会津天王寺通信

ジャンルにこだわらず、僧侶として日々感じたことを綴ってみます。

会津天王寺はオオムラサキと石楠花が見頃です 柴田聖寛

2023-05-15 13:06:23 | 境内の花

 

 早いもので五月も中旬になってしまいましたが、会津天王寺の境内はオオムラサキと石楠花が見頃です。お茶のみがてらに気軽に足を運んでいただければと思います。

つつじ多き田舎の寺や花御堂 正岡子規 

 ツツジが満開の田舎の小さなお寺で、お堂の周りも花が一杯と言った光景が目に浮かびます。会津三十三観音霊場の二十八番札所である会津天王寺も、同じような雰囲気の寺ですから、なおさら身近に思えてなりません。
 赤紫の大きな花をつけるオオムラサキは、花の大きさではツツジの中でも最大といわれます。ツツジと呼ばれる多くは、オオムラサキだともいわれます。花言葉は「美しい人」です。

石楠花の紅ほのかなる微雨の中 飯田蛇笏

 今日あたりの天候では、雨がサッと降って止むという感じでしたが、この俳句のように、微かに雨に打たれて、白色にピンク色がほのかに漂うという感じでした。石楠花は高山植物です。もともとはヒマラヤの高山地帯に生える植物で、危険な場所に咲いていました。高嶺の花を手に入れるには冒険をしなければならないので、花言葉も「威厳」「荘厳」ばかりでなく、「危険」「用心」という両方があります。

          合掌

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雪吊りが終わりカラスウリの実が目立つ季節に 柴田聖寛

2020-11-11 19:04:43 | 境内の花

その下を掃き雪吊りの仕上がりぬ 片山由美子

 会津盆地を取り巻く山に三回雪が降ると、平地も白一色に包まれます。すでに北の飯豊連峰は白い壁で、磐梯山もうっすらと雪化粧をしています。秋になってから蜘蛛の巣が目につきましたので、大雪のなるような気がしてなりません。会津天王寺では、私が先頭に立って去る7日8日と雪吊りをしました。例年立冬の日に行っているもので、雪で枝が折れないように綱で保持する作業です。会津では御薬園の雪吊りが有名ですが、雪国の風物詩ともなっています。平成28年度に「会津三十三観音めぐり」が日本遺産に指定されたことで、冬でも二十八番札所である私どもの高田観音をお参りする方が増えており、会津天王寺の雪吊りや雪景色が写真撮影のスポットになっています。
 この句は雪吊りが終わった後に、仕上げの掃除をするという句です。何事もするにも、後始末が大切で、手を抜くことはできません。「仕上がりぬ」という句に、私は心を動かされました。
 雪吊りが終わった境内では、カラスウリの実が目立つようになりました。鳥が種を運んできて自生したものですが、焼酎につけておくと、火傷に効くともいわれています。縁起がよき実としても知られています。種の中心部が盛り上がったようになっており、そこから三方向に突き出した突起があることから、大黒様や打ち出の小槌のようで縁起がよいというので、財布に入れておくと金運が上がるともいわれています。

会津もいよいよ冬本番を迎えますが、時節柄くれぐれもご自愛ください。

          合掌

           

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天王寺境内の「ブスの実」を焼酎に漬けました 柴田聖寛

2020-10-15 06:24:24 | 境内の花

野葡萄に小鳥群がる小春かな 寺田虎彦

 会津では「ブスの実」と呼ばれている野葡萄に、小鳥が集まってきているという初冬の情景を句にしたものです。熟すとブス色(紫色)になることから名付けられたといわれています。鳥が好むことから「烏葡萄」という呼び方もあります。
 今回初めて私は、天王寺境内の「ブスの実」を焼酎に漬けました。「ブスの実」そのものは、タンニンが強く苦くて食べ物としては適しませんが、民間療法の世界では免疫力アップに効果があるといわれており、ネットでも販売されています。
 天王寺には、尾長鳥の小型の鳥がどこからともなく飛んできて、「ブスの実」をぷっと吐き出したものが、いつの間にか成長して実を付けるまでになったのでした。会津のお薬師信仰は天台宗が広めたと伝えられています。昔の寺院は病院のような役割も果たしていたのですが、それを知っているかのように、小鳥が種を運んできてくれたのです。

       合掌

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天王寺は「さるすべり」が満開です  柴田聖寛

2020-08-03 06:56:11 | 境内の花

 

仮の世に咲きて紅白さるすべり 鷹羽狩行

 さるすべりは百日紅と漢字で書きますが、「仮の世に」という最初の句に仏教的な響きがあります。仏教では人間は過去世、現世、来世の三つの世を生きるといわれています。過去世も来世も無限のはるかな時間を持っています。それと比べると現世はわずかな時間に過ぎません。ですから、現世で栄華を極めてもたいしたことではなく、不平不満があっても、一瞬のことに過ぎないのです。この句は、仮の世の華やかさを「さるすべり」に託したのではないかと思います。
 天王寺の境内には10本の「さるすべり」の太い木があり、紅白以外にも紫、ビロード状の赤もあります。樹皮がツルツルしているとことから、猿も滑って落ちてしまうほどにツルツルということから、名づけられたともいわれています。私がこの30年間手塩にかけて育ててきた花で、縮れた小さな花がまとまって咲きます。花言葉は「雄弁」です。それこそ百日咲くといわれていますから、夏から秋まで楽しむことができます。ぜひ天王寺に御出で下さい。

                  合掌

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夏ツバキの白い花は今が見頃です 柴田聖寛

2020-06-16 18:50:00 | 境内の花

 

 なつかしきお寺となりて沙羅の花   阿部みどり女

 私ども天王寺の夏ツバキの花が見頃になりました。小さな白花を咲かせ、樹形が美しいことから、玄関などに植栽されることが多いようです。別名沙羅(シャラ)ともいわれるのは、平家物語の「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹(サラソウジュ)の花の色、盛者必衰の理(ことわり)をあらわす」で有名な仏教の聖樹沙羅双樹に擬せられたからといわれます。
 山ツツジが一本だけで杉と竹藪の境内が今のようになったのは、多くの檀信徒の皆さんのご協力があったからです。とくに、立川浩さんにはお世話になりました。92歳になられた今も立川さんはお元気ですが。図面を私が引いて、二人して二段の異石を積んだ日のことが忘れられません。とくに沙羅とも呼ばれる夏ツバキは、住職になりたての私と立川さんが植えた花です。可憐な白い花を愛でていますと、30年前のことが思い出されてなりません。

                                                         合掌

 

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