らいちょうのあし日記

山登りが大好きで今日も日本のどこかで歩いています

残雪期・蝶ヶ岳縦走

2017年06月21日 | 縦走

5月連休の山行は、何度も話し合い検討した結果、蝶ケ岳に決まる。
この時期、山域によっては降雪もあり、それなりの装備が必要となる。
出来るだけ危険箇所が少なく、極力静かなコースで雪山縦走を楽しめる所とは…
三股から蝶ケ岳へ登頂、その後は徳沢に下山する縦走コースを選択。
出発の朝、ずっしりと重いザックを担ぎ、目的地に向かう。


新宿から特急あずさに乗り、松本で大糸線に乗換えて穂高駅で下車。
そこからは、タクシーで登山口になる三股まで移動。
三股に着くと、駐車場は車であふれるくらいの多さに驚く。
さぁ、出発だ!気合いをいれて行くぞ!入念な準備体操後、いよいよ出発。
歩き始めて1時間ほどで、常念岳側の山肌が見えてくる。



途中、力水で水1ℓを二つ汲みとり、さらにザックは重みを増す。
リーダーの担ぐ背負子には、体重13㎏の娘が乗っていてかなり肩が痛そうだ。
ワタシは、3人分の生活道具一式がほぼすべて入ったザックでこれもかなり重い。
それでも、いいペースで登り続け、まめうち平にコースタイム通りで着く。
前回、昨年夏に同じコースを登っているのだが、雪があると全く違うところに来たように感じる。
ここを越えると、いよいよ今回の縦走核心部である急登が山頂まで続く。
かなりの体力勝負である。ここから先は、12本爪アイゼンを着用して登る。


傾斜はどんどん増してくるが、雪の締りがよくない状態のため、アイゼンの効きが悪い。
天候は最高に良いが、気温も上昇しているから雪はどんどん腐ってくる。
こうなると、いよいよ重いザックを担いでの急登は苦しい。
しかし、縦走すると決めたのだから弱音を吐かずに、ただひたすら山頂を目指すのみだ。
さらに進むと、雪壁のいやな場所に出た。この辺りは登りより下りの方が大変そうだな…
そう思っていると、目の前で足を滑らしてしまう登山者がいた。
キックステップで一歩一歩確実に、慎重に進む。


その後も延々と急登は続き、さすがに嫌気がさしてきた頃、ようやく森林限界を越える。
傾斜は緩くなったが、雪上を歩いていると太陽の反射が眩し過ぎてサングラスをかけないと目が痛くなる。
すれ違う登山者に、「もう少しで絶景が見えてきますよ」と励ましの声掛けをしてもらう。
そうだ、もう少しだ、と分かってはいても、ここまでの急登で疲労度はかなり高い。
少し休憩を取ってから、山頂へ向かう。


ハイマツの茂る道を抜け稜線に出ると、目の前に槍・穂高連峰の絶景が大きく広がった。
もうかなり疲れていたが、青空の下でこの景色を見た途端に元気が出てきた。
山頂標識までは緩い坂道なので、背負子から娘を降ろして歩かせる。
そしてついに蝶ケ岳登頂、家族全員で喜びを分かち合う。


山頂で昼食をとり、しっかり1時間休憩を取る。
その間もほとんど雲が出ることなく絶景を楽しめる。
ここまで頑張って登り続けた自分たちへの最高のご褒美だな、と思う。
ここからは徳沢方面への長塀山ルートを下る。
このルート、幾度となく歩いてはいるが、これまたかなりの長丁場であるから気合いを入れる。
最初のうちは、まだまだ調子よく歩いていたのだが…


延々と続く下り坂に、もう体力限界に近いぞ…
そう思っていたとき徳澤園の赤い屋根が下のほうに見えてきた。
そして、ついに15時30分徳沢に到着。ワタシとリーダーは、もう疲労困憊であった。
それでも、こんなに疲れ果てるくらいの山行が久しぶりだと気付くと嬉しくも感じる。
徳沢のテント場は連休のためかなり混み合っているが、仕方ない。
適当な場所を見つけてテント設営したのち、大人はビール、娘はジュースで乾杯をする。

 翌朝、雨降りの中、上高地まで移動する。ガスっていて、景色は何も見えない。
前日は快晴だったおかげで山々の素晴らしい景色を堪能出来たからとても幸運だ。
しかし、山に悪天候は付きものであるから、今後もその時々の状況判断を確実なものにしていきたい。
そして何よりも安全第一で、家族全員で楽しめる山登りを続けていきたい。