横浜の司法書士安西雅史のブログ

2011-01-23湘南国際マラソンで初のフルマラソンに挑戦しました。

不動産取引とエスクローその2

2008-10-23 | 雑談


~前回の続き~

ところでエスクロー制度を安心して利用するために欠かせない1つの機能として「信託による倒産隔離機能」が挙げられます。
(これはエスクロー会社が信託機能を有している場合の話です。)

簡単に説明しますと、この機能により、万が一、受託者である信託会社(ex:エスクロー会社)が委託者から財産を預かっている間に破産したとしても、預けたお金(預託金)が破産財団に組み込まれることはないため(預けたお金が債権者へ配当として回ってしまうといったことはなく)、当事者はいつでも安心してエスクロー制度を利用することが出来るというわけです。。


また、下記のようなケースでの(部分的な)利用も考えられそうです。



昨年後半あたりからの景気後退の影響でバッタバッタと倒れていく不動産業者も少なくなく、高額な手付け金を払った後に倒産されることを考えると恐ろしくて契約を躊躇するようなケース。


当事者間の取り決めで、売買代金の支払いの一部を留保して決済を行い、その後、未決事項やある条件が確認できた段階で留保したお金を(清算金として)最終的に支払うケース。


しかし、この制度を不動産取引で利用するには別の問題があります。。


決済には、買主と売主以外にも、仲介業者、司法書士、融資銀行そして担保権者(売主の債権者)etc 数多くのプレイヤーが登場します。

その中でもこの担保権者は、決済の場で売主から残金(ex:住宅ローンの残代金等)を一括で受け取ることと引き替えに担保権を抹消するための書類(抹消書類)を売主へ交付するわけですが、通常、売主から担保権者へ支払われるお金は、売買代金の一部あるいは全部を原資としていることが多いので、売買代金が決済日に売主へ渡らない場合は担保権へお金が流れずに抹消書類は交付されない(つまり抹消登記が出来ない。)ということになってしまいます。

これの解決方法としては、エスクロー制度の認知度・信頼の向上が1つ考えらそうですが、現時点での利用はきわめて難しいと思います。ただ、将来、このエスクロー制度がどのように日本の不動産取引に浸透していくのか、ちょっと興味があります。



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以前からエスクロー制度には少し興味がありまして、また、最近これに関する研修に参加したことから今回ちょっとまとめてみました。

まだまだ勉強不足です



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