
『紙の月』
真面目で平凡な銀行員だった宮沢りえが、顧客の孫(池松壮亮)と不倫関係に陥る過程で顧客の預金の横領に手を染める。
自堕落な逢瀬にエスカレートする浪費、金銭感覚の麻痺に比例して拡大する犯罪。不倫の崩壊、そして事件の発覚。逃亡。
思い返しても胸がざわつくような2時間の映画でした。
我が家で見るような題材ではないのですが宮沢りえの評判が良いので見ておきたかった。評判通りの見る価値はありました。
以下ネタバレありですので、未見の人は読まない方がいいです。
少女期の体験や夫との関係性など、彼女が犯罪に手を染める動機はいくつか描かれますが、一般常識的に必然性を感じさせるものではありません。
不倫に至る経過などざっくり省略されているのか、ほとんど会話もない偶然の3度の出会いだけで宮沢りえの方から足を踏み入れてしまいます。
普段であれば、物語としての説得力のなさを憂うはずなのですが、今回はすんなりと許せてしまいました。
ほとんど休む間も与えずに続くひりひりした時間が、物語の整合性を気にさせなかったのかも知れません。
早い段階から不正に気がついて宮沢りえを見続けるベテラン行員役の小林聡美、すごくいいです。こわすぎます。
二人が対峙するシーンが何度かありますが見えない幕の向こうで火花が飛んでいるようです。
終盤はこの物語をどうやって終わらせるんだろうという心配で頭がいっぱいになります。
こういう終わり方はいやだな、こういうシーンは見たくないなと、平凡な頭をぐるぐる回して想像しますが、幸いなことにそういう終わりにはなりません。
宮沢りえは椅子で銀行のガラス窓をぶち破り、2階から飛び降りてそのまま全力で疾走します。
明日に向かって撃て的な破滅への疾走かと思いきや、なんと彼女は次のシーンで逃亡先のタイにいます。
ここで少女期の彼女に大きな影響を与えることになってしまった人物との一方的な「再会」があり、その後再び彼女は雑踏の中に消えて映画は終わります。
もちろんハッピーエンドではありませんし、かと言って破滅ですらない。こんな終わらせ方は想像もできませんでした。
そして私はこの終わり方がとても気に入っています。
監督:吉田大八。去年見てすごく好きだった「桐島、部活やめるってよ」の監督さんでした。あと「クヒオ大佐」もそうか。私には合っている人のようです。
宮沢りえがあの主人公をどんな風に演じたのか興味あり。
終わりかたは原作と同じかなぁ。
設定が映画オリジナルで変えられてるようです。
ドラマは原田知世か。それも見てみたいような見たくないような。
想像を膨らませてドキドキして読み進みました。
なんだかもう見なくてもいいかな~っと思ってしまいました。
りえちゃん、どんどんいい女優さんになっていきますね。
まあでも意外と先を知ってしまう事を恐れない人いますね。
仕事で作っているテレビドラマのガイドブックにはかなり先までの
あらすじが書いてあるんですが、Rさんとか平気で読むもん。
でもブログで気持ちが伝わったならうれしいです。
月がつくから、早期に読んでいました。
この映画は私たちが見るにはスリリングすぎるし
takakoさんが見るにはスリル不足なんだろうなと思っていました。