ログビルダー日記

徳島のログハウス情報

仮基礎

2006年09月16日 | ミニログハウス
 さて、丸太の皮が全て剥けた。カビは生えやすい梅雨時ならば、この時点で防カビ剤を塗布しておいたほうが良い。ANA-LOGでは、サドリン(玄々化学工業)のアクアベースを下塗り剤で使用している。水性なので施工性もよく経済的。環境にも配慮された成分になっているようだ。丸太を加工した後は、必ず下塗り塗料の塗布を行うので、アクアベースのような塗料は早い段階で準備しておいたほうが良い。
 
 いよいよ、実際に丸太組みを始めるわけだが、その前に仮基礎を設置する必要がある。仮基礎とは、その名のとおり仮の基礎。なぜ仮基礎か?
 順序が後先になったが、ここでログハウス造りの手順の概略を。
ハンドカットログハウスは、一度作業場で仮組みして、それからそれをバラして建設予定地に運び本組みをする。一番の理由は、ログ内に入れる通しボルトやダボの穴を開けなくてはならないから。全て組みあがった後に、上から穴をドリルで開けていけば、上の丸太を貫通して下の丸太に穴の位置が出る。そうしながら上から解体しながら穴を繋いで行くことで、まっすぐな通し穴ができる。電気配線用の穴もこの時にあける。仮組みの理由として、騒音やゴミの問題もある。ログハウスを一棟作ると、大量の木屑がでる。また、チェーンソーを数台まわすと騒音もかなりのものだ。建築予定地で、この問題をクリアーできるところはほとんどない。で、別の場所で仮組をして、完成品を搬送する事になるのである。一般に仮組み場所を、ログサイトと呼ぶ。

 仮基礎のポイントは当然レベル(水平)。僕らのような専門家は、レベルを図る機械を持っているが、ない場合は透明のホースで十分。水盛りを呼ばれる方法で、以前は僕らもこの方法でレベルを取っていた。ホースの中に水を入れる。両端を立ち上げるようにして持ち上げると、その水面が水平になっている。そのホース内の水面をレベルが取りたいところに当てて、マークをする。ちなみに仮基礎の材料は、丸太の切株が良い。丸太を立てて置き、そのぐるりにマークし、マークを繋いで線にして、その線に沿ってチェーンソーで切りそろえる。これから組み上げてゆくログは、このレベルを信じきって重ねてゆくわけだから、ここで手を抜くと傾いた家になってしまう。
 仮基礎は、ログ壁の交点をベースに、大体1.5m間隔くらいで置けばいいだろう。高さは30cmくらいがやりやすい。ログを高く積み上げるとかなりの重量になり、仮基礎が沈んでしまう事がある。こうなれば修正するのが一苦労。ログサイトに選ぶ場所は、地盤が固いことも重要。

 仮基礎は、ログハウスを作る上でスタート地点。ここで躓くと後々大変な事に・・・。腰が痛くなる作業だが、慎重に慎重に・・・。

皮むき

2006年09月15日 | ミニログハウス
 ANA-LOGでは、只今、3坪(3m×3m)のミニログハウスを製作中。ログスクールなんかでよく作るサイズ。ANA-LOGでもログスクールをやってみたいと思いつつも、なかなか出来ない状況。せっかくなので、この機会にHP上でログスクールをやってみよう。
 
 初日。
 丸太は、切られたまんまの姿でログサイトにやって来る。当然、まず最初は丸太の皮むきからログワークは始まる。杉に限らず樹木の多くは、夏成長して、冬はじっと我慢する。その成長の差が年輪となって現れるのだが、成長時には根っこからどんどん水を吸い上げる。
 ログハウスの丸太は、樹皮をはいだ木肌を外壁部として使うわけで、当然、表面が硬いほうが良い。夏切りの丸太は、水分が多く、樹皮と木肌の間に水分があるので皮こそむきやすいが、カビが出やすくやわらかい。つまり、秋や冬の水の吸い上げが止まった時期の丸太が、ログハウスのログには最適であるといえる。丸太は山で切られ、葉枯らしの為に2、3ヶ月山で放置させると良いようだが、季節によっては、虫が樹皮の間に入って木肌を荒らしてしまったりするので、一概に放置期間が長い方が良いとは言えないようだ。

 まず、皮付き丸太に向き合って、一礼してから、ドローナイフと呼ばれる皮むき用のナイフで鬼皮(外側の厚い皮⇔薄皮)を一気にむく。杉の少し甘い樹液の匂いが、むせ返るように香り、スタートを意識させる瞬間。その後は、持久走みたいなもの。ただ、黙ってひたすら体を動かす。
 一通りむけたら、今度は電動の反りかんなで表面を削ってゆく。木肌をそのまま出した水向き丸太(水圧で鬼皮を向く方法)もきれいだが、ANA-LOGでは、塗装ののりや、高齢木の杢目を出す為に、かんなをかける。この時、チェーンソーであらかじめ節を落しておくと、よりすっきりした丸太になり作業もしやすい。
 単純作業で結構きつい仕事だけれど、ここで愛情込めて丸太に接すると、後々の作業に大きく違いが出てくる、大切な過程なのである。