トレード備忘録 & MT4/MT5インディケータ及びEAの開発

日々のトレード備忘録及びMT4/MT5に関する事項

江守哲氏監修 EMORI MT4 INDICATOR(モドキ)とそのEA完成【その4】

2021-10-31 19:19:47 | 投資

江守哲氏監修のEAの再現に取り組んだ背景は、過去3回に亘るブログにて説明してきました。出来上がったインディケータ(インジ)は、チャート表示上、一見してオリジナルに酷似していますが、ローソク足の上下に表示されるパラボリック曲線には、トレイリングストップの考え方を取り入れていますので、厳密には異なります。その他、オリジナルと異なる諸点は;

  • 上下に表示される階段状のパラボリックとローソク足との間隔は、パラメータによって可変としています。デフォルトでは2.5に設定しています。2.5の意味合いは、チャート時間軸のATRの2.5倍の間隔ということです。
  • 売り買いシグナル(矢印)は現値がパラボリックをクロスしたときに発生します。終値ベースでは売り買いの転換が起こらずダマシになった場合には、その矢印は次のローソク足の始値で消去されます。
  • SoundAlertについては、リクエスト頂いたNさんのご希望通り、シグナル発生時にはアラート音とパソコン画面へのポップアップで通知します。デフォルトでは、通知なし「false」に設定してあります。必要とされる場合には、これを「true」にして利用することになります。

MailAlertはオリジナルと変わりがないものと思慮します。シグナルが発生した次の足の始値で1回のみのこちらも選択的な通知の設定です。参考までに、設定画面は下記の通りとなっています。

今回完成したインジとEAは筆者MT4上及びバックテストにて正常に稼働することを確認しています。

自動売買(EA)について

次に掲示するEAのJP225設定画面に沿って説明します。

パラメータはインジのデフォルトのままですが、商品や時間軸に応じて適宜変更することができます。銘柄や時間軸の選定の判断にはバックテストのためのEAは必要不可欠となります。

追加説明

  • ExitType:デフォルトでは終値ベースの途転売買(0)になっていますが、ザラ場のシグナル発生時の現値成行きで決済するオプション(1)を設けました。その場合には、0を1に変更することになります。
  • あまり利用されないかもしれませんが、利確と損切りを値幅で設定することができます。デフォルトは利確・損切りなしとなっています。売り買いのシグナルを正確に捉えていれば陳腐なEAでも優秀な武器に変身することがあります。優秀なプロの日常に通ずる作法ともいえるので、念のため装備しました。
  • Slippage: 殆どの業者の約定はMarket Execution方式を採用していますので、これを設定しても無益記載事項として無視されます。

JP225 H1を上の設定で過去3ヶ月のバックテストを行ってみました。その結果は、

ロットは10でレバレッジ3倍弱。PFは1.35とまあまあの結果となっています。

今回は作動確認を兼ねてリクエストのあった銘柄についてのバックテストでした。H4やD1よりもH1とM30の結果が良かったのは、前評判とは異なりました。

(追記):完成版はインディケータに自動売買ソフト(EA)がパッケージされて、MT Studio21.comにて公開されました。


江守哲氏監修MT4 INDICATORについて(その3)

2021-10-30 12:44:58 | 投資

今回、江守哲氏監修のEMORI Indicator for ATRの一部修正を希望される方の要望にお応えする形で、インディケータの再現にチャレンジをした。完成型は前回のブログにて紹介したところであるが、実はオリジナルの考え方を少し変更したところがあった。

オリジナルの考え方と今回のEMORI MODOKIをMT4に同時に描写させると下記のようになる。MODOKIは赤と青の太線、オリジナルの考え方に沿った線はオレンジと黄緑の細線で表示している。(パラメータは両者同一、両インジにある雲のような帯は表示せず)

オリジナルのラインはローソク足の動きに応じて敏感に上下するのに対して、MODOKIの動きはところどころ平行線も垣間見える。お察しの通りMODOKIにはトレーリングストップの考え方を加えている。

四角で囲んだところを注目していただきたい。①の矢印の地点はMODOKIの売りシグナルの発生地点、② はオリジナルの売りシグナルの発生地点となる。オリジナルの論理ではローソク足の足が下がれば、支持ラインも下がってくるから、ローソク足の支持ラインを下抜けるタイミングが遅くなることになる。MODOKIでは、トレーリング効果の結果、買いの利確及び売り注文のタイミングが有利に働いていることが分かる。

EA作成にあたっても、このMODOKIの論理式を継承することとしたい。

(追記)

本インディケータとEAは完成し11月6日、こちらで更改しています。


江守哲氏監修MT4 Indicator for ATR(その2)

2021-10-29 03:29:10 | 投資

手さぐりの状況からEMORI Indicatorに考察を加えた結果、ようやく満足のいくインディケータ(EMORI MODOKIインジ)が完成した。オリジナルの論理式に関しては全く説明されていないし、インジには口座制限が付いているから購買者ではない筆者のMT4チャートに表示させることもできない。

暗中模索ではあったが、インジの修正希望をされているN氏のチャートのスクリーンショットと同インジの紹介動画(YouTube)によっておおよその内容が解明できた。インジの名前によりATRをParabolicの計算に組み込んでいることも容易に推測ができた。パラメータや計算式の内容は不明であるため、チャートはオリジナルに酷似しているが、まったく同じという訳にはいかない。前ブログにて両者のチャートを並記しておいたので、その判断は読者にゆだねたい。改めてGBPUSD 5分足に表示させてみた。

オリジナル利用者の評価では4HやD1等長めの時間軸でのトレードに適しているとのことだが、本日のGBPUSD相場では短期でも使えるかなという感じ。いずれにせよ、早めにEAを作成してバックテストで検討結果を出したい。

ところで、オリジナルの利用説明で気になるところがある。「時々、シグナル(矢印)の表示が乱れるので、その際は時間軸を変更してまた元に戻せば、正しい表示がされる」とあるが、それは次のような事象であろうか、丸で囲んだ部分には2個の買いシグナルが現れているが、最初の矢印はザラ場に現れたダマシのシグナルである。筆者もインジ作成の過程で同様の事象が出たので、ダマシのサインは自動的に削除するようにプログラム変更をしておいた。

また、リクエストに応じてシグナル発生時には、選択でアラートが出せるようにしている。

(追記):完成版はインディケータに自動売買ソフト(EA)がパッケージされて、MT Studio21.comにて公開されました。


江守哲氏監修 MT4 インディケータについて

2021-10-27 11:48:48 | 投資

このブログを読んでいただいている方から連絡を頂き、江守哲氏が監修されたEMORI MT4 Indicator for ATRといインディケータが限定販売されており好評を博していることを知った。

その方もそのインジを購入されたのであるが、一部不便な点があるのでプログラム修正を依頼したが販売会社には断られたとのこと、筆者提携先を通じて不都合部分改善の依頼が寄せられた。インジをメールに添付して送られてきたのである。もとより件のインジのソースコードは明らかにされていない。筆者にハッカーレベルの技術があれば、機械語のデコンパイルができるかもしれないが、それは無理というもの。そもそも市販されるEAやインジにはプロテクトが架かっており、そのインジをチャートに表示すらできないことは自明の理でもある。

そこで、相談者のMT4チャートに同インジを表示させたもののスクリーンショットをお願いしたところ、次のチャートコピーが届いた。OANDA社のJP225の4時間足に表示させたものである。

なかなかの出来に見える。相談者の話では、ザラ場に発生する売り買いサインが出た場合にアラート(警告音とダイアログボックス)が欲しいとのこと、その程度の依頼なら、簡単なプログラムを付加するだけで済むことなのに、販売者がプログラム修正を拒否したのはどういうことであろうか。多くの顧客を前に個別対応はしたくないのであろう。

販売者のインフルエンサーの方が、YouTubeにて同インジの使いかたについて動画を公開されている。https://www.youtube.com/watch?v=QCtpyfUt62w

送付されてきたチャート及び動画からおおよそ次のような見当が付いた。

  • 相場の上昇局面では、ローソク足の下側に、相場の下降局面ではローソク足の上側にパラボリックに似た曲線が表示される。そのパラボリックの計算にはATRが使用されていることは、インジの名前からして間違いない。
  • 矢印は、終値がパラボリックを上下に突き抜けた際に発生する。ザラ場にもシグナルが発生するのは、そのことを物語っている。
  • 太いパラボリックの上下に細い曲線が描かれていて、両者の間には赤または青の縦縞で埋められているが、これはシグナルとは一切関係がない。見た目をよくするための製作者の工夫であろう。

以上の判断から試作してみたのが、次のようなものである。同じOANDAのJP225 4Hのチャートに試作品(Parabolic ATR)を表示させてみた。

オリジナルに酷似しているが、まったく同じではない。オリジナルの論理式は全く不明であるため、計算方法やパラメータ等の数値が若干異なることは当然である。ただ、パラボリックの設定には余裕を持たせているので、オリジナルと比較して明らかにダマシが少なくなっていることを気づかれると思う。

後は、これのEA化を行い過去検証(バックテスト)で相性の良い商品や通貨ペア、それらの時間軸を確認することである。EA作成にはさほど時間はかからないので、公開できる日も近いと考えている。もちろん、インジにはアラートを必要とする人のためにそのオプションも追加しておこうと思う。

言い忘れたが、オリジナルと試作品のパラボリックの色やシグナルは全く逆の色分けになっていること、念のため付け加えておく。

(追記):完成版はインディケータに自動売買ソフト(EA)がパッケージされて、MT Studio21.comにて公開されました。


究極のFX戦略「マーチンゲール」【その一】

2021-10-02 11:25:19 | 投資

新聞の社会面を読んでいると、FX取引による大規模な脱税事件が報告されていることがある。海外口座を利用したハイレバレッジ取引で得た利益の税務申告漏れということであるが、それがどのような取引による利益なのかの詳細な説明はない。ネットで検索をかけてみると、たいていの場合、マーチンゲールという言葉にたどり着く。

そんなことがあってか、FXを始めたばかりの方からマーチンゲールを組み込んだEAを作成できないかとの質問を受けることが多かった。何しろ、ルーレットの赤と黒の二分の一の確率に賭けるバクチ手法であるから、やられるならハイレバの海外口座で裁量取引としてやってくださいと軽く言い逃れていたものである。確率が2分の1であるから、資金が続く限り勝ち逃げできる計算になるが、投入できる資金は有限であるから、たいていの場合、この面で破綻する。

筆者が以前に利用していた有名海外口座でも数ヶ月連続して勝率第一位に輝いた手法があった。そのEAの論理式も比較的単純なマーチンゲールであったため、自分でEAを試作した後、口座に20万円を入金して、いきなりリアルで自動売買をやってみたことがある。もちろん、口座を吹っ飛ばすことを覚悟の上であった。詳しい記憶は残っていないが、最初の2ヶ月程は極めて順調であった。口座残高も30万円近くに膨れていたであろうか。そんな時、久しぶりに休暇を取って北陸に1泊旅行に出かけた。ノートパソコンとネット接続用のポケットWIFI持参である。途中、高速でチャートを開いてみたが、EAの動きは順調で安心して車のハンドルを握っていた。

宿は福井県の海辺、ひなびた寒村の民宿であった。風呂に入って磯料理を楽しんだ後、やおらパソコンを開いたところが、ネットに繋がらない。今ではあり得ないと思われるが、持参のポケットWIFIでは電波を捉えることができない圏外だったのである。しかもその日は運悪く金曜日の夜。何事もないことを祈って眠るしかなかった。

翌朝、宿を出て高速のサービスエリアでパソコンを開いてみると、悪い予感は当たるもの。金曜日の欧州とニューヨーク市場で取引していたUSDJPYが大暴落(円高)していたのだ。なんと2ヶ月間貯め込んでいた10万円が消えており、辛うじて元の証拠金の額に戻っていたのだ。得た教訓は、単純なマーチンゲールは危険が大きすぎること、相場急変で窓開けにもなりやすい日本時間金曜日の午後以降は取引をすべきでないことであった。

それ以来、マーチンゲールに手を出すことはなくなったが、ブログでその話題を取り上げることはあった。開発したEAはとても一般公開には無理と判断をし、希望者には無料で提供することとした。それらの方々の一部とは今でも連絡が取れており、さらに改良を加え、リスクを軽減するオプションを追加したバージョンを試していただいてきた。改良の中身は; ① 負ければ倍額(2.0倍)ではなく、1.0倍から2.0倍まで小刻みに倍率を選定できるようにした、② 従来の単純な逆張りではなく、2回目からのエントリーは順張りとするオプションを追加した。

順張りとは、倍額(2.0)マーチンの場合、買い取引で相場が急落した場合には、途中のポジションは取らずに待機買い注文のみを残すというオプションである。例えば50 pips間隔のマーチン注文では、最初のポジションの後、2倍のポジションはなく(待機注文)、次の4倍のポジションが発生するという具合である。不必要な2倍分の証拠金が不要となるに止まらず、利益確定のタイミングが早まるというメリットがある。

試用いただいている方々の反応は、思いがけず大好評をいただいているので、バックテストを重ねたうえで、MT Studio21社に提供してみたいと思うようになった。コロナの影響で同社も開店休業状態となっていたので、再開の契機になれば幸いである。

バックテストや注意点等は、引き続きこのブログにて公表していきたい。