あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

愛と悪 第六十九章

2020-12-20 11:18:01 | 随筆(小説)
此の暗黒の夜に、死を齎す安らかなる主、エホバ。
2010年くらいだったと想うけど、ぼくがまだ肉を食べていた時。
日本は正月の為におせち料理を作るんだ。
ぼくは初めて一人でおせち料理を作ってた。
おせち料理を詰める重箱に鶏肉を焼いたものを綺麗に詰めたかったんだ。
でもあの気持ち悪い鳥肌の鶏皮が、ぼくはどうしても気に入らなくて、それが見栄えを悪くすると感じた。
ぼくは初めて自分の手で生の鶏肉の皮を剥いだ。
本当に気持ちの悪い感覚だった。
そして皮を剥がされた鶏の死体をぼくは焼いて、綺麗に重箱に詰めたが、できあがったのはグロテスクな詰め物だった。
色んな死体が犇めき合って、詰められた死体料理。
人間のどの殺害現場も、これほど悍ましいものはないだろう。
あらゆる切断されたバラバラ死体が綺麗に箱の中に詰められて、しかもそれを人々が、食べ物としてしか観ないんだ。
ぼくにとってのこの苦しみの後悔の暗黒の歴史がほとんどの人には伝わらないんだ。
「そんなこと」って言ってみんな鼻で笑うんだよ。
ぼくの苦しみを笑いながら鶏や豚や牛や七面鳥や羊の惨殺された死体を悦んで食べて糞してセックスしてクリスマスや新年を祝って過ごすつもりなんだよ。
自分の顔も身体も、自分の腹のなかで腐敗してゆく死体でできていることを考えずに。
クリスマスツリーに色んなものを吊り下げるのは何が起源か知ってる?
7~8世紀の北欧で”ユール”という冬至の祭りがあった。
彼らゲルマン民族(ヴァイキング)たちは悪魔を崇拝していた。
悪魔である神々は旧約聖書にもある通り、動物や人間の生贄を求めるんだ。
その焼けた脂肪の匂いを彼らは悦ぶ。
多分、生命が焼かれるときに、何かの特殊なエネルギー体がそこに発生するんだ。
肉体と魂を持たない彼らにとって、それが霊的で恍惚な快楽なんだ。
生贄は皆、生きたまま焼かれなくてはならない。
その拷問の苦痛によって生成されるエネルギー体は、悪魔たちの最高の食べ物となる。
無数の動物や幼児や子どもたちが、生きたまま焼かれて、その焼かれた死体は、御神木に吊るされて悪魔神に捧げられた。
凍える闇のなかで、何体もの死体が巨大な樹に吊り下げられて、風に揺れて、枝がその度に撓る音がどれほど虚しいものか、君にも聴こえるだろうか?
その音が、動物の死体を食べるすべての人の内側で、いつも鳴り響き続けているんだ。
それは永遠に続く彼ら自身の断末魔に聴こえる。
全ての肉食は、悪魔との交わりなんだ。
この年末年始の時期に人々が何かを祝うほどにと殺(屠畜)される家畜の数が凄く増えるということについて、此の世の大多数の人々が、何も知らない、何も考えない、何も感じない。









הוא בהה במה שהוא אוכל ושאל אותי.
"איזה סוג בשר זה ...?"
עניתי לו.
"זו" קערת זר "העשויה מגופת הכלב שלך ואדם עם דמנציה בשכונה. כמובן שהיא פורקה בחיים כמו אלה שאכלת."
הוא הקיא.
אמרתי לו.
"אני באמת אומר לך. זה כל הבשר שאכלת אי פעם, והגופות שנרצחו של אמא שלך, אביך, סבא וסבתא וילדיך האהובים."






















愛と悪 第六十八章

2020-12-04 08:43:39 | 随筆(小説)
飛び出しナイフのように闇を切り裂き、光も闇もない空へと羽化して羽ばたくエホバ。
顔を喪った人間が、それでも生きて行けるのか、試してみたいんだ。
そう最後に彼はPC画面を見つめFacebookのLIVE配信中すべての人類に向かって告げ、みずからの顔面を、顎に銃口を付けてショットガンで撃った。
椅子に座った彼の身体は瞬時に後ろへ下がり、背凭れに力無く彼の身体は凭れて動かなくなった。
彼の顔面の約80%が、文字通り喪われた様子を観て、人々は瞬間的に想った。
彼は死んだ。
でもその時、彼は聴いていた。
自分の深く割れて垂れ下がる熱い肉塊から、フローリングの床に滴る血の音を。
静かに彼は聴いていた。
犬が寝室から怯えた様子で彼の足元へと遣ってきた。
警官たちが到着したのは彼が自殺を図った約1分後だった。
LIVE配信を観ながら彼に何度と電話で説得しようとしていた友人たちが通報したからだったが、最早、手遅れだと、誰もが信じた。
でも彼自身、今でも静かに音を聴いていた。
赤い自分の血の血溜まりが、フローリングの床にだんだんと溜まって行き、微妙に音が変わってゆくその音の変化を、彼は静かに椅子に座ったまま聴いていた。
心地の良い音色だと、彼は想った。
人々は、彼はもう死んだので、あとは熱い火で燃やされるか冷たい土に埋められるかして、彼はもう終わったから安らかに眠り続けることを祈った。
人々は、安らかに眠り続けた。彼が死んだと信じたあとに。
でも彼は、今でも彼の喪われた顔から血の海に滴る水の音を聴いている。
何よりも愛に満ちていると感じることを不思議に想いながら、彼は椅子に座ったまま、存在しない目を閉じて、存在しない口に微笑を浮かべて、幸福に満たされている。
生きている…この感覚を、だれが死んでいると信じる必要があるのか。
人々は、夢のなか想った。
”これ”が生きていると信じる必要があるのか。
彼は生きていると感じる感覚のなかで、すべてから死んでいると信じられることの終わらない世界の崩壊の音を、今、この宇宙のなかでたったひとり、安らかに聴いている。
人々は、夢のなか想った。
”我々”が、死んでいると信じる必要があるのか。
彼は本当の幸福に初めて満たされながら、自分の顔から滴る血が渇かないことを不思議に想い、顔を見た。
その血の鏡には、最も遅い速度で、スロウモーションに映された彼の顔の砕ける時間が、映され続けていた。
それは人々が、感じられる速度ではなく、だれもその変化に、気づけなかった。
彼は、今も、感じている。
自分の顔が割れて砕ける速度。
血の海が、すべてを、沈め尽くすまでの時間の存在しない、時間のなかに。


















わたしの愛するロニー・マクナット(Ronnie McNutt)氏へ捧ぐ