トレード備忘録 & MT4/MT5インディケータ及びEAの開発

日々のトレード備忘録及びMT4/MT5に関する事項

MT4/MT5学習者にとっては朗報です

2017-11-19 11:06:13 | 投資

 そう遠くない将来、MT4が利用できなくなり、MT5に一本化される方向性が明確になってきました。それに備えて、メタトレ側でもMT4の仕様をできるだけMT5に近づける努力はされているようです。しかし、トレード関数や組込み指標関数等トレード関連関数では開発思想の違いが大きいことから、完全な互換性を持たせることは不可能な状態です。 

 そんな中、「メタトレ入門」や「メタトレ実践編」の著者豊嶋久道先生(神奈川大学工学部教授)は、本年9月「MT4/MT5共通ライブラリ LibEA.mqh(β版)」を氏のサイト「Toyolab FX」にて公開されました。 

 このライブラリの何が素晴らしいかというと、全ての自動売買プログラム(EA)がMT4であれMT5であれ同じ言葉(共通語)で書けてしまうことにあります。MT5は未だ日本では普及していませんが、このライブラリを利用してプログラムを作成していれば、いざMT5導入となってもそれまでMT4で作成したEAが事実上そのままMT5でも作動することになります。 

 初版であるβ版では、iCustom()の共通化が未だ実現されていませんでしたが、11月16日改訂版(171116版)ではこちらのライブラリも追加されたため、自作のテクニカル指標を含む標準搭載外のカスタム指標を売買シグナルとするEAも自由にMT5でプログラムすることが可能になっています。 

 一方、同氏著「メタトレ 4&5 一挙両得プログラミング」のEAも僅かな修正で同じライブラリ LibEA.mqh上で作動させることができるようになりました。同著掲載12個のMT5プログラム例について、11月14日Toyolab FXにて詳しいコード修正方法が解説されています。 

 最新のMT4/MT5にはクラス機能利用のライブラリが標準搭載されています。ただし、これらについては未だMT4/5 Referenceにもその利用法についての説明もありません。豊嶋先生のライブラリは標準搭載ライブラリとは別個のものですが、その統一性、利便性、汎用性においてはるかにMT5オリジナル・クラスライブラリを超えるものと考えています。

(追記)

 今回のライブラリ更新により、MT5でのEA作成の難易度はMT4環境でのEA作成と変わらぬほどに軽減されました。「MT5(metaTrader5)急がば回れの学び方(2)」では、MT5の学習は、テクニカル指標の作成から始めた方がよい」としていましたが、EA作成を優先される方はその順を逆にされても問題なさそうです。

 


劣化した東京金融取引所CFD(くりっく株)そのⅡ

2017-11-12 23:34:26 | 投資

 10月26日付の同題のブログに対し、各方面でも取り上げられた模様で、東京金融取引所傘下の証券会社には多くの質問や苦情が届いたという。それまで、異常な価格表示がなされていることを放任してきた取引所であったが、ようやくその重大さに気付いたのか、11月6日下記の「お知らせ」を傘下証券各社に 配布した。(以下全文)

 [取引所からのお知らせ]

株価指数:NYダウ証拠金取引の価格について

NYダウ証拠金取引を含む「くりっく株365」の海外株価指数は円建てであり、対象指数との連動を基本としておりますが、10 月以降、NYダウ証拠金取引と対象指数であるNYダウとの価格差が拡大する状況が続いております。 

「くりっく株365」のマーケットメイカー(MM)は、先物市場の価格を参考に、需給、相場、建玉の状況等を勘案して、価格を提示しております。従いまして、「くりっく株365」の価格は、対象指数の価格そのものではありません。10 月以降に価格差が拡大した主な理由は、以下のとおりと考えております。

1. 対象指数のNYダウの最高値更新を受け、NYダウ証拠金取引において投資家の新規買い注文が急激に増加し、一方向に建玉が傾いた。

2. MMが価格提示にあたって利用する先物には、米国金利が適用され、「くりっく株365」との金利差による影響が建玉の偏りによって大きくなっている。 

以上の価格差の拡大を受け、当社は、対象指数との連動を目指すべく、現在、対応策を鋭意検討し、早急な結論を得たいと考えております。投資家の皆様には今しばらくお待ち頂きますようお願い申し上げます。

NYダウ証拠金取引のお取引及び建玉(ポジション)管理には充分にご留意願います。

:[取引のリスクについて] https://www.tfx.co.jp/risk/

以 上

 

上記「お知らせ」で判明したこととなお続く疑問

 ① NYダウが異常な価格提示であることを認めたこと。

ただし、NYダウの価格の異常さについてのみ認めているが、日経225その他のスプレッドも競合他社と比較すると4倍から10倍近く開いている(異常価格である)ことには触れていない。

② 異常価格表示の原因をポジションの偏りのためとしているが、それは子供だましのような説明である。ポジションに偏りがあれば、そのポジションをスクエアにすべく操作するのが通常の金融機関の基本行動ではないか。それができていないというのなら金融機関としては失格である。

③ 原資産はやはり株価指数先物価格であり株式ではなかった。

不思議なことだが、東京金融取引所のホームページには、くりっく株の原資産の表示がない。ただし、株式配当金相当の受け渡しをすることは明記されていたので、原資産は日経225ないしはNYダウ構成銘柄による株式と理解させられていたのだ。ところが、この「お知らせ」で原資産は株式指数先物であることを初めて告白したのである。

④ どうして配当金を払うことができるのか

原資産が先物であれば、配当金相当の受け渡しはない。先物価格を参考に日経225なりNYダウのプライスを適当に出していたというのか。もし、先物でヘッジしていたのであれば、配当原資はない。配当原資を工面する方法は、ただ一つ、スプレッドで賄う(異常価格の提示)ということだ。

⑤ 2015年末頃までは、ドイツ証券がマーケットメーカーであったから、彼らは先物取引と現物株取引等を駆使して、配当原資を確保できていたと想像する。例えば東京株式市場が終わった後、翌日までのポジションは日経225先物でカバーをとり、翌日東京市場が始まると同時に反対取引で現物株に乗り換えていたと思われる。現物株にはキャリングコスト(金利)がかかる。事実、2016年2月まではその金利が受け払いされていたのだ。この時までは、まっとうなオペレーションが行われていた証拠である。

⑥ ドイツ証券が金融庁から不公正取引で行政処分を受けた後、同証券に代ってマーケットメーカーに加わったのが日産証券であった。不可解なことにドイツ証券がマーケットメーカーから外された時期や理由は一切広報されていない。マーケットメーカーである大和証券と日産証券は現物株への乗り換えオペをやらなかったのではないか。売り買いが均衡していれば、自らの配当収支はゼロと考えたとすれば愚かである。くりっく株のスプレッドが広がった(異常価格が提示され始めた)時期とドイツ証券事件の時期が奇妙に一致する。

 「お知らせ」は市場参加者にはあまりにもうつろ且つ幼稚、無責任極まりなく聞こえる。市場のウオッチドッグが機能していることを祈るばかりである。


MT4/MT5でEAやインジを作成するにはC言語の知識が必須?

2017-11-05 22:27:06 | 投資

 「FXメタトレーダー入門」及び「FXメタトレーダー実践プログラミング」の著者豊嶋久道先生(神奈川大工学部教授)のもとには、読者から様々な質問が届くそうである。その質問の中身から、多数の読者が初歩的なところで躓いていることを知り、いささかがっかりされている様子が氏のブログからうかがい知ることができる。その結果、「メタトレ採用の言語MQL4やMQL5を理解するには、C言語の基礎を勉強した方が良い」とブログ中で述べられている。しかし、コンピュータやソフトウエアには全くの素人であった私の経験から申し上げると、先生の結論は正しいとは思えないのである。 

 初学者にとって、先ず躓くのはfor文であり、次に条件分岐(if、while、switch)、そして配列といったところであろう。これをCやC++の教科書で勉強すれば簡単に習得できるかというとそれはとんでもない誤解であり、初学者にとっては苦痛以外の何物でもない。語学を勉強するために文法から学ぶことと同じであり、これでは外国語を話すという最終目的を達成することはほとんど不可能である。

 コンピュータの得意とする繰り返し処理(for文)を理解することだけで恥ずかしながら半年近くかかってしまった。なぜ途中で投げ出してしまわなかったかというと、それはFXが好きだったからの一言に尽きる。もし、FXに関する知識を究めたいという動機がなければ、CやC++もどきのMQL4やMQL5を学ぶ機会など永久になかったということができる。 

 最初は簡単なインジを作ってみた。内容はよく解っていないが、見様見真似やコピペの世界である。それでも自分の作ったインジやEAが作動してくれた時には、新鮮な喜びを味わうことができた。幼児が言葉を覚えるステップに似ている。最初は二言三言から、そして徐々に話せるようになっていくのと同じプロセスである。 

 著者は異なるが、「iCustomで変幻自在のメタトレーダー」という教本がある。手っ取り早くとにかく自動売買プログラム(EA)を作成したいというのであれば、こちらがお勧めである。テクニカル指標(インジ)で売り買いのシグナルを出すEAであれば、2週間もあれば誰でもそれなりのプログラムが書けてしまう。ほぼすべてのMT4インジに対応することができるから、これだけでトレードする人も多数いる。 

 ただし、この教本ではテクニカル指標の作成や複雑なEA作成はできない。例えば、決済にトレーリングストップを組み込みたいとか、価格をベースにしたEA(例えばトラリピEA)のプログラムを書くことには無理がある。しかし、MT4を学びたいという人にはモチベーションの維持には繋がる。次への意欲が生じたところで、豊嶋著二本に戻ればよいのである。 

 CやC++を先ず勉強すべきであるという考えには反対である。インジやEAを作成する過程そのものが、CやC++の基礎の習得になっている。事実、上記二書籍はC言語に触れたことのない読者を対象にされていて、「FXメタトレーダー入門」ではC言語の基礎に相当する部分をプログラム作成の実際を通じて詳細に説明されている。FXプログラムを離れたCの教本など、FXトレーダーたる初学者には読めたものではない。

 私自身の経験では、インジやEAがまあまあ作成できるようになった後、興味の赴くまま、放送大学の「ハードウエアの基礎」や「ソフトウエアの基礎」を録画放送で学んだ。テキストも市販されているので、放送大学に入学する必要はない。また、関数の仕組み、構造体、クラス機能等をよりよく知るために、CやC++の教本を取り寄せて読んでいる次第である。最初から独学でCやC++を始めることなど文科系出身者には夢のまた夢である。演繹と帰納という考え方があるが、私の頭は後者でないと受け付けない。天才であれば、別であろうが。

 豊嶋先生、先生のメタトレ入門や実践の方が、本格的なCやC++の教本よりよほどFXトレーダーにとっては理解しやすいのです。どうか引き続きお力をお貸しください。