MetaGenicFX社の顧客から新値足についての照会があり、開発を担当する筆者にも相談があった。聞けば、FX講師の西山孝四郎(石原順)氏が最近注目されている手法に「新値3本抜き」というのがあり、できればこの新値足をMT4チャート上に表示させたい、また、この手法をEAに仕立てた上で自動売買を試みたいとのご希望。
下調べをしてみると、新値足は日本で古来利用されてきたローソク足に似たチャートであるが、実はこれ通常のローソク足とは異なり、まったく時間の推移を考えない非時系列チャートであることが判明した。欧米で開発されたポイントアンドフィギュアーと同様、裁量取引オンリーの分析手法と考えることができるので、最初はどうもできそうではないなというのが正直なところであった。
日本のFX業者の中には新値足を用意しているところがある。参考までにFXプライム社の新値足チャートは次のようになっている。(ドル円・日足)
MT4にて既に開発されているものの中では、MetaQuotes社のリファレンスで取り上げられているものが見つかった。
足の色は陽線と陰線が逆になっているが、内容的には完全に一致している。ただし、この新値足はメインチャートではなく、セパレートチャートに描かれるようになっている。非時系列指標であるから、時間に支配されているメインチャートではそのままでは表示できないからである。
MT4チャートのなかには高値・安値ベースの新値足は散見され、こちらは通常のローソク足と共存させる形でメインチャートに表示することができる。新値足の高値・安値は終値ベースであるから、これらを終値ベースにプログラム変更しても、残念ながら正式な新値足とは異なったものになってしまう。
更にネットで探していると、次のようなチャートに遭遇した。上段に表示したのがそれであるが、下段に先ほどのセパレートチャート用新値足を同時に配置してみた。
二つのチャートでは足の幅が異なるので、表示される範囲は異なるが内容はそのものずばりである。
MT4チャートの下段表示の新値足の場合、ここでは時間が支配しない世界である。ちょっと無理をしてEAを作成したとしても、バックテストもできないようなものになるはずだ。一方、メインチャートに表示できればしめたものであるが、問題は上段の新値足については、ソースコードが公開されていないため、EA化には手間取りそうだ。
プログラムの内容は不明でも、構成される各オブジェクトの数値はObject関数により取得可能だから、EA化には何とか漕ぎつけることができるかもしれない。ただ、人様の作成されたものをそのまま使っていいのかと思うと忸怩たる思いもある。新値足を一から作ろうとするととてつもなく時間がかかりそうなので、先ずはこれを利用したEAの作成に着手する。