
水道橋の能楽堂で、宝生流の「朝長」を観る。
平治の乱で敗走し、美濃国青墓宿で自害した、源頼朝の兄。
一族郎党は頼み難く、一夜の宿を頼んだ遊女宿の女主人だけが、その菩提を弔ってゐる。
人の運命と、本音と、縁(えにし)の皮肉さ。
真実は、
世の中が常ならざるとき、
姿を露わす。
もう一曲は「藤」。
北陸の湖のほとりで、
静かに咲き誇るその藤を、
これぞ“謡ひ宝生”の面目躍如たる重厚な謡が、
優雅に讃へる。

松に藤をあしらった色彩も美しい作り物の前で、
端麗に舞ふ精の姿に、
わたしは藤の季節が、
待ち遠しくなった。
平治の乱で敗走し、美濃国青墓宿で自害した、源頼朝の兄。
一族郎党は頼み難く、一夜の宿を頼んだ遊女宿の女主人だけが、その菩提を弔ってゐる。
人の運命と、本音と、縁(えにし)の皮肉さ。
真実は、
世の中が常ならざるとき、
姿を露わす。
もう一曲は「藤」。
北陸の湖のほとりで、
静かに咲き誇るその藤を、
これぞ“謡ひ宝生”の面目躍如たる重厚な謡が、
優雅に讃へる。

松に藤をあしらった色彩も美しい作り物の前で、
端麗に舞ふ精の姿に、
わたしは藤の季節が、
待ち遠しくなった。