新型コロナに対する1回目の実験は、3月から5月にかけて、国民全体がどれだけ一致団結して、我慢が続けられるかという実験でした。そして、それは一度コロナを制圧したら、そのあと暫くの間は「普段通りの生活に戻れる」という、集団的幻想の上に成り立っていたものでした。あの時、官邸も、都道府県知事も、そこのところは曖昧にしてきましたので、今になって、再び緊急事態宣言を出すことに躊躇している理由は、この幻想に頼ることは二度とできないため。
現在は、2回目の実験ステージにいると言えます。今度の実験は、どこまで粘ったら医療崩壊が起こるのか、いや、どこまでならギリギリ医療崩壊を起こさずに、経済を止めずに済むのか、という壮大な実験です。
いずれ、こうした「緩和期」と「引締期」を繰り返すことがはっきりしてきましたので、これを続ける際には、医療崩壊ギリギリの線までのレベル感を知る必要があるということ。そして、それは若者の間だけの流行ならば、暫くは放置して、重篤化しやすい人たちをどう隔離すれば彼らの命を守れるか、の壮大な実験でもあります。
今のところ、感染者数拡大と、重篤患者の数の伸びは、それほど連関していない状況ではありますが、あるときに、「決壊点」を迎えるはずです。そのギリギリのところで、本当にマネージできるのか、そして、それを誰が責任をもって進めているのか、そこがなかなか見えていないところが、一番不安に感じているところです。