問わず語りの...

流れに任せて

映画『アルキメデスの大戦』

2022-02-02 08:50:12 | 映画

 

 

冒頭の戦艦大和が爆沈するシーンは良く出来てます。

CGで描かれたのはこれが初めてではないけれど、その中でも1番の出来ではないかと思う。悲劇性と迫力とがバランスよく作られていて、これは見ごたえがあります。『永遠の0』の頃と比べても、白組の技術は向上している感じがします。良いことだ。

若干、『タイタニック』の影響かな?と思えるようなシーンもあったりしますが、まあいいでしょう。とにかくこの、大和の最期を観ただけでも、映画を鑑賞した価値はある。冒頭だけ観て帰ってもいいくらいだ(笑)。

いや、そう言いたくなるくらい、映画全体はなんというか、スカスカというか、薄いというか、同じ意味だね(笑)。まあとにかく、何度も観るのを辞めようかと思ってしまった。

でも一度観始めた以上、最後まで観るのが映画に対する礼儀だと思い、なんとか最後まで観切った、という感じでした。

なにがいけないかって、結局

菅田将暉、なんだよねえ、申し訳ないけど。

 

私は基本、菅田さんのことはそんなに悪くは思っていません。むしろ若手俳優の中では、好感を抱いている方です。

でもねえ、今回はねえ......。

 

海軍の会議に計上された、巨大戦艦建造計画の戦艦建造費が安すぎるのではないか、と疑念を抱いた山本五十六(舘ひろし)が、不正を暴くために「数学の天才」に本当の製造費の割り出しを依頼するというストーリー。もうね、この設定からしてかなり強引。この強引な設定にリアリティを、あるいは気にならなくさせるには、菅田将暉の演技にかかっている、と言っていいと思うのですが、それがどうにも

なんというか、菅田さんの演技には、天才を感じさせる説得力が欠けているのです。

どうみても、「天才」には見えない。これは致命的。

そのせいか、映画全体の薄さが際立ってしまい、観ていて辛いことこの上ない。

発想自体は悪くないと思うんですよ。やり方次第ではもっともっと面白くなったと思うだけに、どうにも残念で仕方がない。まあ、菅田さんだけの責任というよりは、やはり映画全体を統括するのは、監督なわけで、山崎貴という監督の、本編演出の薄さ、粗さが目立つ映画だったということでしょう。

 

脇を固めている役者さんたちには、良い役者を揃えています。国村隼さんとか、見ない日はないんじゃないかというくらい、色々な作品に出まくって、いい味だしてますよね。この作品でも、あまり目立つ役ではないのですが、そこにいるだけで画が締まる、良い存在感でした。

橋爪功さんの意地の悪い演技は堂に入ったもの、流石という感じ。名バイプレイヤーここにあり!といった感じ。それと柄本佑さんが良かった!むしろ佑さんを主役にした方が良かったかもしれない。重ね重ね菅田さんには申し訳ないけど、演技者としては佑さんの方が上じゃないかと思う。ホント、申し訳ないけど。

舘ひろしさんはねえ......、正直私は、この方のどこが役者として良いのか、さっぱりわからない。だからこれ以上は何も言わないことにします。

 

で、なにより素晴らしかったのは田中泯さん!あの威厳、あの重さは、他の役者さんが束になってかかっても勝てないんじゃないかと思うくらい、素晴らしかった。

戦艦大和の設計者の役なのですが、大和とは何なのか、何故「大和」と名付けたのか、という、この映画の要といっていい部分を田中泯さんに語らせるのですが、これが実に説得力がある。強引な設定も泯さんが語ることで不思議とリアリティを持つに至るところがスゴイのです。

この方、本来役者さんじゃないんですけどね。役者さんじゃなかったからこそ出せる味わいなのかもしれません。

泯さんが語る大和の「秘密」に、思わず「ほう」と唸ってしまった。強引ではあるけれど「面白い」と思ってしまった。最後まで観切って良かったと思いましたよ。

泯さんのお陰で。

 

大和とは何か、何故「大和」と名付けたのか。つまりは「陰陽道」であり「お雛様」なんだね。おっと、これ以上はネタバレになるので止めておきましょう。

 

決して面白いとは言い難い映画だし、簡単におススメというわけにはいきませんが、田中泯さんが語る大和の秘密をどう感じるかで、映画の評価は随分と変わってくると思う。そういう意味では、最後まで観ることをおススメしますが、

大和の「秘密」をどう感じるかは、あなた次第なので。そこまで私は

責任持てましぇーん!

 

菅田さんにはホント、申し訳ないけど、田中泯さんに尽きる、田中泯さんしか勝たん。そんな映画でした。

 

田中泯さんありがとう。あなたはスゴイ!

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする