が財界の大物の娘で、
他人もうらやむ恵まれた生活を送るものの、
お人好しで野心はゼロ。

財閥企業で社内報の編集者をしている彼が遭遇した、
連続無差別毒殺事件と宅地土壌汚染問題、
そして会社の人事トラブル。

コンビニで売られていた紙パック入り烏龍茶に毒が・・・
犬の散歩の途中に寄った お年寄りがそのお茶を買って飲み
亡くなる。

連続無差別毒殺事件の謎からはじまり
人間の心の中に潜む毒・・・。

毒とは 人を殺してしまう青酸カリから
人の心を壊してしまう言葉の毒。
不幸な心から産まれてしまう悲しい毒。
色々な形の毒が 私達を取り巻いているのだという事を
知らされる。

杉村の仕事場 広報室にアルバイトに来た彼女も
自分は 世の中で一番不幸なんだと 思い込み
普通の人が考えもしない行動をとり
周りの人を巻き込んでしまう。

コンビニに 置かれてしまった毒入り烏龍茶にしても
自分だけが 何故こんなに不幸なんだ!と思う気持ちから
こんな事件になってしまう。

心の中での怒りが 毒を産んでしまうんでしょうか

宅地土壌問題。
土の中までもが毒に犯され

毒は本物の形ある毒。
心の中に潜む毒
土の中に隠れている毒。

怖い毒でもあり
切ない毒でもありました。

 は 3つと半分ッてところかな





『 最愛 』 真保裕一

2008-02-21 | 小説

題名からして 純愛小説 って感じ・・・

彼(真保裕一)も そういうのを書くンだぁ と 
でも ミステリー??
とにかく、期待を持ちつつ読んでみました。

ストーリーとしては、
小児科医として病院に勤める悟郎のもとへ、
18年ものあいだ音信不通だった姉、千賀子が危篤状態であるとの知らせが届く。
彼女は、ガソリンを手に暴力団事務所へと乗り込み
重度の火傷を負い、頭部には銃弾が撃ち込まれていた。
しかも、それは彼女が婚姻届を出した翌日の出来事。

何故 事件は起こってしまったのか?
しかも、新婚の夫は行方が分からず
多額の不審な預金通帳・・・。

何故? 何故? 何故?の謎が 
読み手のページを進めていきます。

たった二人の姉弟。
幼い頃 両親を亡くし 親戚に引き取られ
別れ別れになってしまった運命。

姉の過去をたぐっていきながら 姉のまっすぐな生き方を
見せつけられ 自分にない愛の形に圧倒されていく。
そして 真相を追っていく主人公である悟郎が
最後に辿り着く真実。

これが純愛なのか・・・
純愛とはほど遠いいような・・・
そして 彼が最後に取った行動・・・。

結末、ちょっと重いかなぁ
そこまでしなくても・・・
って思ってしまった私です。

『ホワイトアウト』 の 真保裕一とは
全く 違った感じでした。

 は3つと半分 っていうところで・・・