さかざきが綴る「アンティークな日々」

アンティークディーラーさかざきがアンティークのこと、日常のことを綴っています。

貴婦人のたしなみ

2010-03-04 | アンティーク

20100304

 今日は今回の新入荷の中から「貴婦人のたしなみグッズ」をご紹介!まず左端のアイボリーは、フランスの“Carnet de Bal (カルネ・ド・バル)”つまり舞踏会の手帳。舞踏会で踊る順番や、逢い引きの予定などを書いたのだそう。淑女の秘密も書き込まれるチャーミングなアイテム、なにより舞踏会で手にされる物だから、それは凝った豪華な細工物です。なんといっても、書き込むメモ帳部分もアイボリーというのが凄いですね。ペンシルで書いたようですが、どうやって消すのかと思ったら、セーム革でこすると消えるのだそう。う~ん、19世紀は奥が深いです。

 小さなピンクの小瓶は、イギリスでは“Scent Bottle(セントボトル)”と呼ばれる気付け薬入れ。透明のガラスの上に二層の着せガラス、それをカットした小さくとも手の込んだガラス製品です。常にコルセットで体形を整えていた19世紀後期、女性達の平均ウエストはなんと54cm!そんな無理な体型を維持していた女性達はすぐ気分が悪くなり(演技という説も…当時の淑女達はいかに美しく気絶するかを日々練習していたらしい。)、このセントボトルの中の酢酸の香りを嗅いで正気を取り戻したとか。セントボトルの中に入れられていたのは酢酸の結晶、お酢のきつい香りで気を取り戻すのだから、実際はあまりロマンティックではないのですけどね。当時の淑女達がいつも携帯していた気付け薬入れです。

 下に敷いたハンカチは美しいホワイトワークのもの。大きく入れられた複雑なイニシャルのモノグラムも周囲の刺繍も魅力的なそれは美しいハンカチです。これは手を拭くためのハンカチではありませんよ!舞踏会の際に手に持ったり、手に持つための小さな花束をくるんだアクセサリーの一種です。広げた様子も繊細で美しいですよ!

エンジェルコレクションのホームページへ

*カードを更新しました!

*「買付け日記」を更新しました!