医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

涙と美肌-2

2006年05月30日 13時19分55秒 | Weblog
 ちょっと昨日からのタイトルを変更しました。

 本日は少し医学的なお話です。 堅苦しいかも・・・

 AllAboutの健康医療チャンネルによれば、涙には脳から分泌されるプロラクチンや副腎皮質刺激ホルモンといった、ストレスに反応して心身に緊張を強いたり、免疫系に影響する物質が含まれていることが分かっています。

 また、ロイシン-エンケファリンという、ストレスによって生じる神経反応を緩和する働きを持つ、脳内モルヒネの一種も含まれていることが確認されています。

 さらに過多になると神経の伝達に影響を与える、マンガンというミネラルも含まれてくることが確認されています。

 どうやら涙は、ストレス物質を排出する重要な役目を果たしているようです。

 また泣いたり笑ったりすることで【コルチゾール】値、【インターロイキン-6】値が著しく低下し、【ナチュラルキラー細胞】活性値はぐんと高くなったという研究報告もあります。

 【コルチゾール】は副腎皮質から分泌されるステロイドで、糖代謝をはじめ、蛋白質や脂質代謝にも関与します。 

 ストレスとホルモンの関係はよく言われますが、産業医学総合研究所のHPによれば、

①「アドレナリン」というホルモンは主に作業の遂行に伴う「昂揚」した気分の状態を表します。
②「ノルアドレナリン」は長時間作業で上昇し、作業による「疲労」の状態を示唆します。
③【コルチゾール】は作業そのものの影響よりも作業を妨害し「苦痛感」を与えるような要因と関連するようです。

http://www.niih.go.jp/jp/current/topics/shigoto_sutoresu.html

 【インターロイキン-6(IL-6)】は日本人が発見した「サイトカイン」です。 

 「サイトカイン」とは細胞が産生する「蛋白」のことです。 サイトカインに対するレセプター(受容体)を持つ細胞に働き、細胞の増殖・分化・機能発現を行うものです。

 つまり【インターロイキン】はリンパ球間の情報のやりとりを担う物質、主にタンパクに与えられた呼称なのです。

 体の免疫をつかさどる「リンパ球」の70~80%は「T細胞」、5~10%が「B細胞」、残りの15~20%が【ナチュラルキラー細胞】です。

 【IL-6】はそのうちB細胞の分化誘導因子として発見されました。

 【IL-6】は多発性骨髄腫という血液の悪性腫瘍の一種では悪性細胞増殖因子として作用します。

 またさまざまな「炎症性疾患」や「自己免疫疾患」に関与する「Bリンパ球」の増殖分化だけではなく、その他にも広く免疫応答、造血反応、炎症反応、それから神経系の細胞の増殖・分化、あるいは機能発現に働く典型的な「サイトカイン」なのです。

 従って、人間の免疫はこれらの【IL-6】をはじめとする「サイトカイン」という蛋白を通じて、会話をして情報のやり取りをしていると考えられております。

 これからはICチップやコンピュータは「タンパク」の時代になるかもしれませんね

 ストレスが多くなると増える【コルチゾール】、炎症等の免疫の異常事態に増える【IL-6】が、泣いたり笑ったりすると減少するわけです。 

 炎症性のサイトカインが減少すると、線維芽細胞の活性が高まり、コラーゲンが増えることがわかって来ました。つまり、しわやコラーゲンの劣化の原因には実は微小炎症が関与していると言われて来ているのです。

 さらに、下記の「免疫プラザ」によれば、
http://www.menekiplaza.com/column/naturalkiller.html

【ナチュラルキラー細胞】はまだ研究途上ですが、どうやら人間の体を独自で見回って、ウィルスやがん細胞を見つけると、全体の命令系統によらずに、単独で攻撃する機能を持っているとされております。

 健康な人でも一日に100万個のがん細胞が生まれているそうですが、【ナチュラルキラー細胞】をはじめとする免疫機能がそれらを無事摘み取っているそうです。 びっくりですね

 そして、頼もしい【ナチュラルキラー細胞】活性を高めるためには

①喫煙をひかえる
②適度の飲酒を心がける
③質の良い睡眠をとる
④ムリのない適度な運動(歩く)をする
⑤笑う
⑥充分な休養などでストレスをためない
⑦体温を下げない
⑧薬・抗生物質を乱用しない
⑨バランスの良い食事を心がける
⑩健康補助食品を利用する
 
といいそうです。⑩はプロパガンダとしても、笑っても泣いても【ナチュラルキラー細胞】活性は高まるのですね。

明日も・・・。