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SFミステリ傑作選

2013年02月02日 | SF
アシモフ、バラード、ローマー、
バウチャー、ホック、ギャレットの書いたSFミステリが収められていますが、
やっぱり冒頭のアシモフ「ミラー・イメージ」と最後のギャレット「重力の問題」かな。
アシモフのはイライジャ・ベイリとR・ダニールもの、
ギャレットのはダーシー卿ものです。
「ミラー・イメージ」はベイリ&R・ダニールものでは唯一の短編で、
同じアシモフの「黒後家蜘蛛の会」ものよりミステリ度が高くて、
もっとこの二人の探偵談が読みたかったと思います。
ギャレットのダーシー卿ものは、ハヤカワミステリ文庫で「魔術師が多すぎる」「魔術師を探せ」の2冊と
奇想天外別冊「SFミステリ大全集」に1編、SFマガジン、SF宝石に載った載った数編と、
アンソロジーに2編、これで邦訳は全部のはずです。
そのアンソロジーのうちの1編が「重力の問題」です。
出来は長編で代表作の「魔術師が多すぎる」が一番かな。
短編はどこかでまとめてくれないですかねえ。

風見潤編の「SFミステリ傑作選」には、
(旺文社文庫に同題「SFミステリ傑作選」がありましたが、そちらは福島正実による日本作家作品編)
解説代わりに「SFミステリ問答」を風見潤が書いています。
乱歩の「カー問答」しかり、ミステリの啓発をするときはこの問答形式が都合いいみたいですね。
SFミステリ問答は、主人のところにミステリファンの女性とSFファンの男性が客として訪れて、
それぞれにSFミステリの継子ぶりを追及しています。
主人が客に論破されてどうするのかな~。
それだけ、「SFミステリ」というジャンルで、
両方のファンを満足させる作品を成立させることが難しいのでしょう。
主人がアシモフの「鋼鉄都市」「裸の太陽」があるじゃないか、と言えば
SFファンの客は「それは稀な例です」とにべもない。
電車の心配をしてないところは、時代の変遷でしょうかね。

ところで「SFミステリ」として「鋼鉄都市」はSFファンも認めていますが、
その80年代ヴァージョンとして、ディヴィッド・ブリンの「サンダイバー」を押したいですね。
シリーズの「スタータイド・ライジング」を先に読んでおくと、背景がよく分かります。



宇宙の知的生命体は、上級生命体から知性化されたうえ、
上級生命体の代理派閥争いに巻き込まれていた。
地球人類は自ら知性化をおこなったという特例として認識されていたが、
地球人を知性化させた生命体が太陽の中にいるらしい、という仮説のもと
人類とエイリアンの探検隊が太陽の中へ探査船を送りこむ。だが…、
というオハナシ。なぜミステリなのか、という点は読むと分かります。
※どうでもいい話ですが、「エヴァ」のテレビ版10話「マグマダイバー」は、
「サンダイバー」のモジリだと、庵の監督がどっかで書いてましたね…
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