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会津天王寺通信

ジャンルにこだわらず、僧侶として日々感じたことを綴ってみます。

仏門に入るきっけになった三島事件   柴田聖寛

2020-12-03 15:56:20 | オピニオン

 三島由紀夫氏が市ヶ谷で自刃してから先月25日に50年目を迎えましたが、あれから半世紀が経ったことが信じられません。それこそ諸行無常の思いがしてなりません。私が会社を辞めようかと思い悩んでいたときでした。そんなときにあの事件が起き、私が仏門に入るきっかけになった出来事でした。
 三島氏の「命よりも大切なものがある」との言葉に、私は心を動かされたのでした。それから信仰に目覚め、人よりもかなり遅れて比叡山学院で学び、比叡山や大原三千院で修行することになったのでした。33歳のことです。なぜ天台宗かといえば、一時期、二本松市の光恩寺の住職であられた故梅津香村師の弟子になったからです。梅津師は北方領土7カ村返還運動の先頭に立っておられた方で、そこに出入りする人たちは、三島事件のことをよく話題にしていました。
 三島氏の思想や行動については賛否両論があると思いますが、天才であっただけに、50年後の今になって、ようやく理解されるようになったのではないでしょうか。NHKですらおおっぴらに取り上げるわけですから。体を鍛えて筋肉隆々としたのは、文弱の徒でありたくなかったからだと思います。日本刀を引っ提げて決起したことは、あの時代の全共闘運動とも共通するものがあった、というのが私なりの感想です。

         合掌


 令和2年10月の聖寛の独り言

2020-10-22 14:46:56 | オピニオン

 

   (晩秋の会津天王寺境内)

 世の中目まぐるしく動いていますが、一番気になるのが東日本大震災の復興です。浜通りや中通りには、未だに生々しい傷跡が残っています。令和2年9月9日の時点でも、県外に29516人が避難しています。東京電力福島第一原発事故をめぐっては、東電と国は処理水の海洋放出が決断するようですが、風評被害の対策には万全を期してもらわなくてはなりません。会津も含めて、福島県全体にマイナスの影響が出ないように望みます。
 新型コロナウイルスの感染拡大も、福島県の経済を直撃しています。私はSNSやズームなどを活用して、リモートに徹するようにしていますが、新しい生活様式が求められる時代になってきました。国もデジタル化を推進していますが、早急に整備する必要があると思います。当然の如くサイバー攻撃を阻止する技術の開発にも力を入れるべきです。日本の将来を決定する量子コンピュータ―のプロジェクトは、世界一を目指すべきです。
 経済対策も第二弾第三弾が待望されており、何かしら手を打たなければ、地域経済が崩壊することは誰の目にも明らかです。とくに観光で成り立っている会津は深刻です。景気が良くならなければ、人々の顔も明るくなりません。一僧侶の私は祈るしかありませんが、政治家の皆さんにもっと頑張ってもらわないと。

        合掌


コロナ対策と教育格差を解消するのがオンライン教育  柴田聖寛

2020-07-24 10:36:26 | オピニオン

 

 世界は5Gの時代を迎えつつあるのに、日本の学校教育はあまりにも遅れているように思えてなりません。5Gが普及すれば、高臨場感の映像が寸時に伝送され、自動運転や遠隔医療なども実現し、世界は大きな一歩を踏み出すことになります。 
 にもかかわらず、日本の小中学校でのオンライン教育は、海外と比べて遅れています。新型コロナウイルスの感染拡大で、今年に入って世界各国で学校が閉鎖され、日本でも一斉休校が行われました。それをきっかけにして、世界各国は急速にオンライン教育に移行しつつあるのです。
 経済学者の野口悠紀雄氏が指摘されているように、文科省にやるきがあるかどうかなのです。文科省の白書が全文ウエブで読めないようでは、熱意があるとは思われません。政治家や役人の意識が変わらなければ、日本だけが取り残されてしまいます。
 アメリカでは幼稚園年長から高校三年生までのほとんどの教育機関が移行しました。それは中国においても同じで、JETRO(日本貿易機構)によると、オンライン教育がこの一年間で81・9㌫も増え、利用者数は4億2262万人、利用率は46・8㌫に達しました。韓国でも全学校でオンライン教育が行われています。香港やインドでもそちらにシフトしています。
 教室の授業でデジタル機器をほとんど利用していないのが日本です。こんなことでは、日本国の将来が危ぶまれてしまいます。文科省は「GIGAスクール構想」を加速させて、今年度中に前倒しして小中学生に1人一台のデジタル端末を整備することを目標にしていますが、熱意がもう一つ感じられません。
 学校に行かなければ勉強ができないという時代は終わりつつあります。ネット環境が整備されれば、多くのことを子供たちは学ぶことができます。地域間の教育格差も解消されます。コロナ対策費として229億円の予算も認められているわけですから、今こそ本腰を入れて取り組むべきだと思います。

                              合掌

 


危機の時代だからこそ「四諦、八正道」なのです 柴田聖寛

2020-03-30 07:10:16 | オピニオン

 新型コロナウイルスで世界はパンデミックになっていますが、かろうじて日本は今持ちこたえています。しかし、今後どうなるかは誰も分かりません。
 一仏教徒として私は、危機の時代だからこそ「四諦、八正道」なのだと思います。四諦とは真理、真実のことです。釈迦が得た悟りの内容、すなわち縁起の真理(初転法輪)といわれています。

 〇苦諦 この世は苦であるという真理

 〇集諦 苦の原因は煩悩や執着である真理

 〇滅諦 世の無常を超越し執着をなくすことが苦の消滅した悟り、境地である真理

 〇道諦 苦の消滅に至るに、正しい修行が必要である真理

 正しい修行とは八正道のことです。

 これには正しい見解(正見)

     正しい思考(正思惟)

     正しい言葉(正語)

     正しい行為(正業)

     正しい生活(正命)

     正しい努力(正精進)

     正しい憶念(正念)

     正しい精神集中(正定)

 それでこの四諦を迷いと悟りの両方、両面から因果関係を考察しますと、

 〇集諦―迷いの原因―苦諦はその結果です。

 〇道諦は悟りの原因で

 〇滅諦はその結果と見るべきです。

 そして、能力の劣った者—下根

     真理証明した彼自身―証転

     中くらい―中根―真理を実践するよう勧める(勧転)

     優れた者を上根―真理の存在のみ示す(示転)

 危機の時代にどうするかは、最終的には人間の信仰の問題です。人間至上主義、経済至上主義には限界があります。世界の最先端のテクノロジーや優れた優れた医療技術をもってしても解決できないことを、私たち人間は知るべきだと思います。

 

                          合掌

 


聖寛の寝言独り言 —世界は危機の時代に― 

2020-03-15 09:33:43 | オピニオン

 春うららということもあって、最近うつらうつらと色々なことを考えてしまいます。米国のトランプ大統領が1930年ころのニューディール政策を断行するのではないでしょうか。米英第一を掲げていることで、せいぜい英国との絆を強化する位で、自国の中で産業を興していくには、それしか方法がないからです。もしそんなことにでもなれば、自由貿易体制を謳歌してきた日本は、小室直樹が書いていたように「大破局の日に会する」(『アメリカの逆襲』)ことになるのです。
 もう一つは飛蝗や蝗の大群が大発生し、ヒマラヤを超えて中国の内陸部に向かっていることです。すでにチベットに到達しており、中国側はアヒルの大群で待ち構えています。ネットの動画で見ましたが、その光景が目に焼き付いてなりません。こちらは天罰があたったように思えてなりません。我が日本でも大干ばつが起きて、食糧難になるような気がしてなりません。
 マネーマネーと世界中がお騒ぎになって、マネーウイルスに感染してしまっているので、コロナウイルスにとどまらず、次から次へと災難に見舞われるというのが私の予測です。

  合掌