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会津天王寺通信

ジャンルにこだわらず、僧侶として日々感じたことを綴ってみます。

危機の時代だからこそ日々の祈りが大事なのです 柴田聖寛

2020-02-18 07:28:19 | オピニオン

 今私たちは未知のウイルスに怯えています。WHOは新型コロナウイルス感染症をCOVID-19と名付けましたが、2月17日現在の世界全体の感染者数は71324人に達し、死者も1775人を突破しました。
 このうち中国の感染者数が70548人で、死者は1770人。湖北省武漢市では想像に絶する事態になっています。次いでクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス355人、シンガポール72人、日本59人、香港57人、タイ34人、韓国29人、台湾20人、米国15人、マレーシア22人、ベトナム16人、豪州15人、マカオ10人、フィリッピン3人、ロシア2人、ネパール1人、インド3人、ドイツ16人、英国9人、フランス12人、スペイン2人、エジプト1人、カナダ1人などとなっています。
 国境の壁がほとんどなくなったことで、未知のウイルスが中国の一都市で発生すれば、あっという間に世界中に広がってしまうのです。治療法はまだ確立しておらず、ワクチンもできていませんから、人類はかつてない危機に直面しているのです。ようやく日本政府も感染拡大を想定して、国内の検査・治療・相談体制の充実拡充に着手しましたが、今後どうなるのかはまったく予測が付きません。会津が生んだ野口英世博士が黄熱病の研究に身を捧げたと同じように、未知のウイルスから人類を救うために、現代の野口博士が出現することを願ってやみません。
 神仏を信仰する者は、祈りをささげる前に、身を清め、沐浴をしておこもりをするのが決まりです。穢れなきことを神仏は喜ばれるからです。新型コロナウイルスの対策として、手洗いや咳エチケットなどが大事だといわれていますが、自分の身を清潔にしておくことは、信仰ばかりでなく、健康を保つためにも必要なことなのです。
 未知なるウイルスとの闘いはこれからが本番です。天変地異や疫病の流行は人類にとっての試練ですが、信仰者として試されるときでもあり、危機であればあるほど、日々の祈りが大事なのだと思います。

                合掌

 


国籍超え民を救うことが中村医師の遺志を継ぐことだ  柴田聖寛

2020-02-01 13:46:06 | オピニオン

 アフガニスタンで亡くなった中村哲医師の遺志を受け継ぐことが、争いのない世界を作るためには、大切なことではないでしょうか。危険な場所に出かけて行き、診療所を開設し、農業を支援するというのは、よほどの覚悟がなければできません。首都カブールでは、中村医師に感謝する意味で「ナカムラ」と名付けられた赤ちゃんがいるそうです。讀賣新聞の1月24日付オンラインが伝えたもので、人のために尽くせば、誰かしら見ているのだと思います。
 今世界中でコロナウイルス感染症が猛威をふるっていますが、必死になって医療現場で頑張っている医師や看護師がいることも忘れてはなりません。それこそ、食事や寝る時間を惜しんで、患者の命を救おうとしているのです。とくに中国では大変なことになっています。 
 日本人の医療は先進国でもトップクラスです。すでに調査のためのメンバーは武漢入りしたようですが、今こそ中村医師のような人が現れて、武漢の人たちに手を差し伸べなくてはなりません。政治的にはいくら日中関係が悪化していても、それとこれとは別です。武漢加油の声を上げるべきなのです。

                               合掌


コロナウイルスと闘う中国の友人に支援の手を  柴田聖寛

2020-01-31 17:20:49 | オピニオン

 中国に友人が多い私は、今回のコロナウイルスによる新型肺炎の拡大が心配でなりません。中国政府の発表によれば、今日の時点で、感染者は9629人、死者は213人に達しているといわれます。実際はそれよりも多いの見られていますが、一日も早く今の危機から抜け出すことを祈っております。
日本の対応としては、外務省が湖北省以外に出していた感染症情報が1月31日にレベル2(不要不急の渡航自粛)にまで引き上げられました。湖北省については、1月24日にレベル3(渡航中止勧告)になっており、中国はパンデミックそのものです。
 私は中国人の義弟が1月2日に日本国内で亡くなったこともあり、出身地である上海に2月10日から10日間滞在する予定でしたが、延期を余儀なくされました。
 日本政府が逸早くマスクを届けたことは、中国の人も喜んではいると思います。ただ、心配なのは、私が中国の知り合いにマスクを送ったにもかかわらず、未だに届いていないという連絡が入ったことです。物流にまで混乱が生じているようです。
 ネットでは中国発の情報が乱れ飛んでいますが、日本に感染が広がるのを阻止するだけではなく、医療チームを派遣するなど、私たちは中国の人々に手を差し伸べるべきだと思います。

             合掌


聖寛の独りごと 新たな時代を切り拓く若者の育成を

2020-01-29 15:21:47 | オピニオン

 令和2年は5G元年といわれ、その分野でも米中が激しく覇権争いをしています。我が国はどこに向かうのか。通信機器を支配する者は世界を支配するとまでいわれています。
 我が日本は高い技術力を誇ってはいますが、かなり後れを取っているようです。以前の日本は、通信分野はNTTが中心でしたが、民営化や20年以上続く不況によって、もはや日本のメーカーはフロントランナーではなくなってしまいました。
 今日本が課題とすべきは、5Gを使って「何をするか」「どんなサービスができるか」ではないかと思います。現状で立ち遅れていますが、ソフトの面で世界のナンバーワンになれば、6Gでは総合力で日本が世界のリーダーになることが可能です。それには知的な財産を守り抜くセキュリティを充実させ、外国へ持って行かれないようにするためのインテリジェンスを整備しなくてはなりません。ビズネスとインテリジェンスは、表裏一体であることを忘れてはなりません。
 奇しくも2021年は伝教大師最澄1200年大遠忌にあたります。すでにそれに向けたイベントは始まっていますが、私たちは「利他」「道心」「一隅を照らす」の精神によって、「生きとし生けるものの総合力」を発揮することで、和の国日本を復活させ、世界から争いを一掃しなくてはなりません。

※イノベーション、イノベーション。官民一体となり、業種に関係ない新たな結合。長期ビジョンの策定と指導者としての資質を持った若い20代から40代までの人材の育成。他人の意見を尊重しながらも、自らの意見を述べられるようなコミュニケーション能力を高める教育。

                合掌


日中の架け橋となって奔走した黄斌さんの死を悼む   柴田聖寛

2020-01-08 19:32:16 | オピニオン

 私の無二の親友であった義弟の中国人黄斌さんが去る2日に亡くなりました。享年58歳。黄斌さんは上海生まれで、妻の妹の旦那さんということもあって、30年以上前からの友人で、一緒に中国各地を旅行して回った仲です。上海の大学を出てから黄斌さんは日本に留学し、東北大学を卒業。その後は中日の架け橋になろうと、トヨタ通商に就職しました。中国におけるトヨタのレクサスの販売を手掛け、トップクラスの実績を残しました。また、中国のズームライオン社と会津若松本社の金堀重機との業務提携にも尽力しました。悪性リンパ腫の病魔に冒されたのは15年ほど前からですが、最期の最期まで第一線で働いていられていただけに、あまりにも突然の死でした。
 病状が悪化したということを聞いて、私が上京して東京女子医大に黄斌さんをお見舞いしたのが昨年の12月30日のことでした。一旦は快方に向かったかに見えましたが、間もなくして急変し、幽冥境を異にすることとなったのです。御遺族から頼まれて私は「交流 岳黄斌清居士霊位」という戒名をお付けしましたが、日中友好に尽くされ、連絡も緻密であった黄斌さんにふさわしいと思っております。日本と中国は険悪なムードになってはいますが、民間レベルでの交流はそれとは別です。温厚でいつも笑顔を絶やさなかった黄斌さんのご冥福をお祈りいたします。

                     合掌