らいちょうのあし日記

山登りが大好きで今日も日本のどこかで歩いています

剱岳・八ツ峰主稜縦走~後編~

2011年10月05日 | バリエーション

9/25 某岩のビバークから一夜明け、いよいよ今日は残る上半縦走である。
初日の剱沢テント場では寒くて眠れなかったが、昨夜はシュラフにツェルトをすっぽりと
被ったおかげで暖かくグッスリ眠れた。ツェルト大活躍である!
さて、準備を整えて6時半出発、再びⅤ・Ⅵのコルまで登り返すこと30分。
昨日は日陰になっていてのっぺらぼうに見えたⅥ峰も、太陽に照らされて凹凸がよく見えると
意外とルートが見えてくる。岩壁って、遠くで見ると怖く感じるけど近付いてみるとそうでもなくなる。

さぁ、今日は八ツ峰上半縦走から剱岳本峰を登頂、早月小屋までの長丁場である。
気合いを入れて、元気よく登ってきます!


ビバーク地のテントの中からはフェースが目の前に見える素晴しいロケーション。


某岩からⅤ・Ⅵのコルまでは、かなりザレていて雪渓を渡るのもピッケルを指しながら慎重に行った。


Ⅴ・Ⅵのコルに到着、ここはやや広めの鞍部になっていた。
Ⅵ峰は登りだしの三ノ窓側が切れ落ちているのでここはロープを出して登攀。
らいちょうリーダー、落石に注意しながら慎重に登っていく。


50mロープ1ピッチで緩やかな草付の斜面に出た。そこから、踏み跡を辿っていくとDフェースの頭到着。
これから進む稜線の岩が青い空に尖っているのがよく見える。
これから、あの岩稜を登っていくんだぞ!とその景色をじっと眺めるワタシ。


Dフェースの頭からは短い懸垂下降でコルへ降りる。
ここからⅥ峰ピークへ再び登り返して、今度は30mの懸垂でⅥ・Ⅶのコルへ。


コルからは三ノ窓側へ明瞭な巻き道があり、Ⅶ峰を巻くことも出来るらしいが
ここまで来たらまさかピークを踏まないわけにはイカナイ!
Ⅶピークからは30mの懸垂下降でコルへ降りる。


見た目には難しそうに見えるⅧ峰は凹角を登っていく。
傾斜は急だったが、ホールドがしっかりとあるのでロープなしで登攀したが
特に問題なくクリアー。


Ⅷ峰ピークからみえるクレオパトラニードルとチンネ左稜線は来年の目標か!?
ピークからはダブルロープで懸垂下降をしてコルへ降りた。
ここの懸垂は、一旦下降したあと少し登り返して再び降りるという格好だった。


そしていよいよ最後の登攀である、八ツ峰の頭が目の前に現れた。いよいよここまで来た。
ここの登り出しは長次郎谷側が切れ落ちていて急な場所だったのでロープ確保で登攀した。
最後の方は足元も安定していたので、山頂まで一気に登り切った。


11時半、ついに八ツ峰ノ頭に到着した。
ここまでの道のりは長かったが八ツ峰縦走がこんなに快適に楽しく歩けたことがとてもうれしかった。
さぁ、だがまだこの先剱岳山頂までまだあるぞ~。
山頂で軽い昼食をとり、再び先を行く。


八ツ峰の頭からは池ノ谷ガリーへ40mの懸垂下降であるが、私たちはシングルロープで降りたため
途中からはクライムダウンしなければいけなかった。そして、これが大間違い!
2日前に降った雪がツルツル滑り、岩は脆く不安定、もう泣きそうになりながら必死の下降である。
かなりの落石をしてしまい、ガリーを登る人に迷惑を掛けてしまった・・・


池ノ谷乗越からは北方稜線をたどって剱岳山頂を目指すのだが、これが思いもよらず大変だった。
道は不明瞭で、ガスが掛かってより分かりにくい。地図上では破線ルートになっているが本当か?と
疑いたくなるほどだった。そして、長次郎のコルからの懸垂下降では支点が古いものしかなく、
持参した捨て縄を使って降りた。
ワタシにとって、八ツ峰主稜よりもこの北方稜線の方が断然怖かった。


14時半、ついに剱岳山頂に着いた。祠の前で、ワタシは無事にここまでやって来れたことに感謝する。
長い道のりで、楽しいことや苦労したことすべてが大切な経験になった。
誰もいない山頂をあとに、私たちは早月尾根を降りた。


無雪期の早月尾根は初めてだったが、一般ルートとは言え鎖が多く足元も急でちっとも気が抜けなかった。
疲れた身体には結構、この下山道はこたえる・・・
そんな時、黙々と歩く私たちの前にオコジョが現れた。その可愛らしい姿にしばし癒された。
早月小屋には、17時半到着。もう、疲労困憊であったが心は充実感でいっぱいだった。


9/26 馬場島まで、ゆっくり下山。八ツ峰主稜縦走の余韻に浸りながら・・・
途中で、松尾平の大杉と記念撮影。いつ見ても不思議な大木である。

念願だった八ツ峰主稜縦走は、天候にも恵まれて無事に終えることが出来た。
すべてを歩き通したことで八ツ峰のその素晴しさを思う存分に感じることが出来た。
これからも、また新たな目標に向けてずっと歩き続けよう!