トレード備忘録 & MT4/MT5インディケータ及びEAの開発

日々のトレード備忘録及びMT4/MT5に関する事項

MT4に新値足を表示する

2020-03-25 03:40:21 | 投資

 MetaGenicFX社の顧客から新値足についての照会があり、開発を担当する筆者にも相談があった。聞けば、FX講師の西山孝四郎(石原順)氏が最近注目されている手法に「新値3本抜き」というのがあり、できればこの新値足をMT4チャート上に表示させたい、また、この手法をEAに仕立てた上で自動売買を試みたいとのご希望。

 下調べをしてみると、新値足は日本で古来利用されてきたローソク足に似たチャートであるが、実はこれ通常のローソク足とは異なり、まったく時間の推移を考えない非時系列チャートであることが判明した。欧米で開発されたポイントアンドフィギュアーと同様、裁量取引オンリーの分析手法と考えることができるので、最初はどうもできそうではないなというのが正直なところであった。

 日本のFX業者の中には新値足を用意しているところがある。参考までにFXプライム社の新値足チャートは次のようになっている。(ドル円・日足)

 MT4にて既に開発されているものの中では、MetaQuotes社のリファレンスで取り上げられているものが見つかった。

 足の色は陽線と陰線が逆になっているが、内容的には完全に一致している。ただし、この新値足はメインチャートではなく、セパレートチャートに描かれるようになっている。非時系列指標であるから、時間に支配されているメインチャートではそのままでは表示できないからである。

 MT4チャートのなかには高値・安値ベースの新値足は散見され、こちらは通常のローソク足と共存させる形でメインチャートに表示することができる。新値足の高値・安値は終値ベースであるから、これらを終値ベースにプログラム変更しても、残念ながら正式な新値足とは異なったものになってしまう。

 更にネットで探していると、次のようなチャートに遭遇した。上段に表示したのがそれであるが、下段に先ほどのセパレートチャート用新値足を同時に配置してみた。

 二つのチャートでは足の幅が異なるので、表示される範囲は異なるが内容はそのものずばりである。

 MT4チャートの下段表示の新値足の場合、ここでは時間が支配しない世界である。ちょっと無理をしてEAを作成したとしても、バックテストもできないようなものになるはずだ。一方、メインチャートに表示できればしめたものであるが、問題は上段の新値足については、ソースコードが公開されていないため、EA化には手間取りそうだ。

 プログラムの内容は不明でも、構成される各オブジェクトの数値はObject関数により取得可能だから、EA化には何とか漕ぎつけることができるかもしれない。ただ、人様の作成されたものをそのまま使っていいのかと思うと忸怩たる思いもある。新値足を一から作ろうとするととてつもなく時間がかかりそうなので、先ずはこれを利用したEAの作成に着手する。


小次郎と西山孝四郎(石原順)手法の合体-TrendBlazerOptional

2020-03-23 10:40:01 | 投資

 FXトレード業界では著名な小次郎講師と西山孝四郎(石原順)講師が推奨される取引手法を概略すると;

一、移動平均線大循環分析・大循環MACD(小次郎氏)

 計算期間の異なる3本の指数平滑移動平均線(EMS 5, 40, 60)と同期間のMACD (5,20)、MACD (5,40)、MACD (20,40)がそれぞれ循環する局面を6個の相場局面に分けて分析し、トレーダーがとるべき方向性を教える。

① 利点

 最も基本的な分析指標である移動平均線(EMS)を利用しているので、相場を大観するのに適している。

② 批判(欠点)

  • 3個のMACDは3個のEMSの差を計算しているだけに過ぎない。要はEMSの分析と同意であり、二つに分けて分析する必要は全くない(単に複雑にするだけ)。
  • 3個のEMSを用いて相場をすることに他ならない。従来からこの手法は多くのプロにより提唱されてきたが、これの単独利用だけで成功したという例を知らない。3EMS Strategyには必ずと言ってよいほど、他の手法との併用をしている。(例えば上位時間軸の方向性に合わせる等)
  • 自動売買の場合、二つの手法の一方をフィルターとして利用することができない。互いに補完的ないしは補正的ではないからである。

二、変換点トレード手法(西山氏順張り手法)

① 利点

  • ボリンジャーバンド(BB)とADX及び標準偏差という3種の異なる分析手法。3個の指標はそれぞれ別異の計算式により算出されているため、相互に補完もしくは補正関係にあり、相場の仕掛け条件としては適切である。(BBと標準偏差とは近似の関係であるが、計算上の期間を別異にしている)
  • 講師自身が長年利用してきた手法であり、且つ、一般の利用者からも成功報告が多かった。
  • 本手法のプログラム化により自動売買も可能となり、それなりのテスト結果も出ていた。

二、欠点

  • どのような手法も永久に成功するという保証はない。本手法も一昨  年あたりからその栄光に陰りが見え始めた。主要国によるマネーの大量投入がその原因で、相場に自然なトレンドとレンジの流れが生じなくなった。しかし、ここにきて相場付は一転しているので、再び事情は異なってはいる。

三、両手法のコンビネーション

 改訂したEA、TrendBlazerOptionalでは、従来の西山方式に加えて、相場環境に関して小次郎氏循環的分析の成果(MACD循環)を取り込むことにした。このことにより、西山講師のオリジナル手法に加えて複数の仕掛け及び手仕舞いのオプションの選択が可能となっている。オプションの構図を図示すると次のようになる。

仕掛け条件、フィルター条件、決済条件のオプションだけで実に多彩なオプションの選択ができるようになるので、トレーダーは事前にバックテストやフォワードテストを行って、トレード時の相場の地合いにあった組み合わせができるようになった。西山氏の仕掛け条件であるBBにフィルターとしてMACDを採用するとテストでは目に見えて利益率が向上した。因みに、西山氏オリジナル手法は①の選択となる。3月12日のブログにて典型的なオプションのバックテスト結果を記しているので参考にされた。

(注)今回の更新によるEAは旧TrendBlazer利用者全員にメール配布されていますが、もし、未着の場合はMetaGeniFX社コンタクト欄から同社までご連絡いただきたいという依頼がありました。こちらで公開中


GP-Chartのデコンパイル(5完)

2020-03-20 17:19:19 | 投資

 鈴木隆一講師開発のGP-Chartのデコンパイルに挑戦してきた経緯は、前ブログまで4回に亘って報告してきたが、ようやく目的以上の平均足の平滑化に成功することができた。当初はGP-Chartそのもののデコンパイルを目指していた。しかしながら、平滑化の計算式は無数に存在するため、似たような形状の平滑化には到達したものの、GP-Chartに100%合致する計算式の発見には至らなかった。

 計算の途中で、GP-Chartとローソク足やその他平均足と比較していたところ、GP-Chartのカラフルな見栄えとは裏腹に、実際の売買シグナルの点灯のタイミングは相当に遅くなることに気づいた。特に、メタジェニック社に提供した新平均足と比較すると、そのような傾向は顕著であった。それならば「メタ社の平均足にトレンドの収束や転換時の局面の足の色を別に変えて表示できればよい」という結論に至った。

 完成したのが冒頭に表示したチャート(ドル円、日足)である。左側がGP-Chart、右側が新平均足の赤と青の足の一部を緑色に変化させたものである(新々平均足)。両チャートに3本の同期する縦線を入れてみた。右側新々平均足のエントリー・シグナルがGP-Chartのどの足に相当するのかを3色で表示している。3時点中2時点で新々平均足のシグナルがGPよりも早く点灯するのが確認できる。

 GP-Chartでは足の色のスクリーニングにT3というインディケータを使っていることまでは分かっている。新々平均足でも同じT3を利用した。仮名はHAS_TriColor.mq4としたい。

 メタ社にて公開済みの新平均足に上記の新々平均足を追加いただくようメタ社に提言している。同インディケータのご利用者は同社に照会願いたい。


GP-Chartのデコンパイル(4)

2020-03-16 11:31:27 | 投資

  一昨年12月以来3回に亘って、鈴木隆一講師開発のGP-Chartのデコンパイルに挑戦した。よく似た平滑化平均足(Smoothed Heiken_Ashi)にまでこぎつけたが、まったく同型のオリジナルには到達できていない。平滑化の計算式が無数にあるためである。

 今回、思い直して別の観点からGP-Chartを再検討してみた。次に示す二つのカラーチャートの左側がGP-Chart、右側がメタジェニック社の平滑化による新平均足である。二つのチャートの下には同じ通貨ペアと同じ時間軸のローソク足(ドル円・日足)が表示されている。

各チャート利用者の予想されるエントリーポイント

① ローソク足利用者

 今回の下げ相場で、売りシグナルが最も早く点灯するのはローソク足である。下段のローソク足には3本の垂直線が表示されているが、ローソク足では緑の線の始値(陰転の位置を1とすると2の位置の始値)で下げトレンド発生とみて売り参入した人もいるであろう。ところが上段のGP-Chartと新平均足チャートでは未だ買いのシグナルが出たままである。今回の場合、ローソク足の陰転で売りエントリーした方にとっては大成功であったが、いつもはそううまくはいかない、ローソク足一本の陰転がダマシに遭遇することはあまりにも多いからである。

② GP-Chartの利用者

 GP-Chart利用者の売り参入ポイントは、左上のチャートで黒い垂直線の始値ということになる。これと同時点でのローソク足の位置を見てみる。最初の陰転の位置を1とするとそれから遅れること7番目のローソク足の位置に相当する。誰の目にもこれではエントリーのタイミングが遅すぎるという判断になろう。通常の下げでは、この時点ではもう下げトレンドは終息しているかもしれない。

③ 新平均足の利用者

 新平均足の右上チャートの赤い垂直線(5の位置)の始値でのエントリーということになる。この時点での他のチャートでの位置は赤い垂直線の位置である。GP-Chartでは未だ売りシグナルは出ていない。

まとめ

 GP-Chartは見た目がカラフルで裁量取引には優れているように感じられるが、これを利用して実際に取引をすれば結果はおぞましいことになりそうだ。これまで、GPに似た平均足を作成しようと頑張ってきたが、よく考えてみると、これはおそらく使い物にならない。おそらくというのは、GPのソースコードが公開されていないため、EA化してバックテストもできない状況だからである。

 方針は決まった、GP-Chartより実用的な新平均足の赤と青のローソク足の一部をトレンド収束ないしは転換を示唆する黄緑のローソク足に変更するだけである。 


TrendBlazerOptional_MT4EAの更新

2020-03-12 13:38:04 | 投資

 メタジェニック社の一部お客様の提言を受け、西山孝四郎講師提唱の「転換点トレード手法」の発展形であるTrendBlazerOptional_MT4EAが3月11日付アップデートされ、ご利用の皆様には同社から一斉送信がされています。更新の趣旨は、同梱の説明書のとおりですが、念のため、その概要を下記致します。

TrendBlazerOptionalの更新と送付のお知らせ

 弊社MT4自動売買システムTrendBlazerOptional_MT4EAに関しまして、次のようにプログラム更新いたしましたので、そのお知らせとともに更新分を当メールに添付してお届けします。

一、更新の趣旨

 本EAは西山孝四郎講師の転換点トレード手法に沿って、ボリンジャーバンド(BB)、ADX、標準偏差(StdDev)を売買シグナルとして採用していますが、TrendBlazerOptional_MT4EAにおいては、次のようなエントリー条件としていました。

従前のエントリー条件:

 価格が終値でBB σ±1を上方または下方に突破し、同時にADXとStdDevが右肩上がりとなっていること。

追加したエントリー条件:

 価格がBB σ±1を突破した同じローソク足では、ADX、StdDevが同時に右肩上がりとはなっていないが、BBシグナル点灯後、2~3本のローソク足を経過して両指標が遅れて右肩上がりとなる場合がある。その場合も、西山手法では、売買条件を満たしていることもあるので、機会損失とならぬよう、「BBシグナル点灯後ローソク足3本以内にADX、StdDevの条件が満足されれば、正式なエントリー条件として採用する」こととする。ただし、従前のエントリー条件も次に述べる理由により、オプションとして残すことにする。

二、フィルター条件MACDとの親和性

 本EAでは、BBを主たる売買シグナルとし、ADXとStdDevをフィルターシグナルとする他、MACDももう一つのフィルターとしてオプションに加えています。同じフィルターながらMACDのシグナル点灯はADX・StdDevと比較してより鋭敏に反応するため、MACDとの相性は従前のBBシグナルの方が優れています。

三、EA設定画面(ダイアログボックス)と変更点の説明・・設定①

 更新前設定画面と異なるところは、EntryTypeというオプションが加わったことです。(上から4段目)下段の説明欄MEMO_Entrytypeにあるように、0は今回新しくした西山方式を重視したBBのオプション、1は従前のオプションとなっています。上記設定は、西山式転換点トレード手法における典型的な最適設定となります。

 半面、MACDをフィルターとする場合の、設定画面の典型は次のようになります。設定②

四、GBPUSD 4H(2019通年)のバックテスト

(設定①及び設定②のバックテストFXTFにて)

 

設定①

設定②

トレード数

41

46

P/L($)

521.05

1079.99

PF

1.5

2.11

WIN %

46.34%

54.35%

四、その他注意点

 今回のEntryTypeオプションの追加により、Exit条件を含めるとその選択の組み合わせは多岐・多様となりますが、三の典型例を軸にしてバックテストやフォワードテストで確認の上ご利用ください。

以上

2020.03.11

(注)MetaGenic社が把握しているすべてのご利用者にはメールに添付してお届け済みとのことですが、もし、本件未着のご利用者は購入日時とともに同社までご照会ください。