トレード備忘録 & MT4/MT5インディケータ及びEAの開発

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ADX自由自在、MT4方式?それとも元祖Wilder方式?

2021-11-29 14:31:03 | 投資

 とっても便利なDMI(Directional Movement Index)は、その名の通り相場の方向性を判定する指標として、今やなくてはならないような存在になっています。MT4の中でもトレンド系指標群のなかで一等最初に搭載されています。

 DMIをチャートに展開すると三種の曲線が表示されます。実線表示のものが、いわゆるADXであとの二つは+DIと-DIでADXは二つのDIから合成されたものとなっています。インジケータとして通常利用されるのはADXのみなので、DIは無色の線色を選定してチャートにはADXのみを表示しているトレーダーが多いと思われます。

 ところで、このDMI、MT4ではエース級のインジケータとして一等最初に標準搭載されていながら、そのソースコードは公開されていません。DMIには、多くの計算方式が在って、MT4がどのような計算方式を採用しているかは一目では分かりません。

 ADX(DMI)に複数の種類が存在するのは、その計算式中の「ADXの期間」そのものに2個の計算方法があるのに加えて、移動平均の計算式が4個あり、その組み合わせが都合8種類も存在するからです。

 Wilderが使っていたという計算式では、期間=ADXPeriod*2-1、移動平均計算方法=EMI(平滑移動平均)の組み合わせになっています。一方、MT4では、期間=ADXPeriod、移動平均計算方法=SMA(単純移動平均)となっています。2009年7月に書かれた「とあるメタトレーダーの備忘秘録」によると、その時点ではMT4の移動平均計算方式はEMIとされていましたが、最新buidのMT4ではSMAの計算方式に変わっています。その他のFX業者や専門家の採用する計算方式は、それこそ区々になっていて、ADXの話を聴くたびに混乱してしまう人も多いのです。

 そこで、上記すべての計算方式を自由に選択できるDMIインジケータをADX_Generalとして作成しました。下記の設定はMT4の設定です。上のチャートはMT4のDMIから直接表示させたもの、下はADX_Genralの設定から表示させたものです。両者を同一の枠内に表示させると、完全に重なってしまうので、別枠表示させています。設定のMA_Methodを1に、PeriodByWilderをtrueにすると、元祖ワイルダー仕様となります。

  それでは、今度はMT4仕様のDMIとワイルダー仕様のDMIを同一枠内に表示させてみます。分かりやすいように、DIはいずれのチャートでも無色にしてADXのみを表示させます。

 青がMT4仕様のADX、赤がワイルダー仕様のADXとなっています。MT4仕様はローソク足の動きに敏感に反応しますが、曲線がギザついており、そのためダマシが多くなる欠点があります。反対にワイルダー仕様は曲線が少し滑らかになっていますが、それでもまだギザつきは残っています。ワイルダー仕様の最大の欠点は、反応が相当鈍くなっています。これではエントリーやエグジットに遅れが生じてしまいます。

 上記二つの欠点を補正するには、ADXの期間を長くするだけでは不十分であるといえます。むしろ、敏感ではあるが暴れ馬のMT4仕様の平滑化を図るべきだとの考えに至り、出来上がったのがADX_Smoothedです。上掲のチャートに期間10, 平滑方法LWMA(3)で平滑したADX_Smoothdedをゴールドで表示してみました。

 ワイルダー仕様に対して更に曲線は滑らかになり、反応もワイルダーの赤線よりも概ね早くなっています。新ボラティリティトレード手法のADX計算はこのSmoothed方式を採用しています。

Multi Version ADX & Smoothed ADXとしてこちらで公開しました・