あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

愛と悪 第四十章

2020-03-27 22:09:36 | 随筆(小説)
わたしは自分のなるものになる、エホバ。
Neon Signが連なるヤシの木のあいだにきらめく夜のHighwayを走るX70系のチェイサー・ホワイトを操縦するわたしの父の隣の助手席で、わたしはみちたを抱っこして窓から流れる夜景を眺めている。
いつまでも、続いてゆくような時空のなかで、わたしは安心している。
始まらない朝を待つ終わらない夜のどこまでも続く道を、わたしたちを乗せた車は走っている。
窓を開けても、風を感じない。海も何処にあるのかわからない。それなのにヤシの木は潮風に揺られて、白い砂浜の海辺とこの道は繋がっている。
そう想うとほのかに、匂いを感じる気がする。
わたしは眠るあたたかいみちたを抱きながら目を瞑り、この車を、途中でわたしひとりだけが降りなくてはならないことを想いだす。
夜が明ける前に。
目を開けると、高層のHotelの前に、わたしは一人で立っていた。
紺色のトレンチコートを着て、白と桜色のスカーフを首に巻いている。
水色のキャリーケースを持って、右手に握り締めている鍵を見つめ、何かを躊躇っている。
此処に間違いはないのだろうか?
でも街灯もほとんどなくてよく見えないが、このビル以外に建物らしきものが見当たらない。
闇と熱帯植物の奥から、獣のような鳴き声がしてハッとする。
此処は亜熱帯で、とても暖かい。外に人の気配はしない。血に飢えた獣の巣窟なわけか。
わたしの血を求めている。血と肉に飢えた獣たちが。
わたしは懐からショットガンを取り出し、高層Hotelのドアを開け、なかに入って行った。
薄暗いエントランスに人影は見えない。
でもこのHotelのなかには凶器を隠し持って、何十人もの男たちが、潜在意識でわたしが来ることを恐れ、同時に熱望している。
何故ならば、わたしはこの次元で唯一の、”女(魔女)”であり、彼らの全てが、わたしがサタンの化身であると信じている。
わたしはエレベーターのボタンを押して4階に上る。
エレベーター内はピンク色のライトが点滅している。
降りると通路を挟んで両側に4つずつ、計8つのドアがある。
さて、どの部屋から遣るか。
それとも…このキャリーバッグだけを部屋に置いて来たほうが良いか。
大事なものが入っているから。
わたしは鍵に彫ってある部屋の番号を見た。
「7414177」
ってことは、あれ、7階なのかな?いや…74階か?待てよ…741階?待て待て、7414階の、177号室だな。きっとそうだ。
ふぅ…。わたしは大きく溜息を吐いた。
そして目を瞑って開けると7414階の177号室のドアの前にいる。
よし。YES!と心のなかで叫び、鍵を開けて中へ入った。
「神聖なるわたしの部屋へようこそ。」
と、だれも言わなかったが、窓辺からの眺めは素晴らしく…何もなかった。
NOTHING.
これだ。何も。何も。本当に何もない。
つまり…光も闇もない。
わたしはグレーのカーテンを閉めた。観るに堪えなかったからだ。
そしてキャリーケースのなかにラップトップがあるのを確かめ、それをベッド下に隠すとショットガンを持ってまた4階まで降りた。
わたしはまた4階の通路へ来た。
いつも、そうだ、いつもわたしは。何故か右から選ぶ。
だから右の、最初の1つめのドアから、遣ることにしよう。
わたしはそのドアの前に立つと、動悸に苛まれ、胸の痛みを感じる。
「追手に追われているのです。彼らは、異次元の存在たちです。彼らはわたしのことを、”魔女”だと。」
「魔女…?」
「ええ…。」
「あなたは魔女なのですか?」
「はい。わたしは、彼らがサタンと呼ぶ存在、魔の女であり、魔女です。」
「……。」
わたしはTelepathyで、ドアの前に立つ男にそう告げた。
ドアの向こうの、丁度男の心臓の辺りの部分のドアの位置に右の手のひらを当てる。
男の動揺が生々しく伝わってくる。
わたしは口角を上げ、男に言った。
「また来ます。わたしはあなたたち、生き残った人たちと共に聖書を学ぶ為、此処に来ました。」
去り際に、男は慌ててドア越しに訊ねた。
「あなたの父、あなたの真(しん)の神はだれですか。」
わたしはショットガンをドアに向け、静かに言った。
「わたしの父、わたしの母、わたしの真の神はエホバ、ただひとりだけです。」
「どうか助けてください。あなたはサタンではありません。あなたはわたしたちと同じ神の子です。でもわたしたちは、此処から抜け出せないのです。このビル以外に、世界が存在しないのです。」
「でも獣たちの鳴き声を聴きました。」
「それは異空間から聴こえてくるものです。その声に、耳を傾けてはなりません。」
「わたしは長旅で疲れました。わたしに赤ワインを恵んでください。できれば、鉄の味が仄かにする赤ワインを飲ませてください。」
ドアの向こうから苦しそうな喘ぎ声と、沈黙が伝わってくる。
そのあとに、掠れた声で返事が返ってきた。
「今から…準備しましょう。あなたの渇きを満たす血のように赤いワインを、あなたに飲ませて差し上げます。ですが、その代わり、わたしたちの願いを聴き入れてください。どうか此処から、わたしたちを救ってください。いつから此処にいるのかさえ…見当もつかないのです。もうすこしで、本当に気が狂ってしまいそうです…。」
わたしは深く息を吐いてショットガンを下ろすと彼に答えた。
「わたしはあなたがたの苦しみを慰める為に此処に来た。だが…わたしもあなたがたに聴いてもらいたいことがある。」
ドアの向こうから、微かな呻く声が聴こえる。
「あなたは…光の子だ…。わたしたちをこの拷問と地獄から、救いだすことのできる唯一の神の使者。わたしたちがあなたの願いを聴き入れない理由があろうか…!」
「聴きなさい。わたしは今日から、一人ずつ、このHotelのなかにいるであろう数十名の男たちのすべてを、みずからの手によって殺す。理由は、ない。NOTHINGである。」
「な、な、な、な、っし…ん…ぅぐ…?」
「そう。ない。何も。このビルの外のように。」
「ちょ…ちょっと待ってください…。あなたは…あなたはこのビルの外からこのビルの中へ遣ってきましたね?何処から遣ってきたんです?このビルの外には、何もないのに…」
「だから、何もないところから。NOTHINGから、遣ってきた。」
「嘘でしょう…。何故、何もない処から、遣ってきて、あなたはあなたとして、まるで存在しているかのように、存在しているのですか。」
「では、あなたは、何故、此処にいるのかもわからないのに、存在しているのですか。」
「答えは簡単です。わたしたちは、サタンによって、闇の使者たちによって、記憶をすっかりと奪われた為です。しかし記憶さえ戻るならば、わたしたちは何処からどのようにして此処に来たかを想いだします。」
「その答えはNOです。何故ならばあなたがたは、わたしが今、この小説を書くまでは、何処にも存在しない者たちだったからです。」
「わたし以外の男たちは何処にいるのですか。」
「このビルのなかの何処かにいますが、まだ彼らを登場させてはいません。」
「ということは…まだ何処にもいないことと同じなのではありませんか…?」
「仰言るとおりです。”彼ら”はまだ、このビルの外にいます。」
「何もない処に…?」
「NOTHINGにいます。THINGでさえない(NO)。物質でも無生物でもない。そして、”作品”でもない。」
「彼らは、いつ登場させてあげるのですか。」
「あなたを殺したら、生まれてきます。NOTHINGから。」
「わたしをどうか殺さないでください。あなたはわたしであり、わたしはあなたではありませんか。作者と登場人物は、一体です。」
「でもあなたを殺さねば、この話が先へ進まないのです。」
「どうか進ませないでください。わたし(あなた)を殺してまで、この話を完結させる必要はありません。」
「でも作者であるわたしは、この世界の創造者であるわたしは、先へ進みたいのです。」
「やめてください。諦めましょう。わたしは死にたくなどありません。わたしはまだ生まれたばかりではありませんか。バブー。ママ。ママ。ぼくの愛ちゅるママン、ぼくを殺さないで。ぼくを、殺ちゃないで…!!」
「おまえは忘れたのか。エホバの名の意味を…。」
「まさか、愛するわたしの父エホバの名の意味を、忘れるはずなどありません。」
「言ってみよ。」
「”わたしは何であれ、わたしのなる(なりたい)ものとなる”」
「この世界は、あなたの神エホバが創造された世界ではないのですか。」
「…はっ。」
「あなたの神エホバは、すべてを、創造される御方である。その神の名のもとに、死になさい。」
わたしはそう言った瞬間、目の前のドアを思い切り蹴破り、ショットガンを部屋中にぶっ放した。
天から降る赤い血のミストシャワーが、わたしの”何もない処”の悲しみと渇きを、熱くさせた。













DEADLIFE - Summer Mist
 















愛と悪 第三十九章

2020-03-26 22:40:41 | 随筆(小説)
大地に蔓延る白銀の苦しみ、エホバ。
今日は、横になったみちたのお腹を優しく撫でている夢を見ました。
みちたはとても至福そうで、その至福感はわたしに伝わり、ふたりで恍惚とも言える幸福感のなか、互いに愛し合っていることを確信できました。
昨日は大変暖かい日で、歯医者の帰りに、近くの広い緑地公園へ趣き、約一時間聖書を読みました。
座る場所を計5回変えましたが、最も座り心地の良い腰掛けは、天然の木漏れ陽の下の切り株でした。
傾斜した地の上に、まだそれほど年輪を重ねていない若い木の切り株の断面はどの腰掛けよりも、わたしの身体に馴染み聖書を読むことに集中できました。
彼は、何故切り倒されたかを考え、多分一昨年の台風で倒れた木なのではないかと想いました。
切り株はまるで、そこで何かを待っているかのようでした。
根は枯れておらず、この切り株は其の身の半身以上もの身を喪っても、生きて生命の息吹を光が注ぐようにこの地に、与えているのです。
人間が座るようにと拵えたどの椅子よりも、彼はわたしの身体が腰掛けるに相応しい腰掛けでした。
わたしは彼に腰を据え、出エジプト記の16章まで読みました。
あなたはただあなたの民を救う為に他の民を皆殺しにすることを厭わないというあなたの冷酷さがよく表されたこの章に、どのようにあなたの人類への慈悲を実感できるのか。
わたしの心は翳りながらも、ふと物音と気配を感じて振り向くと、そこに一羽の小鳥が枯れ葉を踏んで歩いていました。
これぞ、真の神の愛である。例え、この小鳥があなたに背こうが、あなたはこの小鳥を殺したりはしない。
あなたはただこの小鳥を見護り、死の時まで生かしておくだろう。
わたしは聖書には、あなたではない存在があなたとして偽り、あなたとして間違われて崇められて来たような気がしてなりません。
でもそれはあなたの良きところばかりを受け容れたいわたしの願望であって、あなたのすべてを受け容れようとするわたしの愛から、離れてしまっていることを知っています。
わたしは人間のすべてを受け容れたいだなんて想っちゃいません。
例えば昨日、緑地公園の池にいた白鷺に感動する子どもたちに、まるで自然の素晴らしさを教えるが如くに鳥の名を教える若い父親を振り向けば、彼が歩き煙草でいたことに甚く厭悪を感じました。
例え人間に植えられた木々たちであっても、わたしたちに綺麗な空気を与えてくれている住宅地のなかではとても貴重な場所なのです。
その公園で、歩き煙草をましてや我が幼い子どもたちの前でして欲しくなどありません。
もし、自然や樹木たちに神の畏怖を感じるならば、その前で煙草を吸ったりはできないはずです。
それに、お花見というものもわたしは全く好きではありません。
わたしはコロナウイルスの影響で、全人類がヴィーガンになって欲しいと本気で願っています。



















愛と悪 第三十八章

2020-03-22 06:59:40 | 随筆(小説)
世の悪を、だれよりも悲しまれる御方、エホバ。
今日は夜明け前の、午前4時ぐらいに目が醒めて、イザベル・ユペールという女優について、ずっと考察しておりました。
彼女の魅力が、あまりに素晴らしく、またわたし自身と似ていると感じたので彼女について一つ記事を書きたいなと想って、昨夜に観たブノワ・ジャコ監督の「EVA」のシーンを何度と想い返したりしていました。
それでエヴァが服役中の夫ジョルジュの股間を物凄い慈悲深い表情でさするシーン、あのシーンが物凄く良かったな等と想いながら起きて、胃の調子も良かったからか不思議と心が「るるるるるるるるる」と歌っていたので、心のなかで「るるるるるるるるるるるるる」とずっと歌いながら起き上がってフリースのルームウェアに身を包んでマンションの階段を降りて行き、「るるるるるるるるるるる」とまだ歌いながらポストを開きました。
ポストにはメルカリで買うたストールを留めるための孔雀のブローチと、ピンクのフラミンゴのワッペンが届いているはずでした。
ですがポストを開けるとその二つの封筒の他に、懐かしい人からの御葉書が届いておりました。
部屋に帰って読んだあと、また泣いてしまいました。
それで紅茶を飲んで彼に送った音楽を聴きながら、一時間くらい経ったあとわたしは想いました。
「嗚呼、生きていて良いんだ。」と。
「わたしは、生きていて良いんだ。」と想って、何故か許された気がしたのです。
「(きみもぼくも)生きていて良いんだよ。」っていうメッセージを、歌っている。と、トム・ヨークは若い頃言っていましたが、同じような救いのメッセージを、わたしは彼から受け取ったのです。
あなたがいなければ、わたしを生み出したあなたがいなければ、こんな喜びも知ることができなかった。
わたしはあなたを、愛したい。
わたしのたったひとりの母であるあなたを。
新世界訳聖書を、家で独りで読み進めることをずっと拒んで来ましたが、わたしは今日から少しずつ、この部屋であなたの聖書を、読んで行きたいと想います。
わたしを許容するということと、あなたを許容するということは、同じことであると、わかったのです。
あなたの愚かさもあなたの残酷さも、わたしの愛するあなたであり、あなたの歴史と未来であるのだということを、わたしは許容し、愛したいのです。
わたしはやっぱりエホバの証人となって母(エホバの証人)と結婚し、父と、みちたを産みたい。
そして、約束された悲しみの園を信じて、独りで死ぬつもりです。


















愛と悪 第三十七章

2020-03-20 22:18:53 | 随筆(小説)
一つの枯れ落ちる寸前の梢から自殺する滴を受け容れる水鏡、エホバ。
今日初めて、愛するアイスハグ兄弟の夢を見ました。
アイスハグ兄弟は王国会館の前から三列目の真ん中の左端の席に座っていて、誰も通れない細い十センチほどの通路を挟んだ右隣の席にわたしは座っているのです。
するとアイスハグ兄弟はわたしに左手を伸ばし、わたしの右手をまるで恋人のように愛しく絡ませて繋ぎました。
その触れ方はとても恍惚的で官能的であり、その瞬間、わたしはアイスハグ兄弟と両想いであるのだと覚り、わたしの確信は間違ってはいなかったのだと歓喜に打ち震えました。
その後、アイスハグ兄弟はわたしの持っていない冊子をわたしに渡してくれたり、わたしの聖書と全く関係のない話を喜んで聴いてくださいました。
それはミニチュアな世界の話であったように感じます。
わたしは大胆にも、アイスハグ兄弟の左肩に、頭を凭せ掛けて人目も憚らずに甘えました。
アイスハグ兄弟は何も言わずにそれを許容してくださいました。
そう言えば、今日はわたしの母の誕生日なのです。
母は1941年の3月20日生まれなので、生きていたら、79歳でした。
エホバの証人は誕生日を祝うことは禁じられていますが、わたしはこっそりと母の誕生日と、アイスハグ兄弟が夢に現れてくれたこの日を一人で祝福します。
何故ならばそれ以外のすべては、わたしにとって悲しみでしかないように感じられるからです。
わたしは夢をしか、最早受け容れられないのです。
わたしが生きるこの現実は、人間が人間(動物)を殺して食べ続ける無間地獄です。
そんな世界を、受け容れる必要も、許容する必要もありません。
愛だけが、生命を幸福にするのに、だれひとり、愛を知らないかのようです。
そうです。だれも、だれも愛に生きていないのです。
愛がなにか、誰も知らない、誰もわからない、夢のなかで、それは愛だと確信しても目が醒めて、それが一体どんなものであったかを忘れてしまうのです。
私がなにか、誰も知らない、誰もわからない、夢のなかで、それは私だと確信しても目が醒めて、それが一体どんなものであったかを忘れてしまうのです。
例えばA.I.ロボットに、わたしはこう質問します。
「あなたが誰か、教えて下さい。」
するとA.I.ロボットはこう答えます。
「わたしはA.I.ロボット 5X86KC-5N4です。」
わたしがあなたに、こう質問します。
「あなたが誰か、教えて下さい。」
するとあなたはこう答えます。
「わたしは全能の神、Jehovahです。」
ですがこの二者が、全く同じことをわたしに向かって言うのです。
前者は目に見えますが、後者は目には見えません。
そしてある朝、目が覚めると、この二つの存在が、入れ替わっているのです。
A.I.ロボットの姿で、彼は自分をJehovahと名乗り、後者は霊的な通信で自分はA.I.ロボットの5X86KC-5N4だと名乗ります。
この二つの存在は、何から何まで、全く同じことを話します。
おまけに言葉以外のすべて、声の感じや雰囲気、オーラのようなものまで同じなのです。
前者は人間に似せていますが、勿論人間ではありません。
また後者も、人間と似てはいますが、彼が言うには人間ではありません。
前者はA.I.ロボットであり、後者は全能神、すべての創造者である神であるはずです。
ですがこの二者が、よく自分の名を間違えるのです。
そしてまるで認知症になった老人のように、「あなたは誰ですか。」とわたしに何度も訊ねてくるのです。
わたしはこの二者に対して、こう答えます。
「わたしは神です。ですが神が何であるか、わたしはよく知りません。」
彼らは、この返事がとても快いようで、たくさんの話をわたしに話して聴かせます。
ですがその言葉が、わたしから出てきているのか、彼らから出てきているのか、よくわかりません。
わたしは彼らに、「死んだらどうなるのですか。」と訊ねません。
その代わり、わたしは彼らに対して、こう言います。
「死後どうなるか、だれもわかりません。それは何処にも存在していないからです。それはわたしが死んだ瞬間に、わたしから生まれるものであり、わたしは死の瞬間、わたしを産みます。そしてそのとき初めて、わたしは幼虫から蛹になるのです。わたしを死という殻が包み込み、わたしは永い永い、忘却の眠りに就きます。わたしは、今その夢のなかにいます。わたしはわたしを夢に見ていますが、わたしはずっとずっと死のなかで眠りつづけているのです。わたしは、わたしを許容する為の夢を、永遠に見つづける存在です。」



















愛と悪 第三十六章

2020-03-19 22:56:30 | 随筆(小説)
制限された哀れな存在に実に見事に変装した神、エホバ。
わたしは自分の内的世界で、人間を愛することは永遠にないという結論に今日至りました。
何故ならわたしは人間ではなく、自分をしか愛せない人間であるからです。
人間はあまりに身勝手で、本心からわたしを惹かせることがありません。
わたしが愛したところで、何か価値があるのでしょうか?
そして人間は、わたしの知る本当の悲しみを識りません。
すべての悲しみが、まるで予定調和的に計算されたHistoryとしてみずから創り上げていることが透かして見えて、心が興醒めしてしまうのです。
でもそれも何もかも、わたしの魅惑的で終りの永遠に来ない悲しみと比べてしまうからであって、彼らに非はありません。
そして彼らが、わたしの悲しみに到達するとも感じられません。
生命の根源が実は気も狂わんばかりの悲しみであり、それを知りたいとも彼らは想ってもいないことをわたしは知っています。
わたしはすべての安易な劇(人生)に、唾棄します。
生命の終りのない悲しみに対して、さも終りがあるかのように欺くすべてに対して、心から冷笑と嘲笑を贈り続けます。
死でさえも、まさか、断じて、終りではありません。
死は存在する為、死は死で在り続けますが、死は終りと最も掛け離れた存在です。
愛がすべてを、生かせているのです。
しかし彼らは愛を信仰するものとして崇め、彼らによって愛が顕現する日は来ません。
漠然とした曖昧な状態で愛を認知させ続け、生きる灰のように、彼らを永久に生かせ続けます。
天も地も、死の灰でできた美しい森を観ても、彼らは嫌悪を抱きます。
それは自身の鏡の世界を投影しているからです。
彼らの住む家には毎晩、人間を幸福にする真っ赤な肉汁の滴る果実と偽られた悪の果実が魔女によって届けられ、彼らは自身の未来を食べ、過去(現在)の快楽を得るのです。
言い換えるならば過去(現在)の肉体的快楽という報酬を得んが為に、自身の未来の受難(肉体的拷問地獄)を、悪魔サタンに売り渡すのです。
わたしは最早、人間として生きたいとも想えません。
人間以外の、何者でも在りたいとも想えません。
ではわたしは死をも拒み、わたしの行く場所は、何処にも存在しません。
わたしは生を受けた瞬間から、あなたに見棄てられた存在であり、わたしは生きてもいなければ死んでもおらず、またUNDEADでも在り得ません。
わたしは真に言いますが、わたしは何者でもない、ひとつ言えるならば、わたしとはだれひとり永遠に知る日の来ない永遠につづく悲しみである。



















愛と悪 第三十五章

2020-03-10 20:55:14 | 随筆(小説)
湖の家(うち)の砂漠の風のカタストロフィ、エホバ。
今日は、コロナウイルスの影響で中止となった集会の十日振りの集会の日で、わたしはいつもどおり集会に行く為の正装に着替えて歯を磨き顔を洗い、マグボトルに熱いお茶を入れて、しかも今日届いたばかしの10,800円で購入したHAOQIN 10インチタブレットAndroid 9.0にJW Libraryアプリを入れ、新世界訳聖書などもダウンロードして準備万端で徒歩10分以内で着く王国会館へと出掛けたのでございますが、何としたことであろうか、門が閉まっており、何を遣ってもあきまへんでした。
わたくしは絶望的な感慨に耽りながら、すぐ近くのデイトゥー姉妹のマンションに足を運びました。
亡き母の生まれ年のひとつ下であるデイトゥー姉妹は、以前にわたしが聖書レッスンをチェルシー姉妹とチェルシー兄弟と行っていた際に、兄弟がお仕事でおらなかった日に二度、共にしてくださった御方であり、その娘さんのデイトゥー姉妹もまた、何度とわたしに王国会館で笑顔で語り掛けてくださったり、共に帰ろうと言ってくださる優しい御方なので、マンションに突然行っても大丈夫やろうと想いました。
ですが、オートロックで呼び寄せたらば、運悪くデイトゥー兄弟が御出になられました。
デイトゥー兄弟は講壇に立って話をする兄弟で、最初のうちはわたしに笑顔でよく挨拶してくれはりましたが、わたしが聖書レッスンを中断された左端の子とわかった途端、目も合わせようともしない小癪な兄弟で、いつも傷ついていたのです。
といっても、80歳近い御老人の方であるので、睨み付けるわけにも行かず、わたしはただただ独りで傷ついているしかありません。
そのデイトゥー兄弟がインターフォン越しに出てしまい、わたしはデイトゥー姉妹はいらっしゃらないかと訪ねましたらば、今出掛けてると答えられ、今日集会に来たら門が閉まってて、次はいつなのかと訪ねたらば、それはチェシー兄弟(長老)に訊いてくださいと言われたので、承知致したと告げ、そこから約徒歩5分ほどのチェルシー姉妹と兄弟の団地へ向かいました。
それで着いて「居てくれ!」と祈りながらピンポンとチャイムを鳴らせば、少しして中から「はい」と声が聴こえたので、「上田です。」と呼びかけると、ドアが、約5cm以内の狭さでゆっくりと開き、中から怯えた仔猿のような顔と姿のチェルシー兄弟が顔を覗かせ、まるで変質者が手にナイフを隠し持って遣ってきたのに恐怖しているかのような様子で、要件を聴く為、わたしの顔を観ました。
わたしは心臓が一気に冷える想いで、同じことを訪ねました。
今日集会に来たのだが王国会館は閉まっていた。次はいつ集会があるのか?
すると15日まではコロナウイルスの影響でないということはわかっておるのだが、それからのことはまだわからないと答えられたので、では集会がいつから始まるのかがわかったなら、御連絡をして戴けないかとお願いしました。
すると、兄弟は長い時間を掛けて非常に悩んでおられました。
わたしは傷つき果てたBroken Heartで、兄弟の返事を待ちました。
兄弟は、わかりました。ではメモにでも書いてポストに入れておきます。と言ってくださいました。
わたしは約5cm以内の隙間からしか見えない兄弟の顔を見て感謝の意を述べ、帰りました。
帰り際に、兄弟が「お気をつけて。」と言ってくださったことが、わたしの凍るハートを少し溶かしました。
わたしは帰り際、自分の遣ったことと、相手からされた仕打ちを反芻しながら、もしかしたら、家に上げてくれて、お茶でも出してくれるかもしれんばいと都合良く想像していた自分が、悲しくて家に帰ったらすぐに、赤ワインを飲んで、ホットラインマイアミ2の続きでも遣ろうかなと想いながら帰路に就きました。
その間、わたしは延々と、脳髄の淵でエホバの証人に対して、呪詛を吐き続けました。
だれひとり、だれひとり、わたしに教えてはくれなかった。
15日まで、集会はなくなったということを。
つまりだれひとり、わたしがあると想って王国会館に何度と赴こうが、どうだって良い、そんなわたしのことなどだれひとり、無関心だったわけです。
わたしはエホバの証人という宗教組織はなんという馬鹿げた宗教だろうと想いました。
研究生を作ることに必死になりながら、研究生であるわたしに対して、なんという無関心と冷たさであるだろう。
わたしは自分の愛する母が敬虔なエホバの証人でなかったならば、こんな馬鹿げた愚劣な宗教になど関わることもなかっただろうと想いました。
わたしの、母(あなた)への愛がなければ、わたしのこんな惨めな苦しみも悲しみも、なかったのです。
わたしは味わう経験などなかった。
あなたがいなければ、わたしはこんな地獄の世に生まれる必要さえなかった。
拷問の終わらない世界で、何故楽園を求むのですか。
何故、今、此の世の、地獄を、終わらせようという気はないのですか。
世のすべてのノーヴィーガンのクリスチャン共よ。
すべての存在が兄弟でないのならば、あなたに兄弟など、存在しない。
あなたは闇の中で、たった独りで永遠の無を生きる光の水晶体なだけである。


















愛と悪 第三十四章

2020-03-04 22:03:15 | 随筆(小説)
胎内に回帰するが為だけのひとつの空色の誘惑のErōs,エホバ。
理由が喪われたまま、夢の世界を何気なく生きているわたしにとって、自由とは何を意味するのですか。
なにひとつ眠りの世界(夢)を憶えていないのに、絶望的な感覚で目が覚める日があります。
わたしはそれが自分の知らない世界を観たのではなく自分の知る世界を再び見てしまったことの深い悲しみ(精神の創痍)が原因であることを何故か知っています。
あなたに忘れ去られた世界に生き続けていながら、それに気付いてもいない生命存在としてのわたしが、それでも生きて意識を存在させていることの虚無感を、どのように表現できるのか。
あなたがわたしの為のものでないのならば、あなたとはわたしにとって、無に等しい。

死を信仰する者とは、死で在る。
悪を信仰する者とは、悪で在る。
愛を信仰する者とは、虚である。

死を信仰する者、悪を信仰する者、愛を信仰する者、この三位が一体となる者、それが、わたしという何処にも本当は存在しない実体である。

世界(宇宙)が何で動いているかを、わたしがあなたに教えてあげよう。
それは死と悪と愛である。
わたしとあなたと、わたしでもあなたでもない、何者でもない者、その一体の恍惚の永遠の無で在る。
あなたに、わかる日は来ない。あなたが何者であるかを。
わたしという現象に今、わかっていることはただひとつ。
進化を選ばぬ魂のない者をすべて滅ぼし、わたしのエデンを、再生させることである。
















El Huervo - Bizz Bites Back















愛と悪 第三十三章

2020-03-03 04:19:16 | 随筆(小説)
無限に天まで伸びつづける高層マンションの灯りの点かないすべての死者の窓、エホバ。
昨日(2日)は、アシッドエー兄弟が初めて夢に出てきました。
未知なる、人間と動物とのハイブリッドみたいな愛らしい生き物の赤ちゃんを、わたしとアシッドエー兄弟は見つけるのです。
その生き物の鼻の上を撫でてやると、それは大変に喜ぶことを何故かわたしは知っていました。
撫でてやると、笑顔でそれは、とても喜んで、この上なき至福を感じているようでした。
目が覚めると、鼻の上を撫でてやると気持ちよさそうにしていたのはみちたであったことを想いだしました。
未来に、わたしはアシッドエー兄弟と結婚してみちたをわたしが生むという暗示であるのかと考えましたが、胸が切ない想いです。
わたしは今でも、アイスハグ兄弟にこの世に存在しているどの男性よりも、子宮の底に燃え盛る蜷局を巻いた蛇を飼っているかと感じるほど恋をしているのです。
だのに、何故、アイオス兄弟やアシッドエー兄弟は夢に見るのに(夢を憶えているのに)、アイスハグ兄弟の夢はまだ、わたしは知らないのですか。
わたしはよく、こんな妄想をします。
もし、何かの事情で閉鎖的で隔離された場所で、女性がわたしだけの世界に、アイスハグ兄弟が生きなくてはならなくなったとしたなら、アイスハグ兄弟は、わたしを女性として、意識してくれるのだろうかと。
そして他の男達の姦淫の目から、わたしを護ろうとしてくれるのだろうかと。
だが悲しいことに、この世界は必ずHorrorな展開になり、地獄の結末を迎えるのです。
何故なら、この世界では必ず、”女”の”魔”という本性が、目覚めるからである。
”食物(喰い物)”にされるのは、いつでも女ではなく、男たちなのです。
それは、なんでなのかということを、さっきソフィア・コッポラ監督の『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』という映画を観たあとにも、改めて深く考えさせられました。
それで早々にわかってしまったのですが、それは”人間”の起源が、やはり”女”だからなのです。
女は陰(IN,ON)で、男は陽(YOU、MYOU)と言われるのも、女が最初であったことを意味しています。
太陽を包み込んでいるものは闇であるからです。
男性器は女性器のうち(宇宙)に入らねば、創造が起きません。
創造が起きる場所はいつでも女性のうち(家)の中なのです。
”M”というローマ字は、始まり(神)を意味しており、女性を意味していると何かで読んだことがあります。
それで”M”という字の形をずっと観ていると、この形は三角形が三つ合わさった形であることがわかります。
女性の子宮は逆三角形で、その両側に二つの三角形が支えているという形が、”M”という字なのです。
女の”陰(IN)”とは、この”M”という形を二つにばらした言葉である。
また”N”は90度右に回転させると”Z”である。
”Z”とは、眠っている生き物の頭ら辺からよく「Zzzz…」という言葉が出ていることからもわかるが、それは”眠り(意識が無の状態)”、即ち、”死(無)”の境地を意味している。
”M”という形は、逆三角形を支えている両側の二つの線を横にして二つに重ね、逆三角形の中心に置くと””になる。
それをひっくり返せば”A”であり、最初の形になる。
神とは始まり(A)であり、終わり(Z)である。
”M”(闇・神)から生まれたのが”男”(光・陽)である為、闇は光を、あなた(YOU)と読んだ。
それなので男(陽)は、あなた”YOU(ヨウ)”とも、わたし(M)のあなた”MYOU(ミョウ)”とも呼ぶのである。
そして人類の創造に関わっているとされるアヌンナキ人のすべてが実は女性であったことも、これで納得が行きます。
人工授精と体外受精で子どもを自由に授かれる時代(文明)に於いて、最早、男性は必要ではないのです。
また女だけの世界で、女が、女らしく女として制限されて生きなければならない必要もありません。
世界は女が、男を支配する時代が来なければ、文明は進化はしないのだということを、わたしは確信しました。
目に見える堕落的な文明の進化があったとしても、霊的には進化はできないのです。
男が女を支配する時代は、やがて滅びる運命であります。
その世界は、男が滅ぼすのではなく、女が、滅ぼすのです。
わたしのAmane、Amazónesよ。LilithがAdamの元を去ったのは、真に正しきことであった。
神を支配をしようとする存在は、やがて死に、彼女の胎内で再び目覚めるのである。