日本馬の大活躍となったドバイワールドカップDAYを振り返りたいと思います。
まずは、ダート1200mのGⅠドバイゴールデンシャヒーン。勝ったのは地元UAEのスイッツァランド。中団待機で脚を溜め、直線では1番外に持ち出して、逃げるワンダーホウェアクレイグイズを早めに捉まえて、そのまま後続を突き放して完勝。もともとはアメリカの馬ですが、ドバイの地で華が開きました。2着は、後方待機から一気に追込んだ日本のロードカナロア産駒レッドルゼル。昨年に続いて、惜しい2着。激しいペースになることを想定して、覚悟を決めて後方待機を選択した川田将雅騎手のファインプレーと言えるでしょう。
次は、芝1800mのGⅠドバイターフ。結果は、日本のロードカナロア産駒パンサラッサと、英国のロードノースの同着優勝。パンサラッサは予定通り、好スタートからスピードを活かした逃げへ。ペースを緩めずに、そのまま直線に入ると、2番手3番手に居た馬はズルズル後退、替わって中団から猛然と差してきたのは、昨年の優勝馬ロードノース。更に、後方から馬群を縫って追い込んできたのは、昨年の2着馬である日本のディープインパクト産駒ヴァンドギャルド。この3頭が並んだところがゴール。長い写真判定の結果、1着はパンサラッサとロードノースの同着。ハナ差の3着にヴァンドギャルド。
逃げ切ったパンサラッサは、狙い通りのレースで勝ち切る会心のレース。吉田豊騎手を誘った矢作芳人調教師にすれば、20年前に自費でドバイに招待してくれた吉田騎手への恩返しにもなりました。これで矢作厩舎は当日の3勝目。同着優勝のロードノースも、デットーリ騎手がキッチリ間に合わせるファインプレーで同レース2連覇を達成。最も惜しかったのが3着のヴァンドギャルド。あと10mあれば、両馬を差し切っていました。ヴァンドギャルドは、1600~1800mで消耗戦となる厳しいレースになると、力を見せてくれるタイプ。国内レースでは今一つですが、厳しい消耗戦になりそうな時は、この馬を思い出しましょう。
逆に1番人気で8着に敗れたシュネルマイスターは、この消耗戦が不得意。基本はマイルまでの馬で、緩い流れになれば1800~2000mでも走れるということ。サートゥルナーリアに似ていると思います。
そして、芝2410mのGⅠドバイシーマクラシック。勝ったのは、日本馬のディープインパクト産駒シャフリヤール。好スタートから2番手追走へ。逃げを選択したルメール騎手のオーソリティは、狙い通りに「ペースを緩めない」淀みのないペースへ持ち込みます。消耗戦に持ち込むことによって、切れ味勝負にならないようにする作戦。直線に入っても、オーソリティは先頭を譲らず、このまま押し切るかに見えましたが、残り100mのところで、2番手からシャフリヤールが一気に加速して先頭へ。大外から猛然と追い込んできたUAEのユビアーをクビ差だけ凌ぎ切って勝利。2着にユビアー、3着はオーソリティ。
勝ったシャフリヤールの2分26秒88というタイムは、恐らくシーマクラシックレコードだと思います。オーソリティが創り出した消耗戦に、最後はギリギリ脚が上がっていましたが、押し切り勝利。強い内容でした。2着のユビアーは、もともと欧州出身で芝のトップホースの1頭。この馬に勝てたことは大きいと思います。3着のオーソリティは狙い通りのレース。もう少し距離があれば、1着と3着は逆転するでしょう。5着のユーバーレーベンも、あわやというレースで見せ場満載でした。8着のグローリーヴェイズは位置取りが後ろ過ぎたのが敗因。ここは参考外で良いと思います。
最後に、ダート2000mのGⅠドバイワールドカップ。勝ったのは、アメリカのカントリーグラマー。3番手追走で、快調に逃げる圧倒的1番人気のライフイズグッドを徹底マーク。直線に入ると、残り200mのところで、ライフイズグッドに競りかけて競り落します。5番手から差してくるアメリカのホットロッドチャーリー、後方から追い込んでくる日本のチュウワウィザードの追撃を余裕でしのぎ切って快勝。ここもデットーリ騎手の好騎乗が光るレースとなりました。
3着に入ったチュウワウィザードは、昨年のよりもメンバーが揃ったドバイワールドカップでも、力を見せる結果となりました。これも、川田騎手が覚悟を決めて後方待機を選択したファインプレーだと思います。
なお、圧倒的1番人気で4着に敗れたライフイズゴッドは、やはり距離の限界。ダート1800mまでしか経験がなく、あと200mが踏ん張り切れませんでした。
オマケで、その他のレースもお伝え致します。
まずは、ダート1600mのゴドルフィンマイル(GⅡ)を勝ったキズナ産駒バスラットレオン。好スタートから、ペースを緩めることなく、スピードで押し切る強い逃げ切り勝ちでした。国内でも、行き切るレースの方が合っていると思います。坂井琉星騎手の好騎乗が目立ちました。矢作芳人厩舎、まず1勝。
次は、芝3200mのドバイゴールドカップ(GⅡ)を勝ったステイゴールド産駒ステイフーリッシュ。好位追走で脚をジックリ溜めます。直線では、外から差してきたアイルランドのマノーボとの激しい叩き合いに。一度は前に出られるものの、残り100mのところで差し返して、そのまま半馬身差で勝利。ステーフーリッシュは、サウジアラビアに続いてドバイでも強い勝ち方。ルメール騎手の手腕も見事でした。矢作厩舎、連続の2勝目。
あと、ダート1900mのUAEダービー(GⅡ)を勝ったリーチザクラウン産駒クラウンプライド。6番手追走から、4コーナー手前で動き始めて、マクリ気味に1番外から先頭を伺う。逃げ粘るUAEのサマーイズトゥモローを競り落して、そのまま3馬身差で完勝。ここを勝利したクラウンプライドは、ケンタッキーダービーに向けて楽しみな存在となりました。
また、父リーチザクラウンは、スペシャルウィーク産駒で、唯一残ったサイヤーライン。ここでクラウンプライドが米国で大活躍することになれば、スペシャルウィーク⇒リーチザクラウンのサイヤーラインが繋がっていくことになります。スペシャルウィークは、娘シーザリオのおかげで、母父としては血統表に名を残すことは確実ではありますが、やはりサイヤーラインも繋げてほしい。クラウンプライドには、是非米国で結果を出してほしいと思います。