トレード備忘録 & MT4/MT5インディケータ及びEAの開発

日々のトレード備忘録及びMT4/MT5に関する事項

MT4 トレンドラインを引いて自動売買

2018-04-25 10:45:08 | 投資

 筆者が関係するMetaGenicFXには顧客からの照会が種々届いていますが、その中でも特に多いのは、独自に引いた下値支持線や上値抵抗線を利用した自動売買プログラムを開発してほしいとの要請でした。このことは多くのトレーダーがトレンドラインを引いて押し目買い、戻り売り、或いはトレンドラインブレークでの売買を有効と判断され、実際に裁量でも取引されている証左ではないかと判断しています。 

 同社より依頼を受け、既にトレンドラインブレーク戦略に対応したプログラム(EA)は開発済みでありましたが、今回、ぜひ押し目買い・戻り売りのできる逆張りにも対応するEAの作成をするようにとのオーダーを受けました。この際、上値抵抗線と下値支持線を同時に使って、三角持ち合い、フラッグ、ペナントさらにはチャネルが形成された際にも、ブレーク売買や逆張り売買にも対応できるEAの開発を心がけました。また、VPSを利用しないトレーダーにも自己のパソコンのみでデイトレ自動売買を楽しんでいただけることにも配慮を致しました。 

 EAの名称はTrendLine_AutoTrade.ex4です。テストも終了し、既に依頼主には納品をしましたので、近々公開されるものと了解しております。参考までに、本EAの内容は下記の通りです。 

概要

 本品は、チャート画面にトレーダーが描いたトレンドラインに基づき、戻り売りや押し目買いといった逆張り取引から、上値抵抗線や下値支持線のブレークを狙った順張り売買に至るまでの取引を自由に自動取引できるMT4 EAです。従来、ほとんど目にしなかったタイプのEAであり、且つトレーダーが独自に引いたトレンドラインに従ったトレードを可能にすることから、絶対に人まねではない自動取引の妙味を味わっていただくことができます。また、VPSを使わない一定時間帯でのデイトレにも配慮して開発しておりますので、自己のパソコンのみでデイトレ自動取引をお楽しみいただくことができます。 

一、取引できるトレードパターン 

本EAは次のトレンドラインによる取引パターンに対応しています。

① 上値抵抗線における戻り売り及び上値抵抗線ブレークでの買い

② 下値支持線における押し目買い及び下値支持線ブレークでの売り

③ 上値抵抗線・下値支持線両方を利用した上記①②の合成取引 

③の発展形としましては、三角持ち合い、フラッグ、ペナント、チャネルでの上下いずれかへのブレーク狙いや上下一定価格レンジでの逆張り・順張り(上値抵抗線と下値支持線が水平になる場合)にも対応できます。 

二、最初にすべきこと 

 先ず、トレーダーが独自にトレンドラインを引いた例として、上値抵抗線を取り上げます。EURUSDの30分足に次のようなトレンドラインが引けました。

 

 ラインをダブルクリックしてプロパティを開くと「Trendline_38278」という線名が表示されています。MT4では、この線名を指定することによりトレンドライン上の価格も取得できることになります。本EAでは上値抵抗線をプログラム上コンピュータに認識させるため、この線名を常に「RESIST」という名前にします。下値支持線の場合は常に「SUPPORT」とします。本例は、上値抵抗線ですからMT4が自動で割り当てた線名であるTrendline_38278をRESISTと変更します。この最初にする作業で、EAはこれがトレード対象である特定の上値抵抗線であることを認識することができます。 

三、エントリーのロジック

① 上値抵抗線の戻り売り

 上値抵抗線が機能している場合、現値は上値抵抗線の下にあるのが通常ですが、時々ザラ場では上値抵抗線にタッチしたり、突破したりすることもあります。しかし、終値では上値抵抗線の下に戻ってくることが多いと云えます。このような場合に、EAはトレンド続行中と判断し、終値で上値抵抗線の下に戻った瞬間、次の足の始値で売りエントリーとなります。その際、反対ポジション(買い)があればその反対ポジションは自動決済されます。 

② 上値抵抗線ブレークでの買い

 通常、上値抵抗線の下にあるべき現値が終値ベースでその抵抗線を突破(ブレーク)した場合、EAはそれまでのトレンドが変わったと判断し、反対ポジションである売りを決済した上で買いのエントリーに入ります。ただし、抵抗線と呼称されるように、一旦ブレークした相場も元の抵抗線の内側に戻ってくる恐れもあります。したがって、完全にブレークしたと判断するに十分なバッファを設けています。終値で上値抵抗線を僅か1ピップ突破しただけではブレークと信じることはできません。デフォルトでは3ピップスとなっていますが、時間軸によっては5ピップス以上必要かもしれません。トレーダーは外部変数でこのバッファ値を選択することになります。 

デフォルトでは売り買い両取引となっていますが、買い取引のみ又は売り取引のみとすることも可能です。その場合、取引しないほうのロット数は0とします。 

下値支持線でのエントリーのロジックは上値抵抗線の場合と本質的に変わりません。 

四、利確と損切り

 利確と損切りはピップスベースで別途設定することができます。損切りは、反対の売買シグナルが出れば自動的に実行されますが、損切り幅は一定ではないので、あらかじめ別途損切り値を設定しておくのがお勧めです。 

五、トレイリングストップ

 トレイリングストップを別途設定することも可能です。 

六、EAをチャートに挿入した際のダイログボックスの例

 

 EAをチャートに挿入すると上のようなダイログボックスが開きます。このダイログボックスでは上値抵抗線での取引をデフォルトとして準備されていますので、ここで説明の取引例と同じということになります。説明は省略します。 

七、補足説明

 下記のようなペナントが現れた場合の戦略として、上値抵抗線・下値支持線のいずれかにブレークする際には、そのブレーク方向に沿った順張り戦略が有効となります。その時のダイログボックスの設定例は次のようになります。

 

 

① 上値抵抗線・下値支持線の両方を使ったトレンドラインブレークでの取引です。そのため戻り売りと押し目買いのロット数はともに0となっていることに注意してください。

② 「上値抵抗線で売買する」及び「下値支持線で売買する」がともにtrueとなっています。

③ EntryTypeは2であること、ダイアログボックスの下段で説明しているメモで確認してください。

④ 上値抵抗線は水平線となっています。水平線の描き方は上値抵抗線をダブルクリックしてダイアログボックスを開きパラメータにある数字を左右同じに設定します。水平線はあくまで上値抵抗線や下値支持線の1類型と考えます。

 

⑤ この取引例では、損切り値10pips、利確値20pipsを追加的に設定しています。ピップス数はプログラム上自動的にpoint数に変換されますので、業者によって異なる小数点以下の表示桁数を考慮する必要はありません。 

⑥ このペナントとは直接関係がありませんが、トレンドラインに平行線を引くと価格チャネルが有効に成立している場合があります。その場合、チャネルを利用した取引が可能となります。平行線の引き方は、例えば下値支持線をダブルクリックしてハイライトさせ、CTRLキーを押しながら下値支持線を上にドラッグします。この場合、新たに引いた平行線は上値抵抗線ということになり、チャネルを利用した押し目買いや戻り売りの準備が整います。

参考までに、下図はトレンドチャネルのチャートパターンです。

本チャート例では、プライスが上値抵抗線に達したら戻り売り戦略が有効と考えられます。また、十分下げた段階では、上値抵抗線をブレークした際には、ブレーク買い戦略が有効とも言えます。

 

MetaGenicFXのサイト: https://metagenicfx.thebase.in/

 

(注)旧版TrendLineBreaker_EA.ex4を既にお買い求めの方には、無償にて新版TrendLine_AutoTrade.ex4をお届けしますので、ご希望の方は上記サイトのContact欄からご連絡ください。


MT4 自動売買(EA)でどこまで勝てる?

2018-04-21 11:10:26 | 投資

 一般のトレーダーにとって自動売買は理想の世界である。もし、必勝のチャートパターンがあり、そのパターンをプログラム化すれば常勝への道に繋がるはずであると。こうして、自動売買システムへのあくなき探索が始まることになる。 

 しかし、この思考過程は根本的に間違っていることに気付くべきである。先ず、必勝パターンなるものは存在しない。もし、そのようなものがあれば、市場には勝者があふれることになり、敗者は存在しなくなる。古今名だたるFXトレーダーであっても、勝率は必ずしも高くなく、むしろ損切りの繰り返しの先にある数少ない利食いのチャンスを最大限に伸ばしている現実に目を向ける必要がある。プロのトレーダーも経験と実績で培ったノウハウに従って市場に参入するのであるが、その知識や確信はたびたび裏切られる。しかし、一定の期間ならしてみれば全体として利益確定額が損切り額を上回るという結果を残しているということだ。 

 ヘッジファンドと称されるFX(運用)投機業者の大半は、今やAIを組み込んだアルゴリズム取引(自動売買)を大々的に利用していることが知られている。トレーダーの持つ経験や知識はプログラム化できるし、市場を24時間ウオッチすることは、コンピュータの最も得意とするところだ。つまりFX取引においては、今やトレーダーという人間は不要となっているのである。しからば、ヘッジファンドが常に高い運用実績を残しているかというと、それがそうでもないというから分からなくなってくる。FXはどのみち人がやってもコンピュータがやっても扱いにくい代物なのである。こうして、MT4のEAに頼ればFXで好結果が残せると単純に考えることは間違いであることが分かってくる。世の中に氾濫している勝率何百パーセントと謳っているEAも先ず疑ってかかるのが賢明だ。元も子も失うことになりかねない。 

 それではEAをいかに使うべきなのか、筆者の見解を述べてみたい。EAによる自動売買の最大のメリットは決められた時間帯で、決められた論理式に従って忠実に売買を行うことである。換言すれば、チャンスを決して逃さないという点にある。コンピュータがチャンスと認識して実行された取引が必ずしも勝ちにつながるとは限らない。しばしば期待は裏切られるから、その際には躊躇なく損切りを実行する。期待通りに相場が動いた際には、その利益を極大化してくれる仕組みもプログラムすることも可能である。 

 結論として、EAによる自動売買を行うメリットは次の2点に纏めることができる。

① 取引の開始、利確、損切りを寸分の狂いもなく実行できること。即ち、市場を絶えずウオッチして単純作業を繰り返すという人間の限界を超えた処理能力が最大のメリットとなる。

② 先述の通り、必勝パターンなるものは存在しないが、比較的勝ちやすい戦術はある。①と②をうまく組み合したプログラムが作成できれば、勝てるEAということであるが、この勝ちやすい戦術というのが曲者だ。 

 よく言われることだが、いかに優秀なEAであっても、数ヶ月もすると機能しなくなるのが普通だ。理由は、「FXメタトレーダー入門」や「同実践プログラミング」の著者、神奈川大学工学部教授・豊嶋久道先生分析のとおり、FXレートの動きは限りなくランダムウオークに近いからだ。しばらくFXの動きに法則性があっても、それはいずれ消失してしまう運命にあるからである。(前ブログで紹介のとおり) 

 ランダムウオークに近いFXの性質を利用した戦術の一つが「トラップリピートイフダン(TrapRepeatIFD)である。当ブログでも数回にわたりその戦術につき紹介しているので参考にしていただきたい。筆者の関係するMetaGenicFXでもMT4 EAに加えてMT5 EAも公開しているので、ご利用をお勧めする。 

 次にFX取引で初心者でもよくトライされるのが、トレンドライン戦術である。トレンドラインを引くのは、チャート分析の基本であるので、誰もが取引経験を有するのであるが、このトレンドラインで自動売買を行っている人は数少ない。MT4チャート上に勝手に引いた上値抵抗線や下値支持線を利用してEAによる自動売買ができるのかと訝しく思われる方も多いが、MT4やMT5はとても柔軟なシステムであるので、このことを可能ならしめている。こちらのEAもMetaGenicFXにて開発・公開したのであるが、目下、改訂中である。トレンドラインを利用した順張り・逆張り対応型に改良し近々公開の予定である。旧版(順張りブレイク型)お求めの方には、MetaGenic社より無料で差し替え分が送付されるということなので、期待していてほしい。 

 最後にプロが勧める戦術の一つに「西山孝四郎氏の順張り戦術」がある。筆者は、セミナー講師の勧める戦術を一般的に取り入れることはないが、西山孝四郎(別ペンネーム石原順)氏の手法は特別で、自分の裁量取引にも利用させていただいている。同氏の利用するインディケータもMT4で100%対応するとともに、より判断しやすいように氏のオリジナルに改良を加えている。同EAも開発完了し現在公開中につき参照されたい。 

 以上、3件の手法とEAを紹介したが、いずれも筆者の実取引でも有効であることが確認されている。西山式は少し性質が違うが、1時間以下の時間足で欧州時間帯から米国時間帯にかけて運用している。レンジ相場になりがちな東京の時間帯では作動させていない。 

 最後に、TrapRepeatIFD及びトレンドライン手法では、VPSを必要としない。手動で充分であることは、過去のブログを参照されたい。西山式順張り手法も夜間5~6時間の短期デイトレなら自己のパソコン上、EAを走らせておくことで自動売買が可能だ。