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迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

見えざるものは耳で見る。

2017-03-12 20:19:16 | 浮世見聞記
水道橋の能楽堂で、宝生流の「朝長」を観る。

平治の乱で敗走し、美濃国青墓宿で自害した、源頼朝の兄。


一族郎党は頼み難く、一夜の宿を頼んだ遊女宿の女主人だけが、その菩提を弔ってゐる。


人の運命と、本音と、縁(えにし)の皮肉さ。


真実は、

世の中が常ならざるとき、

姿を露わす。




もう一曲は「藤」。


北陸の湖のほとりで、

静かに咲き誇るその藤を、

これぞ“謡ひ宝生”の面目躍如たる重厚な謡が、

優雅に讃へる。



松に藤をあしらった色彩も美しい作り物の前で、

端麗に舞ふ精の姿に、

わたしは藤の季節が、

待ち遠しくなった。

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