最近、将棋の記事を書かなくなってしまいました。それは、今年の王位戦七番勝負第5局を見ていたら、あまりに藤井聡太王位が強すぎて、何も書くことがなくなったから。
この第5局は象徴的な将棋だったのですが、挑戦者の豊島九段に、敗着らしい敗着はなかった。むしろ、1手1手は最善手に見えたのですが、藤井王位には序盤から全くスキがなく、そのまま差を広げて、終わってみれば完勝という内容。負けた豊島九段にしてみれば、どこで何をすれば良かったのか、全く分からないまま負けてしまった感じ。これは勝負の世界に生きる棋士にとっては、非常に「エグい」状況。負けを反省材料に強くなるはずが、敗因がどこかも見当がつかないという「絶対的な力の差」を感じさせられる敗戦のキツさ。
今更ですが、今の将棋界において、藤井聡太五冠を除けば、この豊島将之九段と渡辺明名人のお二人が、「2大巨頭」と言って良い存在。他の棋士に対してほぼ無敵と言って良い状態であり、世が世ならば、将棋界にも『渡辺明時代』『豊島将之時代』という時期があっておかしくなかったと思います。
しかし、そのお二人が、藤井聡太五冠とタイトル戦で対決した途端に、全く歯が立たない状況に追い込まれています。特に、二日間制の王将戦や竜王戦、王位戦においては、その差が特に顕著に出てくる傾向があります。これはまさに「読み」の深さの差ということなのでしょう。時間があればあるほど、その読みの深さの違いを見せつけられるということ。
この状況を鑑みるに、この秋の竜王戦も、来年初の王将戦も、藤井聡太五冠は問題なく防衛を果たしてしまうでしょう。ベスト8に進出している棋王戦の挑決トーナメントは、一発勝負ですから、どこかで負ける可能性はあると思いますが、次の豊島九段戦を勝ってベスト4へ進むと、1回までは負けが許されるステージに入るので、かなりの確度で挑戦者になると思います。そうなれば、渡辺明棋王との五番勝負も、相応の確度でタイトル奪取となると思います。
A級順位戦については、各A級棋士ともに、最も研究した手順を藤井聡太五冠にブツけてくるはずなので、簡単には第1位を取れないと思います。しかし、ここ数年の間には挑戦権を得て、将棋界の象徴的な地位である名人位も獲得してしまうでしょう。藤井聡太五冠は、ひょっとするとラストの八冠目を名人位に定めて、これで天下統一ストーリーを完結させるつもりなのかもしれません。
そして・・
そのあとの将棋界はどうなってしまうのでしょうか? これだけ、絶対的な力の差がプロ棋士の世界で存在してしまうと、次の世代に活力が生まれず、ダークサイドへ落ちていく棋士が続出してしまうのではないでしょうか? 競馬芸人ならぬ、競馬棋士とか、麻雀棋士とかが数多く生まれるリスクを感じてしまいます・・。
それとも、スターウォーズの世界観のように、藤井聡太が君臨する「銀河帝国」に対して、他の棋士たちが「ジェダイの騎士」として一丸となって反撃開始となるのでしょうか?
なんだか、藤井聡太君が、銀河皇帝 or ダースベイダーに見えてきました・・。