
東京都千代田區一番町の JCII PHOTO SALON にて、桑原甲子雄、濱谷浩の両氏が1935年頃の東京を撮った冩真展「東京 1930年代」を觀る。
昭和十年頃の東京には様々な商賣人が街頭に佇み、或ひは通り、その多様さが街の彩りであったことを知る。
それは、誰もが同じ見本をそっくり真似したそっくりサンばかりが往来する、現代の街頭風景とは画像の白黒が時間を完全に仕切ってゐて、

もはや決して帰らぬ景色であることを意思表示してゐるところに、私は冩真といふ文明の偉大さと冷厳さを感じる。
しかし、白梅に月を添えて冩した白と黒の風情は、

いつの世も変はるまい。