5月13日(土)14日(日)に行われた将棋の名人戦七番勝負第3局は、先手番の渡辺明名人が87手で勝利。これで対戦成績を1勝2敗として、来週の第4局を迎えることになりました。
戦型は、先手の渡辺明名人が角換わりを促しましたが、藤井聡太六冠がこれを拒否して雁木模様へ。そのまま両者ともに、ガッチリと駒組みを進めて、ガップリ四つの形で1日目を終了。2日目に入ると、それぞれが攻防手を打ちながら攻めの形を進めますが、お昼の段階でも、まだ趨勢は微妙な状態。午後に入ると明らかな斬り合いの展開となりましたが、藤井聡太六冠が勝負手として放った64手目☗7七角成を境に、渡辺明名人が優勢へ。その後も難しい局面が続きましたが、渡辺明名人が慎重に手順を進めて、そのまま押し切りました。
それにしても、藤井聡太六冠にしては、いつものように自ら仕掛けてペースを握る予定が、さすがに☗7七角成はやり過ぎだったか。いつもならば、終盤まで読み切った上での思い切った手順を指すはずが、今回は考慮漏れがあったのか。いずれにしても、藤井聡太六冠の対局では、珍しい場面でありました。
第4局は、5月21日(日)22日(月)に福岡県飯塚市の「麻生大浦荘」で行われます。後手番の渡辺明名人にとっては、ここを取り返せば、文字通りのイーブンに戻せる対局。名人の意地を見たいと思います。