惨めを焙る般若聲。 2024-06-28 22:44:00 | 浮世見聞記 ラジオ放送の寶生流「葵上」を聴く。前回放送の「野宮」と同じ、六條御息所が主役(シテ)だが、前回が古き戀から解脱出来ぬ女の悲哀を静かに訴へた曲ならば、こちらは激しくぶつけてくる曲。そんな我が身を淺ましいと自覺してゐながら、抑へきれずに生靈となって相手の女のもとに現れる惨めさ、後シテの般若面こそ、身分を超えて人と運命を狂はせる“戀”なる魔モノの視覺化なのだ。そしてこの厄介な魔モノを心の内 . . . 本文を読む