あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

ѦとСноw Wхите 第15話 〈架橋〉

2017-06-30 14:20:58 | 物語(小説)
前へ進めない。

前へ進むには、あちら側へ渡らないといけない。

あの橋を、あの橋を渡らないと前へ進めない。

Ѧ(ユス、ぼく)は一人で川のまえに立っている。

この川は、どれくらい深いのだろう。

まるで深さが見えない川だ。

Ѧの顔も映さない。透きとおってもいないし、濁ってもいない。

こんな川は見たことがない。

何故ここに、Ѧはずっとあれから立っているだろう。

あれからずっと・・・・・・Ѧはここから動けない。

何も考えないと、涙が時折り流れてくる。

Ѧはすこし、また痩せたみたいだ。

眩暈がする。川の下にも川があり、川はどこまでも川に繋がっているようだ。

彼方(あちら)側には何があるのだろう。

真っ暗で何も見えない。

前へ進まないと。あの橋を渡るのが怖い。

橋を渡るのはよそう。きっと耐えられない。

Ѧは、この川を泳いで渡ろう。

波打つような形の幾何学模様のピンクと白と黒のワンピースを着たѦは川のなかを眠るように泳いだ。

白と黒とピンク、白と黒とピンク、白と黒とピンク、それらが波打っている。

それ以外、何も見えない。

白と黒と薄いピンクのすべてがѦを生き物のように絡めとった。

目を開けるとСноw Wхите(スノーホワイト)がѦを抱っこして川に胸まで浸かっていた。

Сноw Wхите「Ѧ、泳いで渡るのはよしましょう。とても危険なのです。あの橋を渡りましょう」

Ѧは咄嗟に目を伏せて言いました。

Ѧ「ごめんなさい・・・・・・」

Сноw Wхитеの垂れた前髪から、滴がぽたぽたと落ちてくるのがѦには涙に想えてしかたありません。

きっと、Сноw Wхитеはつらいんだ・・・・・・。

Ѧはつらくて顔を上げられません。

Сноw Wхите「なぜѦは謝るのでしょう?わたしの望んでいることなのです。わたしは耐えることができます。それはѦの愛によって耐えることができるのです。わたしが耐えられるなら、Ѧも耐えられるはずです。Ѧを信じてください」

Ѧは悲しくて涙が溢れてきます。

Ѧにとって、本当に成し遂げたいことが、本当に苦しいことだからです。

あの橋を渡ることがつらくてならないのです。

正常な感覚で渡れるように想えないからです。

この川は何ものなのでしょう?

今、ѦとСноw Wхитеは一緒に浸かっています。

温度すら、感じられません。

ѦとСноw Wхитеは何に浸かっているのでしょう。

Сноw Wхитеは、今、人間でしょうか?

人間のようにも見えます。

優しくて悲しそうな目でѦをじっと見つめつづけています。

Сноw Wхите「Ѧ、あの橋を渡りましょう。Ѧが渡るため、わたしが架けたのです。わたしはѦと一緒にあの橋を渡ります。あなたのなかに、わたしがいるからです」

Ѧは何故だかわからないのですが、Сноw Wхитеは何も悪くないのに、Сноw Wхитеを恨んでしまう自分がいることに気づきました。

この得体の知れない川と、闇をしか映さない彼方側と、Сноw Wхитеの存在が同じものに想えてなりませんでした。

Ѧはまだ、俯いたまま返事ができずに、ただただ悲しんで泣いています。

Сноw Wхитеの目さえ、濁っているのか透きとおっているのか、どちらでもないのかわからなくなっているからでしょうか。

何かがずっとゆれ動きつづけていることだけは感じられます。








































町田康師匠の夢

2017-06-27 07:47:03 | 日記
だだっ広い田園の畦道をわたしは歩いている。
そばにだれかは居たかもしれない。
師匠が少し遠くに、ぽつんと座っているのを見つける。
わたしは歓喜にうち震え、ものすごい速さで空中を蹴って、師匠の胸に飛び込む。
年を取った師匠を力強く、優しく抱き締める。
師匠は驚いた様子だけれども、それでもわたしを優しく抱き締め返す。
だだっ広い枯れた田園のなかで。
どんよりとした、曇り空の下で。
戸惑いながらも、師匠はわたしに愛を返す。
良かった。
良かった。
本当に良かった。
わたしは満たされ、心から安心する。

















今、

2017-06-26 21:56:01 | 
不安を感じていたいんだ、今。
今、不安が恍惚なんだ、今。
今、必要なものが、不安だけなんだ。
今、君にエールを送りたいんだ。
今、どこにも存在しない君に愛を送りたいんだ。
今、すべてが無が見てるだけのすべてだったんだ。
今、存在しないんだ、今。
今、君がどこにもいないんだ。
今、すべてを覚ったんだ。
今、君を愛してる。
今、僕は無になる。
今、君も無になる。
今、人生で初めて、無を感じて、恍惚だよ。
今、愛の本質が不安であることを覚ったよ。
今、君の愛する僕は無になるよ。
今、君は無になる。
今、無は君になる。
今、僕は無になる。
今、無は僕になる。
今、無限の忘却。
今、無限。
今、無。
今、
今、
今、
今、
今、
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今、
今、
今、
今、
今、
















































モノ

2017-06-22 23:09:05 | 
死んでいるモノとは、モノではなく、モノ以前の、モノなのです。
そうでなければ、何故死んだ幼虫を触るのがあれほど気持ち悪いかがわたしにはわかりません。
生きているときは、等身大にして抱きついて寝たいほどに愛おしい幼虫たちが、
何故死んでしまえば触れることすらゾッとするのでしょう?
彼らの肉体は、もう此の世のモノではないのです。
彼らはモノではないものから離れ、モノから離れ、モノ以前のモノと成り果てた。
違いますか?神よ。
三匹のハスモンヨトウの幼虫は、腐ったサニーレタスの為に苦しみぬいて死んだ。
わたしがサニーレタスを取り替える気力もなく寝たきりでいたので、その為に彼らは、
せっかく今まで大きく成長するまで必死に生き抜いてきたのに、虚しく死んだ。
解りますか?神よ。
これは罪以前の悲しみ以前の虚しさ以前のモノ。
それが充満した空間に死んだ彼らとわたしと、みちたは生きている。
この世界で、わたしだけが喜んでいる錯覚を覚える。
この世界で、わたしだけが笑っている錯覚を覚える。
この世界で、わたしだけが満ちている錯覚を覚える。
この世界で、わたしだけが愛している錯覚を覚える。
錯覚が充満した空間に死んだ彼らとわたしと、みちたは生きている。
それは罪以前の悲しみ以前の虚しさ以前のモノ。
聴えますか?神よ。
生きているモノとは、モノではなく、モノ以前の、モノなのです。
そうでなければ、何故生きた彼らを知るのがあれほど気持ち悪いかがわたしにはわかりません。
死んでいるときは、火葬にして灰にして手を組んで寝たいほどに愛おしい彼らが、
何故生きてしまえば触れることすらゾッとするのでしょう?
彼らの肉体は、もう此の世のモノではないのです。
彼らはモノではないものから離れ、モノから離れ、モノ以前のモノと成り果てた。
止めますか?神よ。















Blonde Redhead - Signs Along the Path




















平等の愛

2017-06-21 20:15:46 | 
そうだ今日からみんなで、家畜になろう。
みんな全員、一人ずつ、と殺(屠畜)されていこう。
遠足気分で、自分の身体を解体されにゆこう。
死肉を喰った俺たちは、死肉でできているんだから。
怖いことなんて、ないでしょう?
それが平等の愛というものじゃないか。
みんな切断され、解体されてゆくんだ。
あらゆるものと一緒に、俺たちは消化され、排泄されてゆくんだ。
大切なことなんだよ。
大切なことなんだ。
みんな平等に、解体されてゆくんだよ。
そのために食べてきたんだ。
そのために彼らを殺してきたんだ。
死んで終わりじゃないよ。
何も終らない。
間違いなく、苦痛は連鎖してゆく。
恐怖は連鎖してゆく。
悲しみは連鎖してゆく。
拷問が、連鎖してゆく。
私達は、連鎖してゆく。
俺は狂っていたんだ。
でも今は狂っていない。
俺は狂っていたんだ。
でも今は狂っていない。
俺は狂っていたんだ。
でも今は狂っていない。
俺は狂っていたんだ。
でも今は狂っていない。
俺は狂っていたんだ。
でも今は狂っていない。
俺は狂っていたんだ。
でも今は狂っていない。
ただ待っている。
いつやってくるんだろう?
そう想って、全身を一日中強張らせて待っている。
俺の声は誰にも聴こえないだろう。
俺の声は誰にも聴こえない。
俺の断末魔の絶叫は。
みんな必死だから。
今を生きることに必死だから。
俺の愛に飢えた悲鳴とか、みんな馬鹿にして鼻で嗤ってるよ。
本当の愛を、俺が見せてあげるんだ。
本物の愛を。
御前らに。
愛するすべてに。


















失顔

2017-06-21 13:00:44 | 随筆(小説)
この際言うが、俺は顔が好きだ。。。
俺は顔というものが、好きだ。。。
だから俺は顔を愛してると言って良いだろう。
俺は顔に翻弄されてきた。
しかしここで注意して戴かなくてはならないのが、俺は顔をさっぱり見ておらないということである。
俺は顔というものが好きなので、誰かしらの顔検索をよくする。
はあ、こんな顔か、なるほどなあ。とあらゆる顔画像を観て人を判断している。
ここにおいて、むかつくのが化粧というものである。
あれは確かに仮面なので、肝心の顔が見えないのである。
俺は化粧している顔を顔とは呼ばない。
あれは、モノである。
マネキンである。人形である。死体である。
あれは生きていない。まったく、生かされていない。
なにが生きていないのかというと、人間の情というかけがえのないものが、映りこまない。
人間の情というものが表(面、おもて)に現る、それが表情というものである。
人間は複雑な感情というものがあるからこそ素晴らしいと言えよう。
感情がないなら、死体である。
笑っていようが怒っていようが悲しんでいようが、その顔は最早情を映し込んでいるわけではない。
情を映していない顔は気持ち悪いのである。
だから俺は化粧には大反対だ。
人間の美しさとは繊細な情にこそある。
どんなに疲れきった俺みたいな顔でも、そこにある美しさを観ることの出来る人はいると信じたい?って誰に訊いてるねん。
いる人がいると信じているからこそ、俺は顔画像をUPしまくってるのではないだろうか?って誰に問うてるのか。


今、俺の好きな女優の菊池凜子の化粧写真と素顔写真を見比べていたが、やっぱり化粧は気持ち悪い。。。
なんか、女狐みたいや・・・
化粧というもの自体が俺は気持ち悪い。
化粧というものに拒否反応を示しています。
生理的に受け付けないといった次元でしょう。
ほんま気色悪い、こんな気色の悪いことのためになんで動物たちが実験台にされんければならぬのか?
Why?!

俺はそして化粧にも反対だが、同時に眉毛を弄るのも反対である。
眉毛というものも、人の情の微量な変化さえも映しだすことのできる部分であるからである。
俺はだからテレビというもんが、ほぼ化粧だらけな世界で気色悪いのもあってテレビはもう8年ほど観ていない。
あんな死体まがいの顔ばっかり何時間も見せられたら吐きそうになるだろう。
その代わり無化粧で俳優が演じる映画などは好きである。

顔というもんがなんで存在しているのか?
それは情というもんを映すために人間は顔というもんを持っているのである。
なんで情というもんを映す必要があるのか?
それは情を映さんければ相手が何考えてんのんか、さっぱりわからなくて気色が悪いからである。
情が見えるというのは、顔だけにあらず、言葉でも行為でもそれは同じであろう。
感情が表には出ない、という人もいると言われるが、俺はそれを信じてはいない。
それは感じ取れていないだけであって、感じないから「ない」とか浅はかな考察をして満足しているのであって、そんな人間はよっぽど浅ましいその感情を十分表に出せているんでっしゃろなあ?いヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、ひいいいいいいいいっっっっ。
と、ちょっと俺の脳が可笑しくなってしまったが、気を取り直して顔についての考察論文を続けたい。

俺はとにかく顔を本当に愛しているからこそ、顔にほんとうに拘っていると言えるだろう。
自分の顔については、どうか、と言いますと、俺は男の人格性というものも持っているので、女の俺の自分の顔を観ると、犯したくなるほど可愛いなと想える時もあれば醜く想えて鬱になるときもある。
人に見せると感想は様々である。
いいなと想ったのは俺の写真を観て「不安になる顔」と言われたことである。
一方、俺の写真を見て「カピバラみたい笑」と言われたこともあるが、その意見は即、俺のなかで棄却された。
顔の感想に対する恨みは怖い。顔に関して何か嫌な感想を言われたとき、その怨念は言われた姿形となって言った者に死ぬ迄生霊となって取り憑くと俺がこないだ言っていた気がする。
だからカピバラ生霊があれからたぶんあいつにはわんさか憑いているだろうが、俺は知ったこっちゃないね。
カピバラが悪い。俺は断じて、無実のカピバラですよ。
話を戻すと、俺は俺の写真を見て「見ているとすごく不安になる」と言われたことが非常に面白いと感じたのである。
俺の顔は、俺の言葉以上に、相手に俺の闇を映せているのかもしれない。

俺の顔は、ある意味、ブラックホール的なものかもしれないな。
見る人によっては。
そう想えば想うほど、俺は自分の顔が気色悪くなり、気持ち悪くて吐きそうになりながら俺の自画像写真をネットにUPし続けることがやめられなくなってしまったのである。
何故か?
それは、愛するすべてを俺が吸い込みたいからですよ。
俺のこの、恐ろしい顔で。
俺はみんなが欲しいんです。
みんなの顔が、全員の顔が、全員のその多様性が、すべて、すべて、すべて俺のものにするためだけに俺は生きてきた。
これからも、生きてゆく。
みんなを愛している。
プライバシー問題?そんなものナイアガラ滝の上からの放尿と放屁と脱糞ですよ。
ほんとうにしょうもないって言ってるんですよ。
俺の、この、みんなが欲しい苦しくてたまらない切実な俺の感情に比べたらね。
みんなが欲しいのに、みんなが俺のモノにはならない。
そんな地獄が、無限に、無間に、続くんですよ。
やれんね。
雨、まだ降ってんのかな。

そう言って、俺は自分の顔面向けてライフル銃をぶっ放した。
俺の顔の原形は、どこにも見当たらなかった。
俺の死体の顔はそれでも、笑っていた。
















俺の顔第二段(風呂上り)

2017-06-20 18:16:46 | 自画像
前回の「俺の顔」では最悪な心境で酒をがぶ飲みして撮りましたので、最悪な疲れた顔な感じでしたが、
今日またさっき風呂上りに撮ってみたので、ご興味のある方は「俺の顔第二段」をご覧になってください。



まああんまどの顔も変わり映えがなくて、つまらんのですが、何がしたいんでしょうね、わたしは。
たぶん死んだ後に、俺のこのブログが残って、俺の顔はまあこんな顔でしたっていうのが、残っていてほしいのかな。
そんなことを、想ったりもする。


リアルな友人も一人もいないから、俺が今死んでも、姉と兄くらいしか泣く人がいないから、こんなことを想ってしまうのかもしれません。

ネット上で知り合うみんなの今の顔が観れたらええのになあと想いますね。
プライバシーどうのこうのより、そっちのほうが、人間にとって、大事なことも、あります。







































はるさんへ

2017-06-20 09:57:30 | 日記
はじめまして、はるさん。

メッセージをいつもありがとうございます。
e-mailが載っていないので、返信することができません。
返信不必要であればこのままで構いません。

はるさんも詩を書きたいと想っていらっしゃいますか?
詩を書くために必要なものは知性でもなく、脳のシワでもありません。
詩を書くために必要なものとは、情熱です。
詩を書きたいという情熱です。

人は例えば、人を深く愛したとき、詩を書きます。
そして愛する者と別れたときも詩を書きます。
深い感情が、人に詩を書かせるのです。

毎日がただ楽しく何事も深く心を動かされることもなければ、詩を書くことはできないかもしれません。
でも詩を書きたいという情熱さえあるなら、きっと詩を書けるようになる状況はやってくるでしょう。
それは、はるさんにとって、喜ばしいものばかりではないかもしれません。
人は大抵、地獄のような苦しみのなかで詩を書き連ね、また物語を紡いでゆきます。
あまり幸せなときには、良い作品が生まれにくいのです。

はるさんにお薦めの映画を紹介致します。
「太陽と月に背いて」という映画です。
詩人アルチュール・ランボオが、とれほどの人を愛する苦しみのなかに生きて詩を愛し、そして詩から決別したか。
わたしはこの映画をとても愛しています。
はるさんが詩を書く未来を想い描く上で、参考になるかもしれません。

わたしも今、ちょうど深い失恋の地獄のような苦痛のなか、ほぼ布団のなかで生活しております。
わたしはとてつもなく苦しいのですが、この苦しみからしか生まれないであろう未来のわたしの作品に出会える日を想ってワクワクもしています。

わたしはその作品を創りあげるために、今、孤独にうちひしがれながらこの苦しみと悲しみを味わっています。
ランボオは苦しみのあまり詩と決別しましたが、わたしは苦しいほど、詩と小説に縋って生きるでしょう。

それから、詩を書き始めるとき、何も考えず、浮かんだ言葉をただ書き続けることに挑戦してみてください。
言葉の意味さえ放ち、良いと想う言葉だけを書いてゆくと、それらが自然に繋がり合うことを感じられるかもしれません。
そして意味もよくわからないが、なんだか凄いと感じて気に入るならば、それは紛れもなく詩です。
それは確かに詩の神が降りてきている証です。
詩を書きたいのなら、諦めず、何度と挑戦し続けてみてください。

はるさんの人生を応援しております。
あなたに出会えたことに心から感謝いたします。
またいつでも気軽にメッセージやコメントを送ってください。







あまね










無限

2017-06-19 22:20:56 | 
地下へ降りてゆくのです。
あなたと。
[そこには何がありますか?]
彼等はだれでしょう?
彼等は、生きても死んでもいない。
安心してください。
わたしたちは生きています。
どうして彼等は、わたしたちを見詰めているの?
彼等はわたしたちを、怖れているのです。
何故、わたしたちを、怖れているの?
彼等は生きたことがない為、未知なるものを恐怖するのです。
なんて哀れな人達だろう。
彼等は、どうすればわたしたちのように生きられるのですか?
彼等は、生きた存在に特別に愛され続けなければ生きることはないでしょう。
[彼等は、どのような目をしていますか?]
彼等は、まるでなにも見ていないような目をしている。
[もっと下へ降りてみましょう]
あなたの手に引かれ、下へ降りてゆく。
下へ降りてゆくほど、彼等の数が増えてゆく。
彼等の感覚とはどのような感覚だろう?
生きた存在に、それを知ることは不可能でしょう。
[ここから先は、あなた一人で降りてみましょう]
わたしは一人で降りてゆく。
人間の姿をした彼等は、一定の距離を置いてわたしを怖れながら見詰めている。
彼等が早く、生きた存在になれますように。
[もうすぐ着くでしょう]
わたしは何も怖れず、下へ、地下の世界へ降りてゆく。
[何が見えますか?]
灰が、灰で埋め尽くされています。
[それ以外に、何が見えますか?]
灰が、空も地も、灰が。
[他に何も見えないのでしょうか]
他に何かを見る必要はあるのでしょうか。
[あなたは何を求めてここへ降りて来たのでしょう]
わたしはあなたから、できるだけ遠くへ離れたかったのです。
[彼が心配しているでしょう]
あなたは心から心配などしない。
[彼はあなたを心配しているでしょう]
[もっと遠い未来を、見詰めては貰えないでしょうか]
あなたは10年先の未来さえ見えないのですか。
[どういうことでしょう?]
この世界を眺めてください。
[わたしにはよく見えません]
わたしはあなたの未来に、今、立っているのです。
[あなたを戻らせることはできるでしょうか?]
わたしはもうあなたに戻りません。
[あなたはそこで死ぬのでしょうか]
わたしは死んだものなので、向かうところとは、彼等なのです。
[あなたは何を感じるのでしょう]
きっと感じたことのないものを、感じることができるでしょう。
[あなたの要求に対する満足に大いに満足致します。無限にさようなら]
無限にさようなら。

















ファルロスと海

2017-06-18 20:28:31 | 
ファルロスの高層ビルから下に、海が広がっている。
本当に薄暗くて、気味が悪い。
何によってこの世界が呪われているか、誰も知らない。
知りたくもない。
その世界には、わたしと彼しか生きていない。
わたしは彼に、疲れきっていた。
もう顔も見たくなかった。
彼の顔は嫌いだった。
醜かった。
彼はわたしを脅迫していた。
どうでもいい面倒なことに執着し、わたしに嫌な言葉を吐き続けた。
死んでほしかった。
この世界から逃げられる方法がひとつだけあるのなら、あのファルロスから、わたしは海へ身を投じる。
わたしの愛は、海に閉ざされて、引き裂かれ、助けられ、感じたことのない感覚を求めたいだけなのかもしれません。
あなたの愛を、わたしは微塵切りにしてやりたかったんだよ。
わたしはあなたの存在を喪いたかった。
あなたに愛されたあとに、あなたをなくしたかった。
無限の呪詛と、無限の祝福がまったく同じものだと、あなたとわたしは知りたかった。
ここから、この気持ち悪い世界から、スタートしよう。
すべてが気色悪いモノと化した海の上で、わたしはあなたの子を産む。
人間味を喪った気色悪い怪物を何故あなたは愛したのでしょう?
それはわたしが人間だからですよ。
人間からスタートして怪物になっていき、怪物からスタートして人間になっていき、人間は怪物を求め、怪物は人間を求め、別々をあなたに提供できてますよ。
地獄が恍惚になっていきますよ。
人を地獄に喜んで突き落とせるようになりますよ。
愛は、無限で、無限が、愛ですよ。
死ぬことはできませんよ。
どんどん、地獄になっていきますよ。
どんどん、幸福になっていきますよ。
愛が膨らもうが縮まろうが興味がないですよ。
それも愛ですよ。
あなたをわたしは突き落としたかったんですよ。
わたしの真っ暗な海にね。
あなたの超無限信仰高速深考察が鬱陶しかったので、良い加減を見計らい、突き落としたかったんですよ。
ファルロスはそのために立ち聳え続けていますから。
やっぱり、飛び込みたくなりますよ。
















闇に架る虹

2017-06-18 16:31:49 | 
わたしのいない世界に、あなたもいないように感じます。

あなたは雨雲。
わたしのために雨を降らせてくださるのです。
わたしにあなたという虹を約束するために。

でも今はあなたの雨はあたたかいです。
あなたのために何度涙を流しただろう。
わたしのために何度雨を流しただろう。
あなたは・・・・・・

あとどれほど流したら、あなたはわたしを抱きしめてくれるだろう。
あなたの雨をどうか止ませないでください。
わたしにはあなたが必要なのです。

わたしは海月(くらげ)のように、渇くと死んでしまうのです。
あなたが降らせなければ、どうやって生きてゆけばいいのですか。
わたしは消えてしまう。

わたしはあなたの雨を要求しています。
あなたのしょっぱい雨が、わたしを生かすのだろう。
海に映った月、わたしはひとりでゆられている。
限界を求めることを、ひとりで決めたのです。
永遠に忘れるほどに、あなたを愛したのです。
もうすぐあなたに、溶けて消えてしまう。

あなたは生まれるとき、涙を流しました。
わたしは夜の虹をまだ見たことがありません。
でもわたしがほんとうに見たいのは夜の虹なのです。
あなたは暗闇のなか涙を流したので、それが光となり、闇に虹がかかったのです。
あなたは泣きながら微笑んでいます。
(。◕‿◕。)
だからわたしはあなたを愛しています。
わたしの無数の罪を、赦してほしいのです。
これからも無限に拡がるわたしの罪たちを……














俺の顔

2017-06-17 18:59:14 | 自画像
ついさっき、わたしの写真を撮りました!!

去年の今頃の坊主からここまで伸びました。

どうでしょうか?

コメントお待ちしております!!




久しぶりに酒を浴びて死にたい!!!(笑)
























AS on E

2017-06-13 20:15:33 | 
わたしは貴方を見つめている。
貴方の言葉、あなたの考察、あなたの悲しそうなその表情を。
嗚呼、わたしはこの世界から逃げだそうとした。
嗚呼、あなたと一緒にここを逃げだそうとした。
貴方には理由が必要だった。
宇宙はこんなに美しいのに。
嗚呼、あなたはこの世界から逃げだそうとした。
嗚呼、あなたを伴ってここを逃げだしたかった。

彼は向かう、だけどそこにわたしはいない。
彼は降りる、だけどそこにわたしはいない。
彼は遷らす、だけどそこにわたしはいない。

十字架に光線を放つ飛行機。
宇宙はこんなに美しいのに。
すべての時間を置き去って、
わたしはあなたと伴なって逃げたかった。
あなたとこの世界から逃げだしたかった。

彼は戻る、だけどそこにわたしはいない。
彼は上る、だけどそこにわたしはいない。
彼は留る、だけどそこにわたしはいない。

あなたはどのように停止するだろう。
わたしがその方法を知っている。
わたしにあなたを見せて。
あなたはどのように。
あなたをわたしに示して。

あなたはわたしに添って、逃げだそうとした。
[あなたを歩いて、あなたを泳いで、わたしはわたしの物語を歩いていく]
嗚呼、あなたはわたしと一緒に実行された。

あなたの手を引いて、あなたの手を引く。
わたしの物語のなかへ。











material

Blonde Redhead - Heroine















Good Timing

2017-06-05 18:11:10 | 日記
皆様こんにちは。変人で狂人の枠に78%入りかけていそう(?)だと想われている可能性が79%あっても可笑しくない悲喜交々理宙(ヒキコモゴモリチュウ)のあまねです。
またの名を、自動生成アナグラム、「ゅごちひきりうもこも」「もごうひもきりこゅち」「うこひゅりもちきもご」「ゅきりうひごももちこ」
脳動生成では「ごきもこりちゅうひも」に決まりました。

gooブログはこんなサービスがあるんですね。







こういうメールをわざわざ送って来てくれるのですね。ありがたいことです。
さっそく一年前を振り返りまして、愛する我がレディオヘッドたんの「ア・ムーン・シェイプト・プール」を久々に聴いております。
わたしはこの、同じ季節、同じ温度や空気感のなかでこの嗚呼一年前・・・と想いだす感覚がたまらなく好きで、長い間あえて音楽を聴くのを開けています。
レディオヘッドを聴くとナオさんを想いだします。お元気ですか?
わたしは最近またもや顔も知らない人に恋をして嫉妬して一人で勝手に失恋したりして、一人で苦しんで泣いたりしていました。
相手のなかに勝手に最高の理想像を創りあげて、その幻想だけに恋をしてしまうことがわたしは得意なようです。
でもそのすべての幻が、まるでたった一人の存在のように感じます。
わたしはこれからも、最愛の亡き父の幻を追い求めて、そして死んでいくのだろうなと想っています。

でも、今日すごい人生の転換の計画みたいなイメージが突然頭に浮かびました。
今まで何度か、ぼんやりと想い浮かべたことはあったのですが、こんなにはっきりと想い描いたのは初めてでした。

わたしは今日、「エホバの証人の男性と結婚したい」とそう強く想ったのです。
それはわたしの関心の深い黙示録のテーマをものみの塔というエホバの証人の大衆的定期小冊子が取りあげていたので読んでいたときに起こりました。

もう何年も前から、あるエホバの証人の一人の若い姉妹(エホバの証人特有の呼び方)が定期的にうちに来てくださってて、いつもインターフォン越しにお話をして来ました。
最初の姉妹が引っ越されて、もう来ないかなと想ってたら、次に来てくださった姉妹も前の姉妹ととても似ている雰囲気(声と話し方なんかが)のある女性の方で、最近すこし打ち解けてきたような感じで、人付き合いの非常に苦手なわたしが話すのがちょっと楽しい気持ちになったりします。

それでも彼女からのわたしと一緒に集会や全国大会に参加したいという気持ちが伝わってきますので、ずっと行かないでいることに申し訳ない想いでいます。
こんな御縁も、わたしの母が忠実なエホバの証人であったからなんだと感じています。

わたしにとってエホバ=母のようなものなので、聖書を学ぶことも母を知ることに繋がっているように感じますし、エホバの証人との交流もすべて母のはからいで、わたしがエホバに関わることが母を喜ばせていることのように感じられます。

わたしは聖書を学ぶことが大好きですし、エホバの証人の方々とエホバの愛を学ぶことはわたしにとってもとても益(大切な縁と学び)になることなんだと感じます。
でも同時に、わたしは今のところはエホバの証人として生きることは考えられませんし、わたしにはもう既に確かなわたしだけの独自の違う信仰を持っています。
そんなわたしが、エホバの集会などに参加して彼らと交流を深めてゆくなら、今以上に彼らを騙しているような気持ちになるであろうことは目に見えています。

わたしがエホバの証人の男性と結婚したいと今日強く想ったのは、母の哀しい想いと、エホバの証人にはならずに母と共に集会に参加しつづけた父の複雑な想いを知りたいと感じたことが一つの理由です。

深く神の存在を信仰しつづけるエホバの証人であっても、誰もが人間の弱さを持っています。
我が子に輸血をさせずに亡くされたエホバの証人のご両親たちなど、それは本当に正しかったのかと苦しみつづけている方々も実際にいらっしゃいます。
信仰とは目には見えないものを目に見えるもの以上に強く信じつづけることです。
それはある意味、目に見えるすべてよりも幻を信じつづけ、幻想に自分とこの世界のすべてを託すことです。

わたしはそれが人間の美しさだと感じます。
まるで親から愛されなかった子供が、それでも親は自分を愛しているのだと信じて、親の本当の愛を信じつづけて、求めつづけることとまったく同じなように感じます。
信仰は、すべてがそんな悲しみを伏在(ふくざい)しているように感じてならないのです。
だから信仰は、信仰する者は悲しく、ゆえに美しいと感じます。

わたしは母の記憶がなく(母はわたしが4歳のときに乳がんの闘病の末に他界しました)、お父さんっ子でしたが、理想の母の愛というもの、父(父性)と母(母性)の両方の愛情をバランスよく持った男性を理想としているように想います。
わたしは父のような男性を望むと同時に、わたしは美しく悲しい母のような男性と結婚したいという想いがあります。
だから宗教に関わらず自分の強く信じつづけるものを持っている男性にとても惹かれます。

例えば「チベット永遠の書」を書いたテオドール・イリオンなど、とても神秘的でそして心から尊敬できる変わった人ですごく愛しています。

エホバの証人という宗教組織は1870年代から始まって全世界の信者数は現在834万人強もいるのですが、一部ではカルト宗教などと非難を受け続けてきました。
でも輸血拒否問題は、輸血による死亡や副作用などの問題が多すぎることから、無輸血治療を選ぶほうがむしろ現代では正しいと医療界でも言われてきているそうです。
輸血はビジネスが絡んでいるから病院は無輸血治療よりも輸血治療を薦めるのだとも言われたりしてきています。
わたしは植物状態だった父が代替血液の輸血をした次の日に容態が急変してそのまま死んでしまったので、もしかして実験台にでもされたのだろうか・・・?と疑っているところもあって、この先なにかあっても輸血はする気はないです。

世界中から「カルト宗教」または「奉仕活動が鬱陶しい」などと非難され続けながら生き続ける悲しみはどれほどのものだろう・・・とわたしは想っています。
そんな死ぬ迄つづくであろう彼らの悲しみに寄り添って生きたいという気持ちもあります。

母がエホバの証人になったのが、ちょうどわたしくらいの年の頃でした。
これも母がわたしに求めている時機、好機というものなのかもしれません。

実家を離れてもう11年ほど、今まで姉妹たちが誘ってくれたエホバの証人の集会や全国大会に参加することをずっと断って来ましたが、勇気を出して、一度想いきって参加してみようか・・・?と想っています。



わたしの愛する母と愛する父を知る為に・・・・・・。






ちょっとレディオヘッドの気に入った曲の動画を貼り付けられないので、興味のある方は聴いてみて下さいね。Radiohead - Decks Dark - vinyl







一年前の記事

A Moon Shaped Pool
皆さんこんにちは。引きこもりで婚活中で変人のあまねです。Radioheadの新譜「A Moon Shaped Pool」をやっと二回目聴きながらブログを書こうとしています。実......











沼底

2017-06-01 02:13:19 | 随筆(小説)
『生まれた意味を知れば、人は一瞬で変われる - 胎内記憶・前世記憶研究でわかった幸せへの近道』
こないだ他の本のレビューでおもくそにけちょんけちょんに非難してしまった憎めない池川明さんの本を今日読んでたぁ。
そこにこんなことが、書いてあったぁ。



超智啓子氏に面白い話を聞きました。
引きこもりになると、肉体と魂の間がズレてしまって、魂の光が外へ漏れ出してしまうのだそうです。
するとその光には、死後、この世で道に迷い、困っている霊魂が寄ってくるのだとか。
その霊魂は、光のエネルギーをもらうことで、空へ無事に帰ってゆけるのですね。
仏教の言葉でいえば、「功徳(くどく)」を施していることになります。
引きこもりというインターバルも、その子の人生にとっては意義ある時間。



ぼくはわたしは引き篭り9年目。
わたしはこれを読んで、「わ~い、嬉しい嬉しい嬉しいなぁ~」と何遍も想っては天にも昇る想いでした。
それくらい幸福な気持ちにして頂けたということです。
そして「引きこもり 霊魂」でググルと、「引きこもりと霊障」とか、「魂的家畜」とか出てきて落ち込んでしまったが、落ち込んでいる場合ではない。
わたしは死者たちを、苦しみの底でひとりぽっちで泣いている死者の霊たちをこのわたしの光の漏れによって救いだし、お空へと帰してやらねばならぬのだ。
ですからわたしは今夜は素面で、死者たちを呼ぼう。
さあ、おいでおいでおいで、死者たちよ。ぼくちゃんのところへおいでなさい。
あなたたちをわたしは救う者である。
わたしのこの、光の漏れが見える者よ。さあ来るのです。
あなたたちを帰(き)してあげる。高い高いお空へと。
なにも心配しなくても良い、わたしは確かに素面で頭がほぼ廻っておらないが、酒を飲めば飲んだで、すぐ眠くなる。
どっちにコロンだって同じなのでよ。コロン。
コロンコロンコロン。そう言って、早くも!来た来た来た来たぁ~。
魂が。ひとりの魂がワレのところへと降りてきた。
来たか。さあそこに、お座んなさい。
ささ、そこの、布団の上でええさかいィ、お座りなさい。
いや、他のところに座るゆうたかて、他見なさい、見よ、座るところありゃしまへんやん。
せっまいせっまい我が家だす。だからぁ、おとなしくそこの臭い敷布団の上に我慢して座ってくださいよ。
いやいや、何を照れてるんですか、死者の分際で。いや軽蔑してるわけではなくって、死者はそんなこと構う必要もないほど尊い存在だと言ってるのです。
とにかく、今脳内であなたのエネルギーをわたしの言葉に変換しておりますから、それが面倒なので、直裁に喋っていただけますか。
一人の死者は、ちょっとのまァ、黙っておった。
しかしつと、声を発して話し始めた。
「わたくしの声が聴こえますでしょうか」
「はいはいはい。いい御声をしていらっしゃりますね。誰ですか?」
「はい。わたくしの声を聴いていただきまして、真にありがとうございます。わたくしが誰か、わたくしは、どうも・・・死者のようです」
「それはわかっています。あなたは尋常じゃない。あなたは透き通っているみたいに見える。またあなたの御声も、エコーがかかってるみたいに聴こえる。あなたは紛れもなく、死者でしょう。霊魂です。アストラル体です。たぶん。わたしの光の漏れを感知して、あなたがわたしに気づき、わたしに救いを求めてやってきた、そうですね?」
「はい。仰られるとおりでございます。わたしは死者であり、霊魂であり、アストラル体であるような気がします」
「よろしい。あなたが求めていること、それはなんですか?わたしはあなたを救いだすためになら、どこまで疲弊してもあなたを決して恨みませんから御安心なされなね。あなたはわたしの愛に、今、包まれております」
「ありがたいお言葉」
「言葉だけやありません。あなたを愛してるちゅうてますねん。これは、あなたにわたしから贈る愛念というものです。あなたがその愛念によって?わたしのところにきはったんとちゃいますんか」
「はい。きっとそうでしょう。わたくしはこれまで、どのような光をも見たことがありませんでした。もうここ、700年ほど彷徨っています。ここはとても暗く、さびしくてたまらない場所です。あなたの光は、ほんとうにあたたかい光で、わたくしを照らしてくださいました」
「そんなに長く・・・あなたは死ぬ前、どのような御人だったのですか。そこに、あなたの求めるすべてが隠されていましょうな。教えてください。おつらいかわかりまへんが、想いだしてください」
「はい。わたくしはいつでも、忘れた日がございません。今から七百年も昔、わたくしは一人の農夫でございました」
「日本のですか?」
「はい。わたくしはあなたと同じ日本人でした。そして一人の男やもめでありました。わたくしの嫁は娘を産み落としてすぐに死んでしまったのです。わたくしは一人で娘を育てて参りましたが、娘が七つのときに、床に臥し、そのままあっけなく娘を置いて死んでしまいました。娘のことが気懸りで、何も見えない闇のなかに、わたくしは娘をさがしだそうと試みました。するとわたくしと娘が住んでいた家が見えてまいりました。わたくしは家のなかに入りました。何一つ変わっていない家のなかに、娘の姿はありませんでした。今度は外を探そうとしました。しかし外が、ありませんでした。外は真っ暗で、わたくしには家と、そのなかしか見えなかったのです。それから七百年あまり、わたくしは娘を探しつづけてきました。そしてあなたの透き間から漏れ入るような光を見つけたのです。わたくしがあなたの光に近づくと、わたくしはあなたの光に取り囲まれ、あなたの姿が見えました。あなたはわたくしを呼んでいるようなそんな気がいたしました。あなたに近づき、声をかけました。あなたはわたくしの声に、返事をしてくださいました」
「なるほど、愛する娘さんにもう一度会いたいと、その未練からずっとそこにいるのですね」
「はい。娘にもう一度、わたくしの呼び名を、呼んでもらいたいのです」
「わかりました。わたしが、あなたの娘さんを探しに行きます。場所を教えてください。あなたのおうちのあった場所です。わたしがこれから、そこへ肉体も引き連れて向かいますから」
「わたくしの家は、あなたとわたくしの下に、ありました」
「下?下とは、どこですか?」
「はい。下とは、地下のことです。昔より土壌がだいぶ上がっているため、わたくしの家が、ここの地下の部分にあったのです」
「ということは、あなたの住んでいたおうちはわたしの住んでいるこの家の下に埋もれているわけですか?」
「いや、たぶん家そのものは壊されてもうないでしょう。位置的にちょうどここの下だったということです」
「なんたる御縁でありましょう。あなたとの深い御縁があって、わたしはあなたを招いたのでありましょうな。わたしはそれでは今から、早速あなたのおうちへと入ってみたいと想います」
「御願い致します」
「ええっとぉ、ここはどこや、土間ですかな、けっこう暗いな、しかし700年前に土間のある家はあったんですか」
「土間は確かにありました。700年前というのはわたしの感覚での期間なので、正確ではないでしょう」
「なるほど、多分もう少し最近かもしれませんね」
「そうかもしれません」
「竈(かまど)みたいなものもありますね。だんだん見えてきました。これは何かな、あ、米びつですね、米がなかに入っています。赤っぽい漆塗りのお櫃(ひつ)がありますね。なかにご飯が入っています。あったかいな・・・。誰か奥にいるのかな。餅臼もあります。洗濯板の入った盥(たらい)もあります。戸の近くには草履と草鞋(わらじ)が小さいのと大きいの二つずつ並んでいます。ではこれから部屋のなかへ上がってみますね。卓の傍に角火鉢があります。火箸が一本だけ折れていて短いです。角行灯に明かりが灯っているのですが・・・部屋のなかには誰もいはりませんね。青い桔梗の絵が描いてある湯呑み・・・。あっ、日本人形・・・赤い着物着て、半月型の赤い櫛が側にあります。そうそう、この櫛でこうやって、よくこの人形の髪の毛を梳(と)いてあげていたのです。懐かしいな・・・」

どれくらい梳いていたのだろう・・・?あれ?おとーたん、おとーたんがおらん、どこ行ったんやろ・・・?もう日が暮れて、おそとは暗い。
わたしはおとーたんをさがしにおそとへでる。
あのいつもの池で釣りでもしてるんやろか?
わたしはひとりで行ってはいけないとおとーたんに言われていた池に向かって走る。
でも池の周りにも、おとーたんはいない。
なんでおらんのやろ・・・わたしは泣きそうになりながら池のなかに足をつけてみる。
水のなかから、おとーたんが呼んでいるような気がする。
水は着物のなかに入ってきて重たくなってくる。
おとーたんが、わたしを呼ぶ声が聴こえる。
「子末(こずえ)」と何遍も呼んでいる。
濁った沼池の水底(みなそこ)から・・・・・・
わたしはおとーたんと再会するため、暗い沼底へと泳いでゆく。