トレード備忘録 & MT4/MT5インディケータ及びEAの開発

日々のトレード備忘録及びMT4/MT5に関する事項

ボリンジャーバンド・ファイブ(5)の仕掛け

2019-07-27 10:51:21 | 投資

  3月20日のブログで「ボリンジャー・ファイヴの威力」に触れた。元敏腕ディーラーである水上紀行氏が、著書発売を機に開いたセミナーで公開された手法である。ボリンジャーバンド(BB)のバンド幅が狭まった後の拡張時に、そのトレンドに乗るという手法は広く知られているものではあるが、そのパラメータを5にするというのはまさに灯台下暗しであった。 

 セミナー資料には日足のチャートが掲げられていた。最適時間足は他にあるとされ、その内容は企業秘密とされていた。その後、氏の著書「FX戦略投資」を精読した結果、その時間足は4時間足であることが判明した。著書に掲げられていたチャートでは、虫眼鏡が必要なほど小さな文字で4時間足と判読できたからである。 

 以来、筆者のトレードでもBB5を主力の一つにしている。毎日、東京時間帯の終了時に25通貨ペアを観察し、バンド幅が極小化しているペアに逆張りのOCO注文を入れる。手動でも難しくはないが、BBσ±2の値をチャートから読み取り、複数ペアに逆指値注文を入れるのは結構面倒である。できれば、一定の利益幅が出れば損切り値をエントリー価格に修正する機能を加えたいので、これを自動化したのは前述のとおりである。 

 数か月運用してみて、いくつかの気づきがあった。水上氏のデフォルト設定では、逆指値の位置はBBσ±2から20ピップス離す位置になっているが、これは通貨ペアによって調整した方がよさそうだ。日中のATRが90から100ピップス程度あれば、デフォルト設定で問題ないが、それ以下の通貨ペアでは20ピップスは広すぎる。 

 昨日は英ポンドクロスでは、BB5花盛り状態となった。今朝のGBPCAD等のチャートを見れば納得いただけると思う。チャート中、黄色の線は日足のBB5を4時間足に表示させたもの。 

 

 MetaGenicFX社の顧客からBB5に関してご質問を頂き、同社から回答申し上げたが、メールがNon Deliveryで配信出来なかった由。同社からの依頼を受け、その回答を兼ねて本稿といたしました。


EAが作動しない場合

2019-07-20 10:04:37 | 投資

  過日のブログでMT4がフリーズしてしまった事例について述べた。当然のことながら、ナビゲータのエキスパート欄も開けない状態であるから、エラーの原因を知ることもできない。パソコンを再起動しても、もはやそのMT4を立ち上げることはかなわなかった。その解決策については、当該ブログで詳しく紹介しているので参照願いたい。 

 それと前後して、今度は、EA(自動売買プログラム)が作動しないという報告を受ける事例が複数届いた。これは、筆者に起こったトラブルではなく、筆者が関係するメタジェニック社の顧客からの相談事例である。顧客とのやり取りから、EAが作動しない原因は要約すると、次のようなものであった。 

① MT4にはEAの利用ができないものがある

 近年、MT4採用のFX業者の中には、本邦業者との競争上そのスプレッドを極小化するところが出てきている。従前の通常スプレッドの口座ではEAの利用を許容するが、狭スプレッドの新講座ではEAの使用をできなくしている例が多い。海外業者の中には、ゼロスプレッドと称する口座を提供するところもあり、そのような場合にもEAの利用は禁止されているようだ。いずれの場合にも、事前に該当口座の取引条件を調査しておく必要がある。 

② 最低取引ロット数の問題

 オアンダ・ジャパン社が典型例であるが、東京サーバー口座ではスプレッドが通常口座より狭い反面、そこでの取引は最低取引ロットが1万通貨単位に制限されている。そのため、ドル円であれば1万ドル未満のロット数ではEAも作動しない。 

③ CFD取引にも注意

 海外のMT4口座を利用して商品や株価指数といったCFDをトレードされる方が多くなっている。②とも関連するが、CFDの取引条件は各社区々となっているので注意を要する。例えばNikkei225の場合、最低取引単位を1とするところがある。MT4では通貨ペアの場合、通常、1は10万通貨単位を意味するので、それに準じてダイアログボックスでロット数を0.1とか0.01と設定すると、これまたEAは作動しない。 

④ その他

 EAによっては利用者のアカウントを限定するものがあり、その場合、同じEAを他社の口座で利用しようとしても作動することはない。メタジェニック社では、顧客との暗黙の紳士協定によりEAは顧客ご本人のみが利用されることを前提にプログラム上そのような規制は設けていない。 

 思うに、低スプレッド口座ではEAが使えないということは、EAを使えば顧客にとってはよりトレードが有利に働くということの裏返しではないか。

 


MT4でトラリピの自動売買を、VPSは必要なし!

2019-07-18 16:43:17 | 投資

 FXトレードを1~2年程度続けている人達の多くはMetaTrader(MT4)のチャートで相場分析を行っているという事実があります。しかし、MT4の実口座を開設して取引を続ける人の数はまだまだ少ないのも事実です。その理由は;

① MT4のデモ口座は実口座と何ら変わらないトレード環境を提供しているので、相場分析に徹するのであればデモ口座で十分である。実際のところ、MT4デモ口座では、世の中に存在するほぼ全てのインディケータを利用して相場分析が可能となっている。

② MT4の最大の魅力は、自己作成ないしは既成のプログラムを利用して自動売買ができるとことにあるが、自動売買をするにはVPSという外部コンピュータをレンタルするか、そうでなければ、パソコンを常時オンの状態にしてプログラムを作動させ続けなければならない。

③ MT4にはC言語に近いプログラム環境が用意されており、独自のインディケータや自動売買プログラム(EA)を作成することができるが、多くのトレーダーは自分には関係ないと考えている。 

 上記の②と③の理由により、自動売買を敬遠する方が多いようです。日頃から中高年や女性のFXファンに接することが多いのですが、そのような方々にはトラップリピートイフダン(トラリピ)の自動売買のEAをご自分のパソコン上で運用されることからスタートすることをお勧めしています。VPSを賃借りすることもなく、また、パソコンを常時オンにしておくこともない、謂わば、半自動取引ということで、実際にやってみて感動される方も多いのです。 

イフダン(IFD)注文の特殊性 

 なぜトラリピの自動売買が自己のパソコン上で可能となるのかという疑問に答えるためには、IFD注文の特殊性について述べなくてはなりません。トレードをしていて夜遅くなると、IFD注文を出しておいて床に就く方も多いと思います。現在の相場が107.50であり、翌朝までの間に再び108.00方向に向かうと予測した場合、買いの指値107.60、利確値107.80と20銭狙いのIFD注文を発してパソコンのスイッチを落として就寝することがあります。翌朝までに、相場が首尾よく動いてくれて107.80以上の価格が付くと、20銭の利益を得ることができます。よく考えてみると、IFDはまさしく自動売買の一種であることが分かります。パソコンから注文を出しておけば、相場次第でエントリーからエグジットまで眠っている間に勝手に業者のサーバーが行ってくれるからです。 

 ところでIFDは一旦仕切り(エントリー)から手仕舞い(エグジット)まで完了すると、そこでお終いということになります。同一の注文を入れるには再びパソコンから注文を出さなくてはなりません。再注文の部分を自動で行ってくれるのがリピートイフダン(RepeatIFD)で注文が1個ならそれでもよいのですが、これを複数の値幅で網の目のように仕掛けるのが、トラリピの正式名称トラップリピートイフダン(TrapRepeatIFD)ということになります。 

 例えば、ドル円の現在価格107.75の時、105.00~110.00の間にトラップ幅・利確幅共に50銭刻みで買いのトラリピを仕掛けると次のようなIFDの注文群が一斉に発注されます。発注はEAという自動売買ソフトを使います。

注文価格

利確値

指値・逆指値

109.50

110.00

逆指値

109.00

109.50

逆指値

108.50

109.00

逆指値

108.00

108.50

逆指値

107.50

108.00

指値

107.00

107.50

指値

106.50

107.00

指値

106.00

106.50

指値

105.50

106.00

指値

105.00

105.50

指値

 発注後にパソコンのスイッチを切ったとしても、前述のように後処理は業者のサーバーが自動的に引き受けてくれます。相場が107.50を付ければ即座に107.50の買いポジションが発生、その後ドル円が上昇を続けて108.00に達すれば、利益確定注文が働いて0.5円の利益が確定することになります。ただし、パソコンのスイッチを切ってしまっているので、完結した107.50のIFD注文はこの段階では再発注されることはありません。 

 考えてみてください。仮にドル円の1日の値幅を1円とすると、欠落した107.50の注文による機会損失は、相場が再び107.50に戻ってその後また108.00の価格を付けた場合に起こります。108.00の相場が再び50銭下落して107.50となり、そこで反転して再度108.00となる確率は相当に低いと考えられます。翌朝パソコンを立ち上げた際に何が起こるかというと、眠っていたEAも同時に目覚め、一瞬のうちに欠落した注文を発見して、その分のIFD注文を自動発注してくれるのです。 

 トラップ幅と利確幅を1日の値動きの半分程度にしておくと、確率的には1日1回の利確があることになります。また、1日、2~3回パソコンのスイッチをオンにしてやれば、欠落したIFD注文は自動的に補充されることになります。この種トラリピに限りVPSのレンタルは必要としません。 

 MT4利用によるトラリピの長所は数々ありますが、コストが安いこと、IFDの発注段階では証拠金が不要であること、順張りのみのトラリピ方式を選択すれば、たとえ相場が逆行した場合でも、含み損となるポジションの数を極小化できる等々枚挙にいとまがありません。 

(注) この記事は、MetaGenicFX社の顧客から同社のトラリピEAに対する質問に関連して用意いたしました。別途、uploaderにも製品説明書の一部をアップしておきましたので参照ください。

https://ux.getuploader.com/FXTrader/

https://metagenicfx.thebase.in/


GP-Chartのデコンパイル(3)、GP-ChartModokiを作ってみた

2019-07-17 16:27:04 | 投資

 昨年12月、2回に亘って鈴木隆一氏開発のインディケータGP−Chartのデコンパイルに挑戦したことがある。現在は閉鎖されているが、嘗て同氏のブログで公開されていたGP-Chartは大変カラフルで使いやすいインジであったため、多くのトレーダーから支持を得ていたものだ。残念ながら、ソースコードが公開されていないので、無謀にも論理式を推測してそのデコンパイルをするという向こう見ずな試みであった。 

 筆者のブログに対して、読者の方からご質問を頂いたので、今回3回目の挑戦に向かうこととなった。その前に、元祖GP-Chartを掲示しておこう。

  一見して平均足の亜種であることが分かるが、上昇と下降トレンドはそれぞれ青と赤に色分けされている。黄緑の部分はどうやらトレンド相場の変わり目ないしはレンジ相場の色合いであることが推測される。GP-Chartのダイアログボックスを開くとローソク足の線色の変更ができるので、ここで黄緑の色を元の赤と青に戻してみた。横に並べてみると、少し感じは異なるが両者は同一のチャートである。

 

 ところで、このチャートはT3という方式で平均足をさらに平滑化(smoothing)されていることは鈴木講師がそのブログで明らかにされていた。ところがT3の計算式が数種存在する上に、パラメータも不明であるためオリジナルを再現することは困難となった。そこで、平滑化を移動平均で計算し、GP-Chartに似せたものを前ブログで紹介した。再度両者を比較したのが下図である。

 

 左が、GP-Chartモドキ、右がGP-Chartオリジナルである。細かなところで差異はあるが、いずれも正攻法で平滑化が行われているので、実際のトレードにおいては、いずれが優れているとは言い難い。 

 次の作業はモドキに黄緑部分を追加することであるが、これが少々手間取っている。とりあえず、相場転換点に矢印を表示させておいたが、これはあくまでアクセサリー程度。 

 MetaGenic社では、新平均足なる別途製品を公開していますが、そちらの製品にも本インディケータを含めることを同社にて検討しています。

 

 


MT4が起動しない(応答なし)

2019-07-12 00:04:06 | 投資

 仕事の都合上、MT4やMT5のデモを含めた口座を10個近く有しているが、本日新しいインディケータのプログラムを作成中に、突如としてMT4の一つが起動しなくなった。コンパイルも無事に終わり、インディケータをチャートに表示させようという瞬間、画面がフリーズ、できることはチャートを閉じることだけであった。念のため、パソコンを再起動までしたが、そのMT4チャートは以後一切立ち上げることができなくなってしまった。 

 開発済みのプログラムを多数ファイルに残しているので、どうしてもリカバリーさせたい。MT4チャートからデータファイルを開く方法は閉ざされてしまっている。ということは、直接パソコンのCドライブから探さなくてはならない。MT4のデータファイルは深い階層に格納されており、且つ、隠しファイル状態になっているので、下調べが必要となる。 

 他社のMT4ファイルを調べると、Indicatorsファイルまでたどり着くには、次のようなステップをとる必要があることが分かる。Cドライブ → ユーザー → 個人名 → AppData → Roaming → MetaQuotes → Terminalと開いていく。Teminalの下には、更に323EDNS955F10C7534BN1F4等乱数のようなアドレスが並んでいる。筆者の場合は、使っていないMT4口座もあるのでこの数字と英文字の乱数アドレスが20個ほど存在する。一個一個しらみつぶしに当たるしかない。数字と英文字のアドレスの次に、MQL4 → Indicatorsと続いて開いていく。これを繰り返して、8個目のアドレスの下に現在作成中のインディケータを発見した。 

 トラブルの元となった当該インディケータをファイルから削除。ファイルを閉じて、改めてMT4を立ち上げたところ、いつもの効果音とともに無事チャート画面が開いてくれた。 

 個人名の次のAppDataからは隠しファイルとなっているので、個人名\AppDataと繋ぎ、以下同様にして次のファイルを開いていった。隠しファイルを表示させる方法もあるようだが、またの機会に。

追記 :隠しファイルを表示させる方法は下記サイトで詳しく説明されていました。

https://helpx.adobe.com/jp/x-productkb/global/cpsid_87117.html