ありゃりゃサンポ

近現代の建築と一日八千歩の散歩の忘備録。美味しいご飯と音楽と。
東京都全域を徒歩で塗り潰す計画進行中。

新宿住友ビルの三角広場

2020年07月19日 | 建築&土木見物

ストリートビューで見る新宿住友ビル。2013年の撮影です。(ストリートビューで時間が遡れるのは本当に便利。MAP自体と衛星写真でもやってくれるといいのに。)
通称三角ビルと呼ばれる住友ビルは私が新宿で高校生をやっていた1976年には既に経っていました。この頃、完成していた高層ビルは4本だけでした。
1991年に左後ろの東京都庁が竣工してから30年間。この角度で見る住友ビルの風景はそれほど大きく変わることはありませんでした。

その景色が大きく変わったのが今年。2020年7月。住友ビルの足元に巨大なガラスの大屋根が架けられました。
住友ビルの敷地には元々「三角広場」と呼ばれるオープンスペースがあってカフェやイベントとして使われていたのですが、その一帯を巨大なアトリウム空間に変えたのです。

中に入るとこちら側の入り口だったところが2階でそこからエスカレーターでひとつ下りたフロアが新しい「三角広場」です。

この写真で向こうの壁まで約80m。左側のビルの壁から右のスクリーンまで約50m。サッカーの国際試合ができるグラウンドの大きさより一回り小さいくらいです。

2,600㎡の広場では2,000人規模のイベント開催が可能。天井高さは最大25m。ビルの6階部分で接続しています。
地震などの有事の際には帰宅困難者2,600人の受け入れも可能。

屋根は三角広場のあるビル北側だけでなくビル全体を取り囲んでいます。

南西側は飲食のできるオープンスペース。

広場に面して使えそうなレストランが5軒、ビルの1階部分に入っています。

壁面は隙間のあるレンガ積み。

この場所が淀橋浄水場だった名残の止水弁も残されています。

ビルの1階から最上階まで同じ外壁が連続しているように見えますが、大屋根の下の部分はフェイクで実際のビルの壁面はこの裏側に隠されています。

超巨大な温室のようなものですので夏の直射日光が当たる時期は温度管理が大変そう。
見ている間にも雲間から太陽が覗くタイミングがありましたが、あっという間にシェード幕が下りて来ました。

エントランスのイメージも変わりました。この2本の樹は元々ここにあったもの。

少しスラントした外壁、三角形の面をモチーフに組み合わせた地下への階段回りなど、なかなかカッコいいです。設計は50年前に住友ビル自体の設計も担当した日建設計。

やはり三角形モチーフの外鉄骨。屋根の荷重は大半をビル本体が支えているようで、それ以外の構造は屋根の大きさのわりに華奢なもので済んでいます。

もう一度内部へ。見上げる天井。三角ビルの内側は空洞です。
単にビルの外側に屋根を架けただけではなく、耐震改修も含めたおおがかりなリフォームを3年かけて行いました。
竣工から50年近く経過した超高層ビルで、この規模で行われたリフォームというのは他に聞いたことがありません。とても挑戦的だと思います。

最後にもう一度三角広場。546インチの4Kビジョンには住友不動産のCMが写っていました。

1974年(左)と2020年(右)の比較断面図。(引用元:住友不動産株式会社news release 2020年6月30日)

完成後の空撮。(引用元、上に同じ)
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