裁量取引で成功した手法でなければ自動取引でも成功しない。それでは、裁量取引で成功した手法は裁量取引だけで利益を最大化できるかというと、それは物理的に無理である。テクニカルで絶好のチャート局面が示現したとしても、タイミングよくエントリーできるとは限らない。プロであっても睡眠時間は必要であるし、パソコン画面に向き合い続ける時間にも限度がある。自動取引の必要性を意識することになる。
裁量取引であっても無造作に自動化してはならない場合もある。このブログでボリンジャー・ファイブ(BB5)という手法を紹介した。この手法は厳密にいえばスイング取引であるが、数時間を待たずに決着するデイトレ的な側面もある。成功率は、元祖水上氏が述べられている通り極めて優れている。しかし、この取引、一旦利確を収めれば自動取引を停止させなければならない。人間の目で確認した後でなければ、自動的に再エントリーされては困る。なぜなら、この手法、エントリーは目で判断しなければならないからである。通常東京時間午後3時あたりまでに仕掛ければよい。30分もあれば、水上氏のように25通貨ペアの監視も可能である。ロンドンからニューヨーク時間にかけての小爆発や中爆発(ブレークアウト)を狙う手法だから条件に適った3~4通貨ペアが対象となる。
筆者が関係するMetaGenic社で公開しているBB5のMT4自動売買プログラムでは、この点を考慮したものになっている。狙った通貨ペアは欧米市場でトレンド相場となることが多い。最初の工夫としては、小爆発にも耐える仕掛けである。小さめのトレンドであると、一旦ブレークした相場がほどなく反転・逆戻りすることがある。その場合には、含み益が10ピップスになった時点で、ストップロス値を元値(買いまたは売りエントリー価格)に自動変更することができる。たとえミニブレークでその後相場が逆行しても、その取引では損益ゼロで逃げることを可能にしている。(One Time Trailing Stop)一般のトレイリングストップ(TS)を組み込んでもよいが、TSでは小さな利益で終わることが多い。含み益が安全な領域に入ってくれば、手動に切り替えて徐々にSL値を変更していくのもお勧めだ。(手動のトレイリングストップ、夜中に起きている場合)
一旦、利益確定が終わればEAを停止させなければならない。この仕組みも組み込まれていて、望まぬ新たな取引を自動取引が勝手に再開することはない。EAは無効化されているので、新たな取引を開始するには、人間の手でリセットもしくはEAを一旦削除して、再挿入しなければならない。本手法は、売り買いいずれのブレークアウトにも順張りで対応するいわばDouble OCO注文なので、ポジションとならなかった一方の注文は自動的に取り消されていることは勿論である。
昨日のEURJPYの設定例
下段のナビゲータは昨日のリアルでのトレード結果を転載している。
2019.03.22 03-17-51 OCO待機注文
2019.03.22 11-30-31 約定、大爆発に遭遇したためストップ注文が大分スリップしている。設定どおり、40ピップスの利益獲得となった。ストップ値が売り参入価格に修正されていることに注意。また、売り約定と同時に買い注文もキャンセルされている。
上段のチャートはバックテストで再現したものである。ただし、バックテストでは時間の指定ができないので、朝一番に注文が出されたようになっている。リアルでは午前11時台に発注されているので、バックテストのチャートはあくまでイメージ画面と理解されたい。それにしても、大ブレークだったので、パソコンを前にしていれば、100ピップスは確保できたかも・・・
裁量と自動取引とを融合させることが大事であることを実感している今日このごろである。