この時期には野原に咲く花と言えば、やはり赤いヒガンバナが代表格である。
暑い夏を乗りきり最後の命の灯を燃やすかのように、チョウたちも花から花へと忙し気に飛び回る。
真っ赤なヒガンバナに、黒いアゲハチョウはなんとなく絵になる。
数匹のクロアゲハが、ヒガンバナが咲き乱れる木立の下を飛び回っていた。
時折二三匹集まっては、サッと離れる。
求愛行動なのか情報交換かは、チョウ語を話せないのでわからないが争っているふうでもない。
かといって恋を語らっているようにも見えない。
やはり、秋が深まり命のタイマーが切れかかっているのを、それぞれが知っているのかもしれない。