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『少年倶楽部』短編選

2013年12月22日 | others
川端康成が書いた「級長の探偵」はミステリかと思えば、そうでもない。
でも子ども向けにはミステリが有効だと川端康成でさえ認識していたわけですね。
ミステリエリアからは森下雨村がトップバッターで登場(作品はノンミステリ)、
しかも挿絵は松野一夫です。
新青年コンビが講談社の少年倶楽部に出演していたとは。
子ども向けなので、現代ものとなると学校が舞台になるのは今も昔も同じ。
ところが作家先生の描く学校はいまいちリアル感がない。

反対に時代小説はけっこうおもしろいです。
木村毅「七人目の虜」、山本周五郎「だんまり伝九」良かったな。
「七人目の虜」は彰義隊との戦いで江戸に現れた中村半次郎こと桐野利秋と幕臣の少年との出会い、
「だんまり伝九」は長宗我部元親旗下のだんまり伝九と呼ばれた男の話。
木村毅は「大衆文学十六講」の人ですが評論家だとばかり思っていたですよ。
※「大衆文学十六講」はいま読むと面白い。




解説(児童書作家杉山亮)にあるように、全体としては他愛もない話ばかり、
さらに言えば戦前の作には大義名分のために生きるみたいな論旨が見え隠れする。
戦後作品の「たこあげ」は、家船一家との交流を描いた短い作品ですが、
この中で一番好きな作品でした。
家船がなにかは「辺境の輝き」で読めます。

夜寝る前の10分間くらいに1作品ずつ読んでいくのがベターかも。
講談社学芸文庫は「昭和戦前傑作落語選集」なんてのも出しているんですね。
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