今日,TAV交通死被害者の会 事務局の米村幸純さんから 以下のようなメールをTAVニュース(レター)9月号とともに,いただきました。
『今月は、特に二次被害について深く考えさせられました。
そして、全国にある支援センターの役割と、
センターから被害者が受ける「支援」と、
その逆の「被害」についても
考えることが多かったように思えます。
「支援センターには近づきたくない」という被害者が
全国に多くいる事実を、支援の現場にいる皆さんには
真摯に受け止めていただきたいと、お願いいたします。
二次被害は、誰もが負わそうと思って起きるわけではありません。
善意であったり、親切で行なったことが、
心ならずも被害を与えてしまうことがあります。
気づきのないところにおき、そして深刻化していきます。
支援の現場では、被害者に対して
「配慮」と「気づき」
そして、
事が起きたときの(臨機応変な)「対処」
起きた後の「検証」と「反省」が
必要だと思います。
自分たちに原因がない、という結論は何の意味もありません。
実際に傷ついた人が「目の前にいる」と言う現実、事実を
見つめてほしい、そう願います。
「原因がわからなければ検証」という発想がなければ
今後の支援活動は期待できません。
被害者が背負っている傷は心に深く刻まれています。
他人からは絶対に見えないし、
本人にも見えていません。
被害者支援とは、
見えない傷と向かい合うことではないでしょうか。
ある日突然、傷口が広がってしまう。
それが、いつ、どういう時にということは
誰にも予測できません。
私たち自身にもわからないのです。
支援者として長年経験をつんだとしても
その傷は見えるわけではありません。
理解はできても、100パーセントわかることはない、
ということを知っていただきたい、そうお願いします。
100万人の被害者の相談に応じた経験があっても
すべての被害者が理解できているわけではありません。
101万人目は初めての事例です。
被害の形態や事件はすべて異なります、
長年携わってきたのですべて熟知している、
という錯覚から多くの二次被害を生んでいます。
それは、警察の捜査においても同様です。
客観的で科学的な捜査より、
現場の経験と勘が優先してしまう、
どこか似ているような気がします。
同じ遺族である私たちにも
他の被害者遺族のことをすべて理解することはできません。
だからこそ、配慮することや
気づかうこと、早く事態に気づき、
対処することに努力しています。
原因がわからない、何かをした覚えもないとしても、
現場で何かが起き、傷ついた人がいたことは事実です。
くどいようですが、
「自分たちに責任がない」と、早々と結論付けずに
現場で起きた事実を真剣に受け止め
何が原因であったかという検証を関係者全員で行わなければ、
また同じことを繰り返されると思います。
そのことに早く気づかれることを願っています。 』
これは,ある交通犯罪被害者を支援する集会で起きた事件を念頭において述べられたものですが,犯罪被害者支援活動の意義を,再度,考えさせられました