法務省は昨日,つまり,11月30日、刑事裁判で無罪判決を勝ち取った国選弁護人に対し,通常より加算した報酬を支給することを決め,総合法律支援法に基づき報酬を支払っている日本司法支援センター(法テラス)に通知しました。11月1日から施行するそうです。
資力がなく弁護士を頼めない被告人のための国選弁護制度は,今から60年前の1947年にスタートしています。しかし,私選弁護人は一般的に着手金だけで数十万円であるのに対し,国選弁護人の報酬は非常に低いのです。例えば,公判前整理手続きがなく1回の公判で終了したケースだと,単独裁判官の事件は約7万円,裁判員制度の対象となる重大事件でも約9万円です。このため,国選弁護は労力に見合わないと敬遠しがちで,接見回数が少なかったり,記録を十分に読み込まない不熱心な弁護人も少なくない,と言われたりすることもあります。
この点,今回の改訂で,加算額は、全部無罪の場合、50万円を上限として100%,要するに従来の報酬の2倍,とするそうです。
しかし,無罪の事案がどれほどあるのでしょうか。そもそも,無罪となるような事件を検察官は起訴すべきではなく,検察官も通常は起訴しません。
となると,上記改訂も実際はほとんど意味がないものだと言わざるを得ません。
もっとも,私は,現在,無罪を主張している事件の国選弁護人をしており,今のところ,こちらのペースで裁判が進行しているので,報酬アップは大歓迎です。
資力がなく弁護士を頼めない被告人のための国選弁護制度は,今から60年前の1947年にスタートしています。しかし,私選弁護人は一般的に着手金だけで数十万円であるのに対し,国選弁護人の報酬は非常に低いのです。例えば,公判前整理手続きがなく1回の公判で終了したケースだと,単独裁判官の事件は約7万円,裁判員制度の対象となる重大事件でも約9万円です。このため,国選弁護は労力に見合わないと敬遠しがちで,接見回数が少なかったり,記録を十分に読み込まない不熱心な弁護人も少なくない,と言われたりすることもあります。
この点,今回の改訂で,加算額は、全部無罪の場合、50万円を上限として100%,要するに従来の報酬の2倍,とするそうです。
しかし,無罪の事案がどれほどあるのでしょうか。そもそも,無罪となるような事件を検察官は起訴すべきではなく,検察官も通常は起訴しません。
となると,上記改訂も実際はほとんど意味がないものだと言わざるを得ません。
もっとも,私は,現在,無罪を主張している事件の国選弁護人をしており,今のところ,こちらのペースで裁判が進行しているので,報酬アップは大歓迎です。