トレード備忘録 & MT4/MT5インディケータ及びEAの開発

日々のトレード備忘録及びMT4/MT5に関する事項

待つFX

2018-11-11 11:44:15 | 投資

 仕事柄、FX関連のセミナーを聴くことや書籍に接する機会が多いが、残念ながら、それらによって実際のトレードの成績が格段に上がったということはない。ファンダメンタル分析やテクニカル分析は基礎知識として重要であることはその通りだろう。でもそれらのことは、トレードで好成績を上げることとは直接結びつかない。必要条件ではあるが、十分条件ではないのである。 

 筆者の場合で言うと、勝ち始める転機は別のところにあった。それは、自分が勝てる環境になるまで「待つ」ということを覚えたことであった。目にした書籍の中では、「待つFX」とか「トレードは17分だけ」とかいうのがあるが、感覚的にはそれらに近い。おこがましいとは思いつつ、自分のトレードスタイルを述べさせていただくと; 

① デイトレ

 30分足、1時間足での押し目買い、戻り売りを中心にした順張りである。ローソク足の代わりに新平均足と2本の移動平均線を使っている。順張り局面の判断は、2本の移動平均線(MA20とMA38またはMA50)が平行して右肩上がり、ないしは右肩下がりになっている局面でのみ市場参入することにしている。移動平均線が、水平状態にあるときにはトレードしない。買いの場合は、2本の移動平均線が、並行して右肩上がりの状態で、新平均足が押し目を形成した後、終値ベースで上昇に転じたのを確認して、次の足の始値でエントリーする。売りの場合はその真逆である。 

 2本の移動平均線が揃って右肩上がりまたは右肩下がりになるのは、1日平均一度、多くて2度程度である。とてもパソコン画面をにらみ続けるわけにはいかない。そのため、新平均足の色(トレンド)や移動平均線の色(トレンド)が変化したときには、間髪を入れずMT4システムのメール発信機能を利用して携帯にメールが届くようにしている。とある著書では、夜3時間のみパソコンの前に座ってチャートを観察、チャンスとなればエントリーし、ポジションクローズまで17分で終わるというのがあったが、これとよく似たトレードスタイルでもある。

 観察する通貨ペアはEURUSD、GBPUSD、その他ストレート通貨を1 ~ 2種類程度に絞っている。短期デイトレなのでスプレッドの広い通貨ペアは避ける。必ずストップは入れておく。5 ~ 7ピップス以上の含み益が出た段階で、ストップをエントリー価格に変更して、以降その取引では負けがない状態にしておく。含み益が順調に膨らめば、トレイリングストップを利用して、さらに利益を伸ばしていく。新平均足の色(トレンド)が逆に変化した時点で手仕舞い、またはトレイリングストップで強制的に利確となる。

 ② 中長期トレード

 こちらは、4時間足にATR Channel を表示しておき、ローソク足がσ+2を突破した段階でそこを天井とした逆指値の売りトラリピを仕掛ける。もちろん、相場は天井を超えてそのままトレンドを続ける場合もあるが、そこは仕掛けたトラップの域外であるから、ナンピン売り上がりとなることはない。いずれ相場が戻るのを待つだけである。待つのをよしとしないのであれば、注文をキャンセルするだけでよい。ATR ChannelはFX講師西山孝四郎氏が使用されているものであるが、ボリンジャーバンドで代用することができる。 

 短期デイトレと同じで、こちらも相場がσ+2やσ-2の域に達するまで、何もしない。また、相場が狙った方向に向かわなくても、いずれ狙った方向に戻ってくるのを待つだけである。仕掛ける前も、仕掛けた後もただ待つだけだ。売りも買いも逆指値ということは、トラリピという戦術は逆張りであるにもかかわらず、個々のエントリーは順張り指向なのである。 

 トレードで勝つ条件は、先ず自分のトレード戦術があり、その戦術が通用する機会を待つことにあると言えば、言い過ぎであろうか。

 

(注)

 新平均足やトラップ取引については、過去ブログを参照されたい。


MT4/MT5 のクラス機能を使ってみよう

2018-11-06 10:36:55 | 投資

 MetaTraderではそのシステム一本化のため、現在かなりのスピードでMT4とMT5の接近が進められている。特にMT5のbuild更新は頻繁で、FXトレードを行う上ではMT4とさほど変わらぬ環境となりつつある。 

 豊島久道先生はすでにMT4/5共通のライブラリーを開発され、一般に公開された。ライブラリーを活用することで、実質的にはMT4とMT5の垣根は取り払われているわけであるから、MetaTraderとしてはあと少しの工夫で両者の完全互換性が達成できるのではないかと、ひそかに期待している。 

 この間、MT4サイドにも着々とMT5の仕様が移植されてきている。C++のいわゆるオブジェクト指向の要素も拡充され、一見何も変わらないように見えるMT4もおおいに変貌を遂げている。MT4でも使えるようになったクラス機能による組み込み指標関数についてiMomentumを例に取り上げてみよう。 

 クラスの追加により、現在のMT4では組み込み関数iMomentum()とともに、CiMomentumが使えるようになっている。MT5でもMT4のiMomentum()は存在するが、使い方がMT4とは全く異なる。むしろ、クラスのCiMomentumのほうが使いやすいかもしれない。MT5の練習のために、クラスを使ったMT4用の仕掛けシグナル関数を示すと次のようになる。

#include <Indicators\Indicators.mqh> //インジのクラスをインクルード

input int MomPeriod = 20;

中略

//仕掛けシグナル関数

int EntrySignal()

{

   //テクニカル指標の設定

   CiMomentum Mom; //モメンタムのオブジェクト  

   //テクニカル指標の初期化

   if(Mom.MaPeriod() < 0) Mom.Create(_Symbol, 0, MomPeriod, PRICE_CLOSE);  

 Mom.Refresh(); 

   int ret = 0; //シグナルの初期化 

   //買いシグナル

   if(Mom.Main(1) > 100) ret = 1;

   //売りシグナル

   if(Mom.Main(1) < 100) ret = -1; 

   return ret; //シグナルの出力

}

 

 

 


開発済みEAs及びIndicatorsをレビュー

2018-11-04 14:45:04 | 投資

 これまで開発を終了した自動売買プログラム(EA)やテクニカル指標(Indicators、インジ)は、いずれも10年以上のトレード経験に基づいた実体験に基づくもので、ご利用者からはそれなりの評価を頂いているものである。就中、日々のトレードで愛用願っているEAやインジについて、その後の更新情報や特記事項を纏めてみたい。 

一、自動売買プログラム(EA) 

① Trap Trade System

 FXの世界では最も多く利用されている取引手法の一つであるトラリピ(TrapRepeatIFD)をMT4の自動売買システムとしてプログラム化したものである。FXは儲かるとの甘言に誘われて始めてみたものの、ランダムウォークとも見える値動きに右往左往、ついにはFXの世界から遠ざかってしまう人が多い中で、この手法が唯一といってよいほど初心者を救ってきたのは事実である。

 TrapRepeatIFDは古くから知られている取引手法であったが、特許庁が不覚にもM社にこの特許を認めてしまったために、M社の独占状態が今日まで続いてきた。この特許はFX会社のシステムを縛るもので、MT4利用者のパソコン上のMT4システムを縛るものではない。

 TrapRepeatIFDは目先の値動きに惑わされることなく、おおよその相場観を持っていればよいので初心者にはこの上もなくお勧めの取引手法である。

 Trap Trade SystemにはMT4版とMT5版両方のEAがパッケージされている。更新が頻繁に実施されているMT5であるが、最新版でも正確に作動していることが確認されている。

② TrendBlazer(西山孝四郎(石原順)提唱の順張り自動売買システム)

 ボリンジャーバンド、ADX、標準偏差(StdDev)を利用した西山孝四郎講師が提唱されている順張りシステムである。TrendBlazerで採用されているインディケータは講師の計算式と100%一致している。更に、ADXやStdDevの表示は上昇時と下降時で色分けされていてその動向が一目瞭然に改善されている。自動売買のみならず裁量取引を行う上でも、重宝していただけるインジがパッケージされている。

 チャートはEAに付随するインジを表示させたもの。濃い青のバーはADXとStdDevがともに上昇していることを示す。薄い青のバーはADXまたはStdDevの一方が上昇していることを示す。西山式順張り手法を忠実に行うと、濃い青と赤のバーが重なれば買いのエントリー、黄と青いバーが重なれば売りのエントリーということになる。チャート最下段のインジはADXとStdDevを表示させたものである。それぞれ上昇下降で色変化はするが、それでも見づらいので青のバーで整理した。(講師オリジナル版には存在せず)既述のように、2個のバーの色変化のみで裁量取引を可能にしている。 

③ 新平均足による半自動取引 

 西山講師の順張り手法は、相場の大きな反転場面いわゆる逆張りの局面では利用困難となる。順張り、逆張りの両局面で柔軟なトレードを行うには、やはり最終的には人間の目で判断するしかない。幸い、今回開発の新平均足はこのような柔軟な取引に適している。現下の相場判断は、移動平均線2本(EMA20、38)の動きをフィルターとすることにより決する。できれば、この判断も半ば自動的に行うことができれば、準自動取引としてタイミングを失することはない。新平均足と移動平均線の上昇・下降の変化はMT4システムからスマホや携帯に間髪を置かずにメールで知らせる方法をとっている。デイトレでトレード時間中パソコンを監視し続けることが困難になったベテランにとっても、優しいシステムとなっている。

 ④ その他 

 その他開発EAの概略は下記の通り。

 TrendLine_AutoTrade

 チャート上に有効なトレンドラインが引ける場合、ほとんどのトレーダーはこれに従った順張りや逆張りの取引を行った経験を持つ。従来、チャート上に任意に引いたトレンドラインに基づいて自動取引を行うEAはまず存在しなかったが、多くのトレーダーからの要請をうけて開発したものである。トレンドライン1本の単純なトレードからフラッグや三角持ち合いにも対応したトレンドライン2本利用の取引にも対応している。

 ボブ・ブッカーのVortex戦略EA

 米投資コーチとして名高いRob Booker氏が来日時に講演したVortex閃絡をプログラム化したものである。本EAは同氏が提唱する逆張り手法ピボット(Pivot)を利用した順張り戦略ボルテックス(Vortex Trade)に即して開発されたもの。 

二、インディケータ 

① 小次郎講師『大循環分析』MT4版テクニカル指標

② 西山孝四郎(石原順)順張り・逆張りテクニカル指標

③ 上昇下降が色分けされた一目瞭然MACD等

 

掲載したEAやインジの使い方や説明は、過去ブログ及びMetaGencFXサイトを参照ください。

https://metagenicfx.thebase.in/

 


FX 新平均足を使った半自動取引-常勝の平均足に勝つ

2018-11-03 13:26:12 | 投資

 この10月、M社の要請に応えて新平均足を使ったMT4自動売買プログラム(EA)を開発、主としてEURUSDを取引対象通貨ペアとして公開した。ところが、同時に試していた裁量取引がはるかに自動取引の結果より優れているのである。 

 その理由としては、① 開発したEAは押し目買い・戻り売りを基本にした順張り手法であるため、相場の大きな変わり目(逆張り局面)には対応できないこと、② マーケットがチャブつく時間帯ではダマシが多いこと③ 通貨ペアによって成績にムラが出る等が主なものであった。そこで、M社に依頼して先の自動売買プログラムは公開を中止していただき、新たに半自動による裁量取引手法として切り替えていただくことにした。半自動の意味するところは、次のチャートとともに解説してみたい。

① チャートはGBPUSDの4時間足(通貨ペアや時間足は自由)

② 青い丸で囲まれたところは、試し売りに続き本格的な売り参入

③ 淡い緑で囲まれたところは、戻り売り

④ 赤い丸で囲まれたところは、相場反転逆張りの局面、試し買いに続き本格的買い参入

半自動取引の意味するところ

① トレンド変化は携帯にメール着信

 平均足の色の変化(トレンドの変化)はMT4(デモでよい)がメールで携帯に教えてくれる。同時にチャートに表示されている移動平均線(EMA20)の色変化(トレンド変化)もメールアラートとして着信する仕組みになっている。

② トレーダーはメールが着信したら、次のどの場面に当たるかを目で確認して、取引業者(MT4採用会社でなくてもよい)に注文を出す。 

各局面の判断(チャートの戻り売り局面で説明) 

① 青い丸で囲まれた局面

 新平均足が白から緑に変化したことはメールの着信で明らかである。しかしこの時点では、EMA(20)の線色はいまだ変わっていない。本格的な戻り売りの局面ではない。次の足ではEMA(20)もEMA(38)も下降に転じているから相場の大きな反転局面として逆張りの売りに入るチャンスとなる。

② 緑の丸で囲まれた局面

 この局面は3箇所あり、いずれも戻り売りの局面である。新平均足の線色が陽転しても決して買い参入してはならない。EMA(20)が下降中の一時的な戻り局面に過ぎないからである。この局面では新平均足が白く変化しても反応しない。新平均足が終値ベースで白から緑への変化が確定するのを待って、次の足の始値で売りエントリーする。

③ 赤い丸で囲まれた局面

 新平均足が緑から白に変化し始めた局面である。今まで右肩下がりに下げてきていた2個の移動平均線EMA(20,38)もその傾斜がなだらかになり、相場の潮目が変わりそうな雰囲気だ。ただし、EMAがいまだ右肩下がりであるから、戻り売りの局面となるかもしれない。ここは、両睨みで待つしかない。そのうち、EMA20の色が買いに変化し、2本遅れでEMA38も陽転した。ここは本格的なトレンド反転とみて、買い参入となる。

 

使用するインディケータ等説明

① 新平均足

 MT4搭載の平均足は通常使われている標準的なものである。新平均足はこれに改良を加えたもので、計算期間を倍増してダマシを少なくするとともに最新の足のウエイトを加重した計算方式を採用しているため、足許の相場にも鋭敏に反応するようになっている。

② 移動平均線

 押し目買い・戻り売りの順張り局面では、主としてEMA(20)を利用する。上昇・下降で線の色が変わるので、トレンドの変化を見逃さない。EMA(38)は相場の反転、即ち逆張り場面で利用する。EMA(20)とともに揃って反転すれば、相場の流れが大きく変わったとみて、新平均足の動きに沿った本格逆張り参入となる。

③ メール発信機能

 MT4のプログラム上はEAに属する。通常は自動売買に使われるが、本稿のようにメールアラートやサウンドアラート発信機能としても利用できる。新平均足の色の反転、移動平均線の色の反転をスマホや携帯に知らせてくれる機能である。ちなみに、EAのダイアログボックスは次のようになっていて、発信するアラートの要否や、MAの種類及び期間は自由に設定できる。このメール機能を利用することにより、マーケットを常時ウオッチする必要がなくなり、アラートが出たときに間髪を入れずに市場参入できるので、自動取引に似た裁量トレードが楽しめる。

 手仕舞い条件

 手仕舞いは新平均足の色が終値ベースで反転したとき、つぎの足の始値で行うのが通常である。ただし、これではアクションの遅れにより利益幅が縮小することもある。お勧めは、トレイリングストップを自動・手動で利用することにより、強制的に利確を図ることだ。

(注)

① 上記特製インディケータ及びメール(及びサウンド)アラート発信機能EAはMetaGenicFX社にて公開しています。

https://metagenicfx.thebase.in/

②MT4のメール設定の方法については、過去ブログを参照されたい。

https://blog.goo.ne.jp/antnobu/e/d6e22e266fd085f99faaea4477dc4cb1

https://blog.goo.ne.jp/antnobu/e/22105706fddd35e0a536d024dc6fc028