
私は横山秀夫の原作の映画は、「クライマーズハイ」 と 「半落ち」 を観て居ます。小説は読んでいないので、映画がどれだけ原作に忠実なのかは知りません。
「クライマーズハイ」 は小説好きの妻が、原作を読んでいて映画化されたと聞き、誘われて観に行きました。
私はそれまで知らなかったのですが、映画も素晴らしい出来でした。
特に、堤真一と堺雅人は良かったですね。「半落ち」 はTVで観ましたが、ガッカリでした。まずタイトルの 「半落ち」 が適当ではない。
犯行の一部を自共する事を 「半落ち」 と言うらしいですが、寺尾聡扮する主人公が真相を喋らないのは、然るべき理由があったからでありまして、
「半落ち」と言うのは間違っていると思います。
又映画の筋もやや無理があったように思います。後にドナーと臓器提供者の関係についても論議を呼んだような。
さて今回の 「64」 実話が元になっているらしいですが、佐藤浩一が県警の中間管理職の苦悩を上手く演じていますね。
私は彼はあんまり好きじゃありません。(おそらく実父の三国連太郎と比較しちゃうからでしょうね。)
結構器用な役者なので、そこが親父さんと違うところ・・・
作品は、佐藤の他に綾野剛、筒井道隆、小澤征悦、椎名桔平、中村トオル、奥田瑛二、瑛太、吉岡秀隆、三浦友和など主役級がずらりと揃っています。
前編では出番が無かった緒形直人も後編には出演するようですね。
映画については、誘拐事件の捜査はそっちのけで、県警内部の部署同士の対立、県警の記者クラブと広報室との軋轢、ずさんな捜査、キャリアとノンキャリアとの壁などを中心に描かれています。
それは 「クライマーズハイ」 での新聞社内部での部署の凄まじい対立を描いた手法と良く似ていますね。
総じて、かなり良く出来た映画でした。後編が6月にも上映されるとの事で、波乱の展開となるようですから楽しみにしています

重箱の隅を突くような指摘で申し訳ないのですが、良い所ばかりではありません。気になった点をいくつか・・・。
・榮倉奈々がイマイチ
一生懸命に演技をしてるのは何とか伝わって来るのですが、やはり緊迫感に著しく欠けますね。
榮倉奈々・長澤まさみ・相武紗季の3人はこの年代の女優では、「三大大根」 と私は呼んでいます。(次点は堀北真希)
・記者クラブと県警との軋轢
妊婦の起こした死亡自動車事故で、犯人の実名報道の是非で記者クラブと県警広報部が鋭く対立するのですが、
記者たちの口の利き方が、本当にあんなに酷いのか疑問です。私は報道の仕事も警察の仕事にも付いた事が無いので、
実際の現場は知りませんが、やや大袈裟に描き過ぎたのではないかと思います。
あれが真の姿だとしたら、権力に対する矛先は、田舎の警察ではなく、政府中枢に向かっているはずだと思うのですがね?
・主人公の娘の家出の理由の希薄さ
佐藤浩一扮する主人公の娘は、現在家出中で行方不明ですが、家出の理由が佐藤浩市に似た自分の顔が嫌いで、整形しようとしたら反対されたと言うものです。(実際演じた女優さんは綺麗な顔立ちでしたが・・・)
仕事一筋で家庭を顧みない父親に反発して、ああ言う発言になったのだと斟酌しますが、家出の理由に説得力に欠けていると思います。
後編の予告編が有りますが、あっと驚く大どんでん返しがあるとかで、前編を観た方は後編を観ずにはおられないでしょうね。(「東宝」は商売上手
