私の気ままな部屋 - ♪asitahatennki♪

読んだ本、映画、美味しいお店、新たな発見、興味あること等を少しでも書き残せたらと思っています。

『 ストーリー・セラー 』 有川 浩

2011-08-25 | 小説

物語 

このままずっと小説を書き続けるか、あるいは……。
小説家と、彼女を支える夫を突然襲った、あまりにも過酷な運命。
極限の選択を求められた彼女は、今まで最高の読者でいてくれた夫のために、物語を紡ぎ続けた――。
「Story Seller」に発表された一篇『SAID・A』に、
単行本のために書き下ろされた新たな一篇『SAID・B』を加えて贈る完全版!



真っ白な本に ブルーのリボンがかけられている表紙

これは 書ける人彼女が 読む人側彼に贈ったプレゼント?

『SAID・A』は、彼女が難病
思考するごとに 寿命が縮んでしまうという設定。

夫婦である彼と彼女の出会ったころからのエピソードに戻り
今ある 夫婦生活が綴られる。
病と闘いながらも お互いを尊重しあい労わりあい。

単なる夫婦愛の物語とは言いたくない。

こんな素敵な関係があったんだと
ただただ 涙なくしては読めませんでした。

そして、亡くなった後 みつけられた
最後に彼へと 宛てた手紙・・・。

「私の大好きな大好きな大好きなあなたへ」ではじまり

一番初めの読者はあなたです。

今まで読んできた小説の中で一番好きだ と言ってくれるあなたがいたから
こんなことになっても最後まで書けます。 と・・・。

最後まで支えてくれてありがとう。
私を幸せにしてくれてありがとう。
それでは。

で 手紙が終わっている。

さようなら。 とは書けなかった彼女・・・

切なすぎました。


『SAID・B』は、同じ設定で 結末だけが変わるかと思いきや
書ける彼女と 読む側彼というのが同じなだけで
まったく逆の設定・・・。

同じパターンなのに感覚がまったく違う。
でも ぐいぐい引き込まれるのは AもBも同じ。

これは 有川先生自身のお話らしいとか・・・。

だとしたら こんな素敵なご夫婦があったんだ と
ただただ 感銘。

読み終わったあと いつまでも 私の頭の中がグルグル廻ってしまう。

そして、心の中が素敵に重く。

久しぶりに最高の本に出会えました。

もちろん 

 

『 悪の教典 』 貴志 祐介

2011-08-20 | 小説


『このミステリーがすごい』2011年 第一位に選ばれた作品。 

物語 

  生徒に絶大な人気を誇り、
  PTAや職員の間でも抜群に評判のいい教師が
  反社会性人格障害(サイコパス)だったとき、
  惨劇へのカウントダウンが始まった。

  英語科教諭・蓮実聖司、32歳。

  暴力生徒や問題父兄、淫行教師など、現代の学校が抱える病理に
  骨まで蝕まれた私立高校で、彼は何を行ったのか。

  高いIQをもつ殺人鬼は、“モリタート”の旋律とともに
  犯行を重ねていく。



自分の思い通りにならないもの 
自分という存在を完璧にするために妨害になるものは
すべて 抹殺してしまう。

上下 厚みのある2巻。

読み応えは充分。

先が気になり 読む手もとまらず読んでしまった。

しいて言えば 下巻に入り 生徒を殺害していく場面が
長すぎのような・・・

読みながら『 バトルロワイアル 』を思い出してしまった。

人を殺すことに 罪の意識も感じられず
残酷な殺し方で どんどん展開するところが
思い出さずには居られなかった・・・

最後、蓮見は捕らえられても
これだけの 殺人を犯したことに 悪びれる精神もなく
罪を軽く逃れる方にとIQが働く。

彼はきっと 世の中に 戻ってくる。

そして、自分の殺人計画の完成度を壊した 
夏越雄一郎と片桐怜花に、復讐するんだろうと 思わせる最後。

最後の最後まで この旋律は 消えませんでした。


 というところで