
神奈川縣橫濱市鶴見區の鶴見大學図書館にて、「出島と唐人屋敷─その景観と貿易─」展を觀る。
キリスト教の流入を防ぐために鎖國した江戸時代、唐國と蘭國との唯一の貿易玄関口だった長崎は、寛永十三年(1636年)にもともとポルトガル人を収容するために築いた「出島」へ、寛永十八年(1641年)に平戸から蘭國商館が移転し、

(※幕末に撮影された出島)
元禄二年(1689年)には唐人が居留するための「唐人屋敷」、また彼らの貿易品の収蔵庫として「新地荷物蔵」が元禄十五年(1702年)につくられて、長崎は異國の人や文物が独特な情緒をもたらす街となる。
出島の姿や貿易品は几帳面な筆致で記録され、現在に傳はるそれらからは、當時の日本人が決して訪れることのない異國への憧憬をも感じさせる。
私も二昔前に、青春18きっぷを利用して長崎を旅行したことがある。
復元工事中だった出島跡を訪ね、市電に乗り、眼鏡橋を渡り、南京町を歩き、樂しみにしてゐた長崎ちゃんぽんは“名物に美味いものナシ”を地で行く結果に終ったことが、強く印象に殘ってゐる。
ああいった自由氣ままな旅を、いつかまたやりたいものだ。
鶴見大學まで来たつひでに、隣接する曹洞宗総本山の總持寺も訪ねる。

感染症予防のため、長い時間の滞在は出来ないが、大祖堂の静寂さに身をおいて、時間とは早いものなのか遅いものなのか、じっくり考へてみたい氣になった。