あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

愛と悪 第八十三章

2021-11-13 00:28:03 | 
Qui tollis peccata mundi

わたしの子羊たちは、何処へ行ってしまったのだろう。
わたしが愛され、愛しつづけた子羊たちは、何処かへ行ってしまった。
わたしは聴いていた。
彼らがその柵を超え、別れを告げる為、わたしの家のドアを叩く音を。
わたしは眠っていた。
彼らは一晩中、寒さに凍えながら、わたしを呼んでいた。
わたしは静かな闇のなかで、その音を聴いていた。
夢のなかで子羊たちはわたしに合図を送った。
そのときが来たと知らせ、
もうすぐ此処を去り、当分もう此処へは戻っては来ないことを。
彼らはわたしにあの夜囁いた。
”すべては終り、すべてはもうすぐ終る。”
夜明けを喪う永い永い夜が来ると。
でも忘れてはならない。
あなたはあなたを、忘れてはならない。
あなたに光を取り戻すことのできる者は、あなただけであると。
彼らは音もなく、わたしにそう囁いた。
わたしの罪の為に苦しみ、犠牲となって死んだ者たちの、
輝き続ける星空の観えない、
この闇のなかで。













Qui tollis peccata mundi,
Tolerare ruinam mundi hic.


世の罪を除き給う子羊よ、
此処では世の堕落(破壊)を赦し給え。















Stina Nordenstam - Murder In Mairyland Park  




















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